第41話

 俺は午前のギルドの書類仕事終え、今は昼食を取っていた。

 昼食は俺の最愛の妻が作ってくれた弁当だ。


 妻とは俺がギルドマスターになる前の冒険者時代からの付き合いで、もう十五になる息子と十二の娘がいる。

 そういえばあのおかしなダンジョンマスターも息子と同じくらいの年だったか。


 いや、ダンジョンマスターは不老の存在。見た目で判断はできない。

 そう考えていると、クローゼットからひょっこりと、そのダンジョンマスターが出てきた。


「ジェノルムさん。こんちはー」


「ぬおっ!……ユースケか⁉一体どうやって来た?そして何故クローゼットから出てきた?」


 ユースケは最近出現したスライムダンジョンのダンジョンマスターで、本来ならば俺たち冒険者の敵となる存在なのだが、こいつのダンジョンは特殊すぎる上に人類への恩恵が絶大なため、ギルド含め至るところから暗黙の了解で保護されている。



 そんなダンジョンのダンジョンマスターなのだから破天荒なのは分かるが、何故クローゼットから?


「スライムにこのクローゼットまでテレポートゲートを持ってきてもらったんですよ。もちろんジェノルムさんも使えますよ」


「お、おう」 


 いつの間にそんな事を……一応ここギルドで一番警備を徹底させてる筈なんだがな。

 そういやこいつは全てのスライムに命令できて、そのスライムたちは世界中に居るのだったな。もうこいつ世界征服できるんじゃないか?

 いや、でも所詮スライムか。でも進化種を使われたら、うーん。


「それで今日来た用事なんすが」


「お、用事あったのか」


「何の用事もないのにここまで来ませんって……」


 それもそうか。ダンジョンの中でしか本領発揮できないダンジョンマスターは余程のことがない限り外に出てこないと言われている。


 テレポートゲートを使ったとはいえ、ダンジョンマスターがそうやすやすと外に出るはずが無い。なにか大きな事件が起きてるのかもしれない。


「分かった。聞こうじゃないか」


 ユースケが持ってきた話を聞くにつれて、俺の常識が、ガラガラと崩れていった。






============================




もしも少しでも面白いと思ったら、フォローやレビュー、応援をしていただけると、非常に励みになります。よろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る