第13話
俺の名前はモブダ。ドコカ村出身のCランクの冒険者だ。
自分で言うのも何だが、冒険者てのはCランクからは一流だと言う言葉もあって俺自身、年のわりにかなりの実力があると言う自負がある。
その証拠に俺はパーティーメンバーのダレカ(剣士)とナニカ(テイマー)と一緒に先日出現したダンジョンの調査に向かっている。
どんな危険度のダンジョンか分からないからCランク以上でないと受けることも許されない危険任務とされているがその分報酬もいい。
今朝、ギルドマスター直々に勧められたこともあって受けることにした。
「モブダ、ここか?」
「みたいだな」
入り口は最もありふれた洞窟タイプか。こういったダンジョンは概ね低ランク向きダンジョンな傾向がある。
しかしダンジョンは階層ごとに環境が違うときがあるからまだ油断できない。
警戒しながら入ると、まっすぐ奥まで続く道と、左に細い道の2つに分かれている。
「どっちだ?」
「左からは人の声が聞こえる。前方はモンスター……スライムだな」
ナニカが言うなら確かなんだろうが、人の声?ギルド以外の人間が、もうこのダンジョンに居るのか?
「……左に行こう。先にここを見つけた冒険者だとしたら何かしらの情報が手に入るかもしれない」
左に曲がり、しばらく進むと。
「いらっしゃいませー」
何故か店があった。
「「「は?」」」
「冒険者さんですか。ダンジョン攻略の前にうちの商品見ていきますか?」
店には店主らしき少年と、棚に商品を並べている少女の二人だけしかいなかった。
「おい!何でできたばかりのダンジョンに店があるんだ⁉」
「はい、俺たちは兄妹で旅をしていたんですよ。そしたら偶然このダンジョンが目の前にできたんです。ちょっと興味が出て探索したらこのダンジョンの奥にはいろんなスライムがいて、テイムしてたら宝箱を見つけてこんなのが出てきました」
そう言って少年がカウンターの下から出したのは、アダマンタイト製と思われる黒い大剣だった。
「何、だと……」
アダマンタイトなんて始めて見たが、色んなおとぎ話に出てくる勇者の剣と瓜二つだ。
持たせてもらうと、金属の剣とは思えないくらい軽い。
そして俺の剣をぶつけるが、びくともしないくらいの強靭さ……これ本気でぶつけたら俺の剣のほうがポキっと折れてしまうな。
間違いない本物だ。
「ですよねー!びっくりして一度入り口まで引き返したんですけど、そこで思ったんですよ。ここでお宝を見つけまくれば」
「億万長者も夢じゃない……か」
少年の言葉をダレカが続けた。
こんな国宝級のお宝が、お世辞にも強そうには見えない少年と少女だけで行くことができる所にあるんだ。
そのさらに深層には何があるのか、冒険者としてワクワクが止まらないぜ。
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