第26話
「テレポートゲートの先は様々な大陸だっただと…………」
先日帰還したスライムダンジョン調査隊のAランク冒険者の報告を聞いて、俺は絶句した。
報告によるとゲートを抜けた先は同じようなダンジョンだったが、外に出るとかなり距離のある大陸や国だったそうだ。
つまりあのダンジョンを利用すればわざわざ危険で大量の物資を必要とする旅をしなくても各地に行けるということだ。
もうヤダあのダンジョン。ビックリ箱すぎる。
「実は、その中に神聖国ウォルテニア内に繋がるものもあって……」
「ウォルテニアだと⁉」
神聖国ウォルテニア。名前だけ聞けば聖職者が毎日神に祈りを捧げてる平和そうな国だが、実際は国家機密の勇者召喚によって呼び出した勇者の力を使って各国を侵略する強大な軍事国家だ。
勇者は全員転移能力を持っており、いくら万全の備えをしても軍隊を転移させて奇襲してくる。
反撃しようにも、ウォルテニアは険しい山脈に囲まれており、大軍での進軍が不可能な上、ここ数年でウォルテニアは勇者無しで転移魔法を使う術を手に入れ調子づいてきている。
そんな時に、ウォルテニアに攻め入る道ができた。
どうなるかは歴然。全面戦争だ。
各国の軍隊がこぞって攻め入るだろう。
あの国を恨んでるところは多いから。いや、恨んでる国しかないな。
だがそんなことになれば、ウォルテニアは自暴自棄になって報復として捨て身で転移魔法による奇襲を無差別にするかもしれない。
泥沼の憎しみの連鎖だ。
今のウォルテニア一強よりも民間人の犠牲は増えるだろう。
今も侵略はしているが、さすがのウォルテニアも降伏した国の人間は命の保証はしている。
「どうしましょう。転移先の調査でウォルテニアの事は話していませんがそれ以外は話してしまいました。各国がウォルテニアに行けることを知るのは時間の問題です」
「……俺が行こう。問題になる前にコアを潰す」
「ギルマスが⁉だったら俺も」
「気持ちは嬉しいがお前はAランクになったばかりだろう。はっきり言って足手まといだ。今回は時間との勝負、のんびり攻略はしていられない」
「……はい、分かりました」
悔しそうに唇を噛んでそれだけ言ったがこれでもAランク冒険者。いつか俺を超えてくれるだろう。
今日の悔しさを糧に精進しろよ。
「さて、腕がなまってないといいがな」
俺は壁にかけていた冒険者時代の相棒のバスタードソードを取り、スライムダンジョンへ向かった。
が、途中で副ギルドマスターに捕まって事情の説明をさせられて、しばらくギルドから出られなかった。
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