第77話
「さて、第二人は殲滅したが次は本気で攻めてくるかな?」
「多分ね」
程なくして大量のネームドモンスターや高ランクモンスターの集団が攻めてきた。
ざっと数千匹ってところか。やはりこういった物量戦ではダンジョンマスターの数が物を言う。
「どうでもいい奴らは第三迷路に誘い込んでチビ共の経験値にするか…………こいつとこいつ…………それとこいつも生け捕り」
俺は数十体のモンスターを指差した。
鑑定したところ、こいつらはジョーカーやその配下のダンジョンマスターにとって大切なモンスターのようだ。
生かしといて同盟になった時に恩を売るにはちょうどいい。
信用できる仲間や家族同然のモンスターを殺したら、せっかく仲間になってもしっかり働いてくれはしないだろうからな。
わざわざ恨まれるような事はしたくない。
「それは良案ですね」
ソランは俺の真意を見抜いてたみたいだ。老師を見ると彼もニッコリと笑って頷いた。
この二人は既に俺たちとダンジョンバトルの会議に参加してもらっている。
ぜひ参加させて欲しいと頼まれたし、彼らの意見も聞いてみたかったからだ。
「決まりだな。第二迷路のスライムたちは隠れさせよう」
チビ共の助っ人として、一パーティーにヒューマンスライムとアダマンタイトゴーレムスライムを一匹ずつ付けて放っておくと、着実に敵モンスターを一体ずつ倒したり捕獲していったりした。
ヒューマンスライムがスマホでやり取りして、敵を孤立させたり、他のパーティーと挟み撃ちをしたりとなかなかいい連携をとってた。
やはり戦いってのは情報を制した方が勝つんだな。
ドラドラたちのパーティーは五体目を倒した辺りで進化できるレベルになって、ドラドラはリトルドラゴンに、リーヴァはリヴァイアくん、ヤキトリはシェニックスとなった。
みんな体が二回りも大きくなってる。もう頭には乗せないぞ。
他のモンスタースライムたちも順調に進化してきている。
半数以上が倒された頃、やっと敵は撤退を始めた。
「今が好機だ!エンペラースライム………………えーっと、相手の同盟って何人?」
「32」
「32匹投入。同じダンジョンに出てしまった場合は追加で投入。敵ダンジョンに入り次第分裂を開始、速攻でマッピングを完了させろ!」
結局エンペラースライムを50匹入れて全ダンジョンを埋める事ができた。
当たり前だが、ランダムで各入り口に飛ばされるってのは守るには便利だけど、攻めるとここまで不便とはな。攻める側になって改めて思い知った。
だけど今回は割と確率に愛されてる気がするな。
スライムたちによって、ジョーカーのダンジョンを判別、コアルームを特定した。
「よし、攻め込むぞ!ヒューマンスライム30人3個小隊とアダマンタイトゴーレムスライム15体は付いて来い。他はそれぞれのダンジョンをヒューマンスライム3個小隊で制圧、第二迷路にて敵の撤退の阻止。いいか、これ以上の損害は敵味方問わず避けろよ」
勝って同盟に入れてもモンスターが一匹も居ませんってなると、一から立て直さないといけないから面倒。
攻め込むメンバーが揃ったので入る。
さて、ランダムなダンジョン突入には裏技がある。
先にヒューマンスライムたちを突入させてジョーカーのダンジョンに入れるヒューマンスライムを見つける。
次にそのヒューマンスライムのアイテムボックスの中に入ってヒューマンスライムがダンジョンに突入。アイテムボックスから出たら完了。
これでかっこつけて突入したけど違うダンジョンでしたって間抜けなことにはならない。
よし、突入できたから走るか。
にしてもヴァイオレットのときも思ってたんだが、走って突入って時間がかかる。何よりも高レベルとは言え、ただの人間の俺は疲れるな。
…………………………使うか。
「セグウェイスライム」
ヒューマンスライムたちに罠を解除させ、ボディーガードのようにアダマンタイトゴーレムスライムたちに囲まれながらセグウェイスライムに乗って進む俺。
シュールだ。
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