第27話

「どうしようコアちゃん。ギルドマスターが来るよ!」


「はいそうですね。何か問題でも?」


 俺が焦ったように言ったが、冷静に質問してくるコアちゃん。

 俺に考えがあると見透かされている。さすがだ。


「いや、言ってみただけだ。それじゃ計画を立てようか」


「はいマスター」


 驚いたことにジェノルムはモブダたちが一週間以上かけてくる道を五時間で走って来てしまった。

 そして恐ろしい速さで五層の巨大迷路へたどり着いてしまった。

 こいつ片足義足だよな?


「ジェノルム、思ってた以上に化物だな」


 ザ・中間管理職な容姿のくせになかなかどうして強すぎる。


「コアちゃん、あれを投下」


「了解」


 そしてジェノルムの前に投下した手紙は……一瞬で細切れにされた。

 警戒しすぎだし、反射神経良すぎ。Sランク冒険者になる前に冒険者をやめたとは言へ、実質Sランクだろ?ちょっと冒険者のこと舐めてたかもな。


「マジかよ……あれ見てもらわないと話になんないぞ。仕方ない前方百メートル先に台座を設置、その上に置こう」


 流石に今度はジェノルムも手紙を見る。

 手紙を読むと、ジェノルムは剣を収め、両手を上げてくれた。

 手紙に書かれていることはシンプル。


【話し合おう ダンジョンマスター】


 どうやらその気になってくれたみたいだ。


「ジェノルムをこちらに案内しろ」


 スライムの誘導に素直に従って一時的に迷路内に設置したマスタールームに来たジェノルム。

 からの抜刀。俺の首を正確に狙ってくる。


「シールド!」


 念の為覚えておいたシールドの魔法を使って防ぐが、ガラスのように割れる。

 が、更に念を入れて用意しておいたシールド専門のマジックスライムたちの多重シールドによって何とか俺の首は守られた。

 しっかし容赦ないなー。ヒヤリとした。ぶっちゃけチビッた。


「おいおい、話し合おうって意味知ってるか?それとも脳筋か?これが話し合いなのか?」


「すまんすまん。罠かと思ったので試した。今の一撃を防がれるようじゃ俺なんかじゃ手も足も出ない。既に命を握られてる状態なのに生きていられるってことは罠じゃないってことだ」


 絶対にあわよくば殺してやろうって勢いだったけどなぁ。

 もしかして許すかどうかで俺の人格を測ってるのか?今のセリフで許さなかったらこっちが狭量だと思われるとか。

 なんとも調子のいいことだ。






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