第33話
「でも助けてくれてありがとうです。私が居なくなったら、村のみんなが大変なことになってたです」
よし、これで本題に入ることができるな。
「村のみんな?詳しく聞かせてくれないか」
「はいです、実は……」
教えてもらったことは鑑定でほとんど分かっていた、しかしいくつか新たな情報が手に入った。
チナの両親は他界していて他の兄弟は18歳の兄と10歳の弟、8歳と5歳の妹だそうだ。
そして村の名前はタッタリー村。縁起の悪そうな名前だ。
鑑定は本人のことなら詳しく書かれているが、周囲の人間関係や地名はかなり雑に説明されてるんだよなぁ。
普段は悪意有無とかを見るためにしか使ってないから問題ないけど、こういう時は不便って、タダで鑑定が使えるのにこの悩みは贅沢すぎるか。
「ん?タッタリー村?どこかで聞いた気が…………あ、そうだ」
「どうしたですか?」
「確かその村の近くにこのダンジョンのテレポートゲートが繋がってる派生ダンジョンがあった気がするな」
この前調査に来た冒険者について行かせたキャンディースライムからの情報でそんな名前の村あった気がする。
あんまりな名前だったので記憶に残ってるのだ。
てことはこの子、半日もかからずこのダンジョンに来れるのにわざわざ長旅してここまで来たのか。
テレポートゲートを使えばさっきの三馬鹿にも襲われずに済んだのに。不憫だ。
チナもそれに気づいて四つん這いになって分かりやすく落ち込んだ。
「…………よし。君のスライム探し俺も手伝うよ」
「え、良いですか?」
「大丈夫大丈夫。俺暇だし」
「ありがとうです!」
本当に警戒心が無いよな。詐欺とかにすぐ引っかかりそうだ。
「おいおい。そんなに簡単に信じていいのか?俺も人さらいだったらまたピンチだぞ?」
「ユースケさんが悪い人だったら二人で一緒の部屋にいる時点で詰みです。むしろ今無事なことがユースケさんが悪い人じゃない証拠です」
うーん。ど正論。思ってたよりチナは頭がいいのか?それとも人を見る勘が鋭いとか。
「君の言う通りだな。俺は君のお目当ての物に心当たりがある。ついてくると良い」
それから一時間とかからず、スタンバイさせておいたドクター、メディスン両スライムを見つけることができた。
ついでに置いておいたジュエルスライムと大量の宝石を見つけたときチナは少しチビッたようだ。
もちろん気づかないふりをして黙っておいたさ。
============================
もしも少しでも面白いと思ったら、フォローやレビュー、応援をしていただけると、非常に励みになります。よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます