第12話
「どうしたのですか?」
コアちゃんが不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる。
くっ……かわいい。キラキラ女子だ。スマホ片手に踊ってそう(偏見)。
「な……なんでもない。他についた機能ワァ?」
コアちゃんの見た目にびびり語尾が裏返ってしまうが、頑張って態度に現れないようにする。
こんな所で陰キャ仕草が出てしまった。
「はい。ダンジョン内での鑑定機能が付きました。相手の素性や強さがわかります」
ぐぬぬ。ちゃんと仕事する辺り縁先輩を怒りづらい。
二十三日目
残りのダンジョン制作はコアちゃんに任せて、俺はスライムの実験をすることにした。
今分かってることはいくつかある。まずスライムは食べた物によって進化が変わる。
進化しても更に進化する場合もある。鉱物系のスライムはほとんどがクレイスライムから派生した進化先だ。
次に道具を食わせたらその道具そっくり性能は同じに進化する。
そしてこれが重要。同じジャンルのものを食べさせたら広い範囲の名前になる。
例えばジュエリースライム、メタルスライムだ。
逆に一つのものを食べさせたらそれに特化したスライム、例えばアイアンスライム、ダイアモンドスライムになる。
このことから次の実験。鍛冶で使う道具を全て食べさせるとスライムはどう進化するか。
こうして出来上がったスライムがこちらスミススライム2500DPだ。
アイアンスライムから取れた鉄で剣を作ってもらった。
これを新機能鑑定で見ると。
鉄の剣(最上質)
普通の鉄の剣。最上質な為、達人も満足して使うことができる。
かなり良さそうなものができた。
どうやって作るのか気になって見てみたんだが、鉄のインゴットを体の中に入れて変形させていた。
一瞬食事をしているように見えたが違うようだ。
……あんなに食った道具使わねえのかよ!
ツッコミはさておき、次にアダマンタイトの剣を作った。
アダマンタイトの剣(最上質)
魔力伝導率が最高で歴代の勇者たちですら簡単に手に入れることができない。
一振りで国宝級。
なんかすごそうなのが出来上がった。
これ俺がもーらい!
この調子でスミススライムたちに色々武器や防具を作ってもらって適当に宝箱に入れよう。
お店用に何本か取っておく。
ついでに宝石もアクセサリーに加工してもらおう。
次はどんなスライムを作ろうか。楽しいな。
作りすぎてしまった。
たくさん変な失敗スライムが出来てしまったから成功例だけを紹介していく。
手術道具と医学書を食わせたドクタースライム(5000DP)、これとコンビを組ませるメディスンスライム(3000DP)。
いくら舐めても溶けないキャンディースライム(30DP)。
いろんな武器を食わせて変形するようになったウェポンスライム(800DP)、それに様々な魔法のスクロールを食わせて魔法武器になったマジックウェポンスライム(25000DP)。
ただスクロールを食わせただけのマジックスライム(15000DP)。
「マスター、他のダンジョンの内装完成しました」
「オッケー。準備は完全に整った。それじゃあダンジョンがオープンしたときの打ち合わせしようか」
こうして、ダンジョンオープンの日を迎えたのだった。
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