第37話
俺の命令を聞いて、外へ食材を運んでいくシェフスライムたち。
隠れて作るのか?職人、いや、職スライムとして技術は見せたくないとか?
どうせスミススライムみたいに体に取り込んて料理するだけだろ。
まあいいや、もう放っといていいだろう。
「アイテムボックスが使えるなんてすごいスライムだな。あれもダンジョンで捕まえたのか?」
「ああ。あのダンジョンは、罠にさえ気をつけていれば、余程のことがない限り命の危険は無いからな。食い物を作るスライムや食べられるスライムも居るから好き嫌いしなければ最悪迷っても飢え死ぬことは無い。しかもあそこのスライムはテイマーの才能が無くても懐くときがあるからゾルも行ってみたらどうだ?入り口はすぐそこだし」
ついでにうちのダンジョンの宣伝もしておく。
侵入者の九割を占める最初の入り口だけじゃなく、派生ダンジョンからも人入りを増やしてダンジョンを賑わしてもらいたい。
利用者が多いほど、人間にとってうちのダンジョンの重要性も高まるからな。
「俺はいいよ。今の生活に満足してるからな」
ゾルは脈無しか。しかし、他の村の少年、青年は聞き耳を立ててるから良しとしよう。
さてと、シェフたちがお粥を作ってる間暇だな。
隅で漫画でも読んでいるか。
DPショップの品物の入荷状況は元の世界とリンクしているようで、俺がこの世界に来てから発行されてる漫画やラノベの新刊が随時ショップに入荷されている。
先輩の気遣いだ。
全く縁先輩には感謝だ。これで元の世界との唯一の心残りがなくなった。
アイテムボックススライムからアメの袋を取り出して口の中でアメを転がしながら漫画を読む。ふむ、マスカット味か。
少しして視線を感じたので顔を上げると、俺の足元にあるアメの袋をじーっと見つめる子供たちがいた。
やめろ。そんなにキラキラした目で見なくてもあげるから。
「ほらよ。もうすぐご飯ができるから一人一つだぞ。後喉につまらないようにゆっくりなめろよ」
「はーい」
「ありがとー」
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