第14話
「君はテイマーなのかい?僕もそうなんだ。よかったら君の言ってた、いろんなスライムを見せてくれないかな」
テイマーであり、モンスターオタクのナニカが少年のスライムの話に食いついた。
「いいですよ。まずはこれ、キャンディーです」
「キャンディー?」
少年は俺に一見何の変哲もない飴玉を渡してきた。
「口に含んでみてください」
「あ、ああ……リンゴの味がする」
甘くていつまでも舐めていられる。
「それスライムなんですよ」
「ブフッ!」
思わず吐き出したら、キャンディーはひとりでにポンポンと跳ねながら少年のもとに戻っていった。
「なんてもんを食わしてくれたんだ!」
驚き過ぎて後ろにコケた俺をダレカが起こしてくれる。
「面白いでしょ。俺はこいつをキャンディースライムと呼んでいます。他にも味が違う種類がいるんですよ」
「へえ、なかなか変わったスライムだね。他には?」
少年と珍しいモンスターに目を輝かせたナニカは俺を無視して話を続けた。
「ここからはただじゃあ教えられないなー」
ちゃっかりしているガキだ。
まあ、ダンジョンの情報は冒険者の生命線だ。最低銀貨十枚くらいは取られるだろうな。
「千円……じゃなくて銅貨一枚でダンジョンの情報を教えますよ」
安!オンボロの安宿ですら銅貨二枚は取られるぞ。
このガキはこんな金銭感覚でこれから店なんてできるのか?
「や、安いね。これでいいかな?」
ナニカが懐から銅貨を取り出して渡した。
「ここにはスライムか、スライムの進化種しか出てきません。一層は普通のスライムだけで二層から進化種が出てきます。二層は森林地帯で植物系と昆虫系のスライムが出てきます。三層は湿地帯、カエルのようなスライムを見かけました。四層は溶岩地帯でこの層のスライムが一番攻撃的です。五層からは石壁の通路で所々落とし穴や回転する床がありました。巨大迷路って印象がありましたね。方向感覚が狂ったら出られそうにないので注意が必要です。そこには、今まで見たスライムに加えて他にも多種類のスライムがいました。この剣を見つけたのもその層です」
スライムってそんなに多種多様だったか?俺の知ってるスライムの進化系は色が変わったくらいなんだが、もしかして新種のスライムがウジャウジャしているとか。
しかも話の内容からこの兄妹は、ダンジョンをかなり探索してるようだ。それこそもともと俺達の仕事のはずなんだが。
……どうしてこれだけの情報が銅貨一枚なんだ?ギルドに報告したら金貨一枚は確実にもらえるぞ。
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