第23話
「はい?」
「いいや、何でもない。とりあえず迷路直前の大量のテレポートゲートの調査は適当なAランクBランク冒険者に任せるとして、問題は五層からの巨大迷路か。行けるやつがなぁ……」
確認されているダンジョンのテレポートゲートの先は全て安全地帯となっているから。絶対とは言い切れないがテレポートゲートは安全だ。
ダンジョンを研究している学者は、ダンジョンマスターにとってテレポートゲートは貴重だから壊されないための策ではないかと提言されてるが真偽は分からん。
だからテレポートゲートの調査は低ランク冒険者でもいいのだが、このダンジョンにはテレポートゲートがたくさんあるらしい。
学者の説を基に考えるなら、このダンジョンのダンジョンマスターにとってテレポートゲートは大した価値がないのではないのでないか?
もしテレポートゲートの先が危険地帯なら修羅場の経験が少なく、危機感の薄い低ランク冒険者に調査させるのは危険だ。
そして明らかに広大でテレポートゲートより危険な巨大迷路の調査。ここの調査はSランク以上の冒険者に任せたい。人外と呼ばれる彼らなら何かあっても生還はしてくるだろう。
貸しのあるSランク以上の冒険者なら何人か心当たりはあるが、あいにく全員出払っている。
半端にAランクに任せてもしものことがあったら大きな損失だしなぁ。どうすればいいか。
「危険性だけ注意しておいてしばらく放置したらどうですか?」
とりあえずの措置としてはそんなものだろうな。
Bランク以上なら一人で大抵の罠は解除できるし、自分の実力に合わないような事するやつはそこまで。冒険者なんて続けられない。
冒険者は冒険しないなんてよく言ったものだ。
「それもそうだな。そうするか。Sランクの冒険者が帰って来てから本格的に調査だな」
「それで、このスライムですが……」
「個人がアダマンタイトを出せるスライムを所持してるなんて噂が出回れば、翌日にはそいつの葬式が行われてるだろうな。金は十分の額をやるからギルドに渡した方が賢明だと思うぞ」
至る関係各所が暗殺者を雇って昼夜問わず襲ってくるだろう。暗殺者ギルドは大儲けだ。
「そ、そうですか……秘密にしなくて良かったあ」
モブダたちはそこでやっと事の重大さに気付いて真っ青になった。
「まあ、今までの間に手に入れたアダマンタイトについては目をつぶってやる。それだけでもかなりの額になるだろ?」
「……気付いてましたか」
「当たり前だアホ。ギルマス舐めんな」
俺の目を欺こうなんて十年早いわ。
「多分このスライムは本部のグランドマスター預かりになるだろうな。せいぜいそれまでの間ギルドで恩恵を授からせてもらおうじゃねぇか」
その後、いくつか話をしてモブダは退室した。
しばらく新しいダンジョンの情報の掲示を作ってた俺だが、そこで一つ思い出した。
ダンジョンの名前を考えてなかったのだ。
「……スライムダンジョンっと。これでいいだろ」
翌日、掲示板を見た冒険者の多くが目を金のマークにしてスライムダンジョンへと向かったのは言うまでもない。
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