第11話
「何やばいの元の世界に連れてきてるんですか⁉」
「大丈夫大丈夫。普段は娘loveのおっさんだから」
魔王をおっさん呼ばわりってこの人は一体……。
「それじゃ僕は帰るよ」
先輩が帰ろうとしたので慌てて呼び止める。俺は知っておかなければならない。この人が信頼に足る人なのか。
「待って下さい!……一つ質問してもいいですか?」
「……なんだい?」
「あなたは、正義の味方ですか?」
俺の問いに一瞬ポカンとしてた縁先輩だがすぐにニコリと笑った。
「自分自身では物語の主人公みたいな正義を持ってるつもりだよ。少なくとも君の味方ではあると断言しよう。気が向いたらまた来るよ。じゃあね」
そう言って縁先輩は拳で空間を割ってそこに飛び込んだ。何じゃそりゃ。
ここに来たときもこうやって来たのだろうか?だから話しかけられるまで気付かなかったのか。
割れた空間が徐々に修復されてゆく。それが閉じようとした直前にUSBメモリが放り出されて俺は慌ててキャッチした。
同時に手紙も出てきたので広げてみてみる。
『これはコアちゃんのアップデートメモリだよ。本当はこれを渡すつもりで来たんだけど、忘れてたぜテヘペロ。コアちゃんの下の方がパカッて開いて差口になってるから、これを差し込んで新しい機能を活用してくれたまえ 縁』
元々これを渡しに来てたのに忘れてたんだろうな。
「元の世界の噂といい、本当に自由な人だなぁ。いい人そうだし」
ああいう人が羨ましい。
異世界召喚あるあるの召喚者が黒幕展開を俺が考えてると察してあんな回りくどい返事をしてくれたんだろう。
これで騙されてたとしたら俺の運がなかったと思って、俺は縁先輩を信じることにした。
『私のアップデートメモリ……ですか』
「ああ。こいつを入れたら新しい機能が付くんだってさ」
コアちゃんの下の方を触ると、少し引っかかりがあった。カリカリしたら開いたので先輩から貰ったUSBメモリを差し込んだ。
『あはんっ』
「変な声出すなよ⁉」
感覚ないでしょ!
『………………アップデート完了。起動【
コアちゃんが目が眩むほど光り、思わず手で目を覆った。
光が消えて目を開けた俺の前に居たのは、似たような年の少女だった。
落ち着いて何もかも見透かしてきそうな瞳がどことなく先輩を思い浮かべさせてくる。
「どちら様ですか?」
「コアです。マスター」
マジっすか。
呆然としているとどこからともなく手紙が落ちてきた。
『ドヤ!僕が深夜テンションで作った【マイエンジェル】は。君に忠実な女の子を育てていこう!もしかしたらムフフなこともできるかも。見た目のモデルは我が最愛の妹輪名だよ。いかがわしいことしたら殺すからね♪ 縁』
ふーん。ムフフができるかもしれないけど、したら殺されるのか。何だそれ。
さっきから手紙送ってきてるけど絶対直接言いに来る方が早いだろ。
ビリビリビリッ。なぜか少し腹が立ったので手紙は破り捨てた。
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