第36話
ドクターたちの活躍により、村人たちはみるみる回復していった。
様子を見に行くと、チナから話を聞いていたのか色々な人から泣きながら手を握られ感謝された。
「ゾル、村の食糧状況はどうなってるんだ?」
「ある程度粟や野菜の備蓄があるけど、三、四日保つかどうか……」
俺が聞くと、そうゾルは答えた。
しかし、三、四日か……ほとんどの村人が病み上がりだしこのままだと皆飢え死ぬぞ。
それに暫く何も食べれてないらしいから、胃が弱ってるだろうしガッツリしたものが食べられないだろう。
仕方ないな。
俺は懐から一匹のスライムを取り出した。
「おいユースケ、なんで懐にスライムを入れてるんだ?」
ゾルがドン引きした様子で聞いてきた。
結構ひんやりしていて気持ち悪くはないんだけどな。
「こいつはアイテムボックススライム。アイテムボックスの魔法を使えるスライムだ」
俺の説明におぉ!と、ざわめきが起きる。
そういえば、アイテムボックスのスクロールって確か一億DP。めっちゃ高かったなあ。
相当レアな魔法なのだろうか。
「どうしてそんなに驚くんだ?」
「ゲホゲホ、アイテムボックスとは今は失われた古代のゲホ、魔法なのですじゃ」
俺の疑問に村の長老のオーイ爺が答えてくれた。
モブダの袋が高かった理由はそれか。
しかし失われた魔法ねえ、でも俺アイテムボックスのスクロールなら宝箱の中に入れちゃったぞ。
もう撤去するの面倒だし、モブダの袋がアダマンタイトスライムの収入の半分以上が吹き飛んだことを考えればまた一騒ぎ起こるな。
しかもアイテムボックスより高い魔法のスクロールがまだまだあるんだよなあ。今度ジェノルムに他の魔法の価値について聞いてみるか。
それはそうと今は飯だ。スライムから大量の米と五、六匹のシェフスライムを取り出した。
アイテムボックススライムの収容量は底が見えない。
スライムを入れて数十日放置しても満杯にならないくらいだ。
うーん、米以外は塩と野菜と、ソーセージくらいならいけるか。
「シェフ、これでおかゆを頼む」
病み上がりの人たちにはお腹に優しいものをあげないとな。
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