第50話

 ヴァイオレットが指したところの近くに三角印、つまり俺の派生ダンジョンの入り口があるという事だ。


「それじゃあ、このダンジョンからテレポートゲートを持たせたスライムを向かわせるから受け取って適当なところに置いといてくれ」


「え、ええ分かったわ。でも、テレポートゲートなんて高い物、よくホイホイと置けるわね」


「DPだけは有り余ってるからな。これくらい安いもんだ。DPの譲渡をしよう。はいこれ」


 ヴァイオレットの手にDPの譲渡カードを置く。

 このカードはショップで無料で売られていて、中にはいくらでもDPを入れることができる。

 とりあえず手持ちの一割入れとこう。


「ありがとう。何ポイント入ってるの?」


「十兆DPくらいかな」


「じゅっ⁉多すぎるわよ!こんなに渡して大丈夫なの⁉………………そもそも何でそんなに持ってるのよ!」


「手持ち一割を入れたから大丈夫。やっぱり十兆は多かったか。お前って一日どれくらいのDPが手に入るんだ?」


「い、一割…………あたしの収入は五万DP、多い日で十万DPよ」


 一ヶ月で百五十〜三百万DP一年で最大一億五千万DPか。桁が圧倒的に違うな。

 俺の収入を聞いてヴァイオレットは放心状態だ。


「スライムってそんなに儲かるの?」


「うーん、どうかな。多分俺のスライムは特別製だから難しいと思う」


 この世界の一般的なスライムと、俺のスライムは強さ以外の性能は全然違う。

 通常スライムの分裂は月一だし、進化のスピードも遅いし、そもそも普通のスライムはマグマなんか食べられない。


「そうなのね。あなたの異常さが分かったわ。きっと序列争いの上位にも行けるでしょうね」


「ちょっと待って、序列争いって何?」


 ヴァイオレットの言葉に気になるワードがあったので、思わず聞いた。

 彼女によると序列争いとは、半年に一度開かれるダンジョンコアの生みの親が主催するパーティーでのランキングらしい。


 ランキングは今までの侵入者殺害数部門、DP収入部門、ダンジョンバトル勝利数部門の三部門あり、それらを総合したランキングで序列が決まる。

 ヴァイオレットは898位中の73位らしい。


「あなたは少なくともDP収入部門は一位ね。新人のダンジョンマスター百人は、今回が初めてのパーティーだからあなた目を付けられるわよ」


 以前考えていた通りだな。そりゃ新人が先輩を差し置いて一位だったら面白くないだろうな。


「そもそもダンジョンコアは、どのくらいの周期でどれくらい生まれるんだ?」


「九百を切ったらそのたびに百個生み出されるわ。最初期のコアのマスターはもう五十人も居ないわ。あたしは十五世代、あなたは五十三世代目のマスターよ」


「この世界は長命種が多いんだなぁ」


「ダンジョンマスターは不老よ」


「まじか」


 ダンジョンコアは生み出されてまず、マスターを探す。マスターとなるのは人間族、妖精族、獣人族、魔族が基本的に選ばれるが、中には知恵あるモンスターをマスターに選ぶコアもあるらしい。


 そしてどのマスターにも共通することは一つ。マスター単体でかなり強いということだ。


 マスターとコアは一心同体。弱いマスターは願い下げってことだ。

 ダンジョン内の全ての戦力が気絶してもヴァイオレットはなんとか耐えてたしな。


「パーティーはいつあるんだ?」


「えーっといつも通りならもうそろそろ……3日後ね」


 急だな。






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