第56話

『子供たち。よく集まってくれたね。それでは、お待ちかねの序列発表だ』


 どこからともなく父の声が聞こえて、目の前に、四本の巻物が落ちてきたので慌ててキャッチした。


 俺の順位は殺害数部門884位、DP収入1位、ダンジョンバトル勝利数752位、総合は478位だ。

 初でランキング中位くらいなんだから幸先は良いんじゃないか?


 巻物から周囲に視線を移すと、先程話していたマスターたちが、信じられないように目を見開いて俺と巻物を交互に見ていた。


「そ、そんなに驚く?」


「マスター、順位じゃなくて収入の額を見てください」


 コアちゃんに示されたところを見ると1位の俺と、2位の魔王さんと比べると桁がかなり違った。

 だいたい0が7つくらい離れている。


「ユースケ殿、魔王様は常に全ての順位で1位だった御方じゃ。その方から圧倒的大差で1位を取ったと言うことは」


 そう言いながら先程同盟関係の会話をしていた時に、その輪の中には居なかった老紳士が近づいてきた。


「目を付けられたってことか。どうも忠告ありがとうおじいちゃん」


「ほっほ。儂が序列1位、魔王ゼルドアじゃ」


 彼がそう名乗った瞬間、ぶわっと俺を目に見えない何かが押さえつけてきた。思わず膝をついてしまう。

 プレッシャーとでも言うのだろうか、その視線だけで反射的に俺の目尻に涙が浮かんだ。


「ふむ、儂から一つだけじゃが、頂点を奪ったというからどれ程のマスターか見に来たが……お前さんからはこれといって特別な何かは感じられんのう」


 まじでこの爺さんが1位の魔王なのか…………目を付けられた!

 てか、ヴァイオレット助けてくれ…………あいつ食事に気を取られてこっちに気づいてすらいねえ!おい盟主のピンチだぞ!

 くそ、このまま侮られてバカにされるだけで終われるか。何か言わないと。


「へ、へえ。その評価はこれを見てないからじゃないですか?」


 俺がアイテムボックスの中のアダマンタイトスライムフル装備を一瞬で装着してみせた。


「ほう。純度100%アダマンタイト製の全身鎧。剣も当然のようにアダマンタイト製じゃな。すまんすまん先程の言葉は撤回じゃ。お前さんの成長が楽しみじゃわい。いつかダンジョンバトルでもしようかの。ほっほ」


 魔王ゼルドアの爺さんはそう言い残して去っていった。

 しまった。今のだと挑発じゃないか!やらかしたー。


 こうなったらあの爺さんが俺に勝負を持ちかけてくる前に、何としてでも陣営を強化しないといけない。


「すごいプレッシャーでしたねマスター」


「ああ。帰ったらモンスターのランクを調べてガチャ回して、ダンジョン広げて……」


 まだまだ勉強することばっかりだ。






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