第78話
数時間程でジョーカーの元へ行くと、彼は悠然とソファに腰掛けていた。
気絶してたはずなのに回復が早いな。
「もう終わりだジョーカー。観念するんだな」
「どうやらその様ですねぇ。敗者の身としておこがましいですが、一つお願いを聞いてもらえないでしょうかぁ?」
予想外のジョーカーからの降伏宣言。平然としてたからここで一戦起きるかと思ったが、どうやら見た目ほど無事ではなさそうだ。
仮面をつけているから表情で疲労を察することはできない。
「なんだ?」
「私の首は差し出しましょう。しぃかし、私の配下のダンジョンマスターの命は見逃していただきたいのでぇす」
「その喋り方どうにかならない?」
「あ、はいすいません、少し特徴をもたせたほうがいいかなーと思ったのですがね」
ねっとりとした話し方に少し苛ついたので、声を少し低くして脅かすとすぐさま態度を改めた。どうやらキャラ付けの為の話し方だったようだ。
こんなやつがソフィアたちの家族を人質に取った狡いやつ?いやいや、見た目の印象に引っ張られて胡散臭く感じるだけだ。
今ここでの態度を見ると、中々どうしてすなおで部下思いなやつじゃないか。
配下はいくらでも殺して構わないから自分だけはなんとかぁ!とか言って命乞いしてくるかと思ってた。
「まあ良いだろう。だが、お前も俺の配下に、いや仲間になってもらう。いいな?」
「恐悦至極に存じます」
ジョーカーはソファから立ちあがり、俺の前で膝をついて右手を胸に当てた。
こうしてジョーカーとのダンジョンバトルは終わった。
今までの話から分かるだろうが、ジョーカーは狡いやつだけど根は良いやつで、配下のマスターたちからは信頼されていた。
DPが足りなかったら余ってるダンジョンから分け与え、強い冒険者が来てピンチなダンジョンには戦力を派遣して危機を救う。
一種の互助組織だ。そのお陰で全員が中堅程度のランキングを保っている。
それと、ソフィアたちの村にいたモンスターは見掛け倒しでほとんど戦闘能力が無かった。
本気で彼女たちの家族に危害を加える気はなかったってことだ。
ちゃんと三人に謝ってたし、本当に悪いやつじゃないんだな。
ジョーカーとのダンジョンバトルが終わり、新たに仲間になったダ多くのンジョンとスライムダンジョンを物理的に繋いだ後、俺はジョーカーを自室に招いて話をしていた。
話の内容はジョーカーの同盟にランキング下位が居なかった理由。
てっきり下位の雑魚は加盟を断っているのかと思ったが、ジョーカーは加盟した下位のダンジョンマスターを中位にまで育てていたらしい。
「……てことはジョーカーはランキング下位のマスターを育てるノウハウがあるってことか」
「ククク、はいそれはもう。いやーそれにしてもボスのダンジョンのご飯はうまいですね。ずっとここに住んでいたいです」
「住む………………それ良いな」
「はい?」
どうせダンジョンは繋がってるんだ。ダンジョンの操作もスライムダンジョンからできるのならわざわざ離れる必要は無い。
コアを集中させた方が防衛の戦力を一点集中させられるし。
空き部屋もたくさんあるし、すぐに会議できるし利が大きい。
これを機にコアルームも隠し層に移そう。ショップの後ろは閉鎖だな。
「それはともかく、ジョーカーには今加盟申請保留中の下位マスターたちの育成をしてくれないか?DPはこれだけ出そう」
俺は右手の指を三本立てた。
「300万DP⁉」
「3兆」
「はあ⁉あ、失礼」
「構わない。俺はこの反応を見るのが好きだからな」
「あまり良い趣味ではありませんね」
でも楽しいから仕方ないだろう。
今同盟にいるマスターたちにはとりあえず1兆DPを上げる予定だ。
バトルの時の防衛は俺のダンジョンのみで行うから、他のマスターたちは自分のモンスターの質を上げるだけでいい。
冒険者ギルドに目を付けられてほしくないので、強力なモンスターを表に出すのは厳禁だ。
「育成するマスターは19人。足りなかったらもっと出すから言ってくれ。中堅くらいの実力になってると助かる。早く戦力にならないと困るからな」
「シングルナンバーたちですね。了解しましたボス」
俺の同盟は俺を含めると62人。
シングルナンバーの同盟を除けば一番人数がいる同盟だ。
他の同盟の人数がどうなってるかと言うと、シングルじゃないが、10位から言おう。
10位は28名、9位は71名、8位は74名、7位は78名、6位は53名、5位は91名、4位は95名、3、2、1位はシングルが3人もいる同盟で140名。
6位には人数で勝ってるが、ダブルナンバーの数が全然違う。
6位は少数精鋭の同盟ってことだ。
「そんなわけだ。頼むぞ」
「ククク、これだけDPがあるのなら、他の中堅マスターたちを上位程度まで育て上げることもできましょう」
このピエロは頼りになるな。
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