第25話

「オッス少年。また来たぞ」


「あっ、モブダさん。お久しぶりです」


 初心者狩り狩りの数日後、アダマンタイトスライムを手放した為、行方が把握できていなかったモブダのパーティーが再びダンジョンにやってきた。


 装備がかなり強化されたものになっているが、ミスリルやオリハルコンだった。

 どうやらアダマンタイトは売って、その金で装備を新調したらしい。


 確かに、塊2つだと一人分の全身装備になるかならないかだからな。グレードを落としてもバランスの良い装備のほうが賢いか。


「あれ?俺名乗ったっけ?」


「あっ、えーっと……他の冒険者の人から聞いたんですよはい」


「そっか。なるほどな」


 危ねえ危ねえ。そう言えば一回も名前聞いてなかったな。

 相手の知っていることと俺の知っていることをちゃんと考えながら話さないといけない。今度から気をつけよう。


「お?店員増えてんな。しかも二人共中々美人じゃん」


「ははは。ありがとうございます。実は二人共俺の姉で店を手伝ってくれてるんです」


 本当は初心者狩りを捕食させたスライムなんだけどな。

 ヒューマンスライム。DPは捕食させた人間の強さによって変わる。


 残念ながら分裂能力が無くなってしまったが、見た目も肌質も人間と全く変わらないスライムで知能も高く、命令しなくても店員として仕事もそつなくこなす。


 外見は自由だった。

 だったらそりゃ美人のお姉さんにするよねえ。

 こっちの方が客受けいいし。


「ところで今日は攻略ですか?」


「いや、攻略と言うほどではない。金目のものを見つけようと思ってな。本格的な調査前のダンジョンは一番の稼ぎどころだからな」


 テレポートゲートの調査をする冒険者は一週間後に着く予定だ。

 外の調査もできてきたし、そろそろ全てのダンジョンの入り口を開けたほうがいいな。


「携帯食を持ってたんだが、ここまで来る間に少し食べすぎてしまってな。食料は売ってるか?」


「もちろん。これなんてどうでしょうか」


「これは……何だ?」


 俺がモブダに見せたものはカップ麺だ。

 50DPで購入できる。結構高い。


「これはですね、お湯を入れて……」


 三分後


「何だこれ!めちゃくちゃ美味えぞ!」


「湯を入れて待つだけか。簡単だな」


「もうそこらの携帯食が食えなくなるな」


 普通の冒険者ならカップ麺用の水なんて運んでられないが、こいつらはアダマンタイトを売った金の半分以上を使ってアイテムボックスの魔法が付与された袋を買ってるから水も火をおこす道具も持っている。

 他の冒険者はわからないが、こいつらになら絶対に売れる。


 ちなみにショップにはゲームやテレビ、漫画や小説まであり、店員を得た俺はそれらを購入して遊びまくっている。


 厳しい親のせいでニートになれなかったが、この異世界なら夢のヒキニート生活ができるかも。

 しょうもない事考えているうちに、モブダ一行はカップ麺と菓子パンを大量購入し、そのまま一層に進んでいった。


 今店には誰もいない。


「コアちゃん。マスタールームを拡張。三倍くらい」


「了解。10万DPを使用しました。」


 今のうちにしれーっと店を広げた。

 マスタールームだけは拡張できるからこうしてちょこちょこ拡張している。

 そういや俺って金使わないよな。

 まあ、いつか使う日も来るか?とりあえず貯めておこう。






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