第49話

 鳩が豆鉄砲を食らったような顔をするヴァイオレットに、俺のダンジョンの長所と短所について洗いざらい話した。


「と言うわけで、モンスターがスライムしか召喚できない俺がDPを渡す代わりにヴァイオレットからはモンスターを渡してほしいから同盟を組んでほしいんだ」


「それはこちらとしても願ってもない条件ね。てゆーか敗者のあたしに決定権はないわ」


「それじゃあ」


「同盟成立ね。…………はあ、今になって思えばあの時パンツを見られて正解だったのね」


 パンツ見られて正解って……淑女としてそれはどうなんだ?


「そういえば気になったことがあったんだけど、何で100年物の大型ダンジョンのダンジョンマスターであるヴァイオレットがあんな田舎でせこせこと生命力を吸っていたんだ?」


「ああ、あれはドッペルゲンガーよ」


 この世界のドッペルゲンガーとは、それ自身に意思はなく、自分の意識を乗せると自分と同じ姿になるモンスターだそうだ。要はリモートコントロールできるマネキンだな。

 利点は安全に外の世界を見て回れること。


 戦闘力は皆無で本当に偵察にしか使えないらしい。

 本人じゃないんだったら別にパンツくらい見られたって気にしなかったら良かったんじゃ……。


「何よ?」


 俺の失礼な思考に気が付いたのか、ヴァイオレットはジロッとこちらを見てきた。


「いや別に…………よし。同盟を組んだところで、どっちが盟主か決めよう」


「あなたに決まってるでしょ」


「でも、ヴァイオレットのほうが大先輩だし……」


「あたしは敗者、あなたは勝者」


 面倒な。あまり長や主の付く役職に付きたくないんだよ。


「そうなるか。はぁ…………ところでこの勝負はどうなったら終わるんだ?」


「あなたがあたしのコアに触れれば終わるわ。でもそしたらあなたは自分のダンジョンに強制送還されるから同盟の諸々の決めごとを詰めておいたほうがいいと思うの」


 同盟相手とは言え簡単には会えないのか。

 めっちゃ不便だなぁ。何かいいアイデアは無いか。


「………………そうだ!ヴァイオレット、お前のダンジョンはどこにある?」


 この世界の地図をヴァイオレットに渡してダンジョンの位置を聞く。


「えーっと、この辺りね」





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