獣人達との旅~薄血

  ▶作者からの一言◀


 今回から主人公の主要ステータス・アイテムボックス・スキル・ユニークスキルの使用回数とアンロックされたレベル追加能力・クエストボードなどを話末に記載します。


 1.例えば主人公が情事から全裸で寝落ちした場合でも、装備済みはデフォ仕様でステータスとアイテム欄に反映されます。

 2.非装備状態のアイテムやアイテムボックス自体に収納していないもの(例:背負っているだけの剣など)は表記されません。

 3.状態異常に関して一部の症状(※事後などのジョーク要素)は“無し”で記載するものとします。

 4.既に前話でも触れていますが、主人公のユニークスキルの使用回数は日を跨ぐ度に回復します。

 基本、主人公は毎日種ガチャで使用回数を消費していますが、話末に記載するのはあくまでも現在使用できる最大回数の記載になります。

 生成したユニーク種はアイテムボックスには収納せず、主人公がいつも持ち歩いているものとしています。

 5.最終状態は文末でのものとなりますが、主人公自体が逐一確認してているわけでもないことをご了承下さい<(_ _)>

 ※例:次話以降で自身のステータスやスキルについて言及することがしばしばあるなど、他。

 6.若干のネタバレ及びメタではありますが…主人公が安否不明などの状態であった場合はこれらが話末に記載されることはありません(そういう演出です笑)


 ぶっちゃけ、筆者の書き損じ防止ですね…(^_^;)

 どうぞ今後とも拙作にお付き合い下さいませ<(_ _)>



  (‥)



「と、止まれ!」

「この村に何の用だ!」



 ほら言わんことない。

 もろに警戒されちゃってるじゃないですかヤダァー。

 てか、槍コッチに向けられちゃってんですけど?



「……どうすんだよ、コレ?」

「フン…」



 相変わらず俺の背中に張り付くようにしているルッツはまるで素知らぬ態度だが、この状況は明らかに君達に対する警戒だと、俺は思うんですがねぇ?


 にしても、その門番二人だが……女の子なんだよなあ。

 歳はタムとニコちゃんくらいか?


 普通門番なんて男の仕事だろうに。


 それとラウルフの村だと聞いてたけど、ワンピースの上から革鎧を着てるだけの人間・・の女の子に見えて仕方ない。

 …一応、頭の上にイヌっぽい耳と後ろでブンブン振れてる尻尾は確認できるが、手足以外も短い体毛に覆われているルッツ達と比べるとコスプレにしか見えんレベルだぞ?


 随分と雰囲気に差があるもんなんだなあ。


 ……ん? 俺達の来襲に興奮しているのかね?

 顔が赤い…てか、やたら俺を見てる気が――



 そんな事をボンヤリ考えていた俺は、不意に後ろへと引っ張られた。



 無論、それをやったのはルッツだが。

 俺の顔の直ぐ横に寄せた彼女の表情は非常に不機嫌そうであり、犬歯を剥き出しにして「ガルルゥ」と唸り声すら上げていた。

 それに、いつの間にかタムとニコちゃんが俺らとその二人の間に割り込んで、後ろ腰にある物騒な得物ナタさえ抜いていないものの、割とガチで身構えていたからビックリである。

 

 無表情がデフォのニコちゃんが犬歯を見せるほど貌を歪ませる姿など初めて見るから驚きだぜ…。


 流石にそんな三人(主にルッツか)を見てビビったのか。門番らしき二人は顔を青くして槍を引っ込めてくれる。

 …なんかゴメンね?



「オマエらのヨウナわっぱでハ話がデキヌ! 村の長ヲ呼んデ来イッ!!」



 ルッツがそう怒鳴り散らすと慌てて二人が逃げるようにして村の中に駆けて行っちまった…こんなことして、本当に大丈夫かあ?



「大丈夫ダ。問題ナイ」

「エスパーかよ」

「ハッ。ガキ共メ…生意気ニ色気づキヨッテ。ホラ、シド行くゾ」

「え゛? 許可も取らずに勝手に入っていいのかよ」



 だが、俺がルッツにフィジカル面で敵うはずもなし。

 俺はルッツに肩グイされて半ば強制的に入村を果たすことになった。

 タムとニコちゃんも心なしか御機嫌斜めだしなあ。


 てか…色気づくとは? どういう意味だ?


 まさかとは思うが、俺に対してじゃあねぇだろうなあ。

 この異世界じゃ俺がイケメンの分身アバターであったなら話は解るが…。



  (‥)


 

 村の中は石積みの家屋が並んでいて、ぽつぽつと畑のようなものも見える。

 結構広いし、人の数も多い。

 所詮はゲーム脳でしかなかった俺は、村人なんて二~三十人程度かと思っていたが、実際は二百人近く居るのではなかろうか。


 一見すると、村人の中には人間も獣人もどっちもいるように見える。


 ……アレは男の獣人だろうか?

 主に両手両足だけがケモなルッツ達と違って、完全に服を着た人型の獣といった見た目の者の姿も確認できる。


 サイズ感的にはコボルドってよりはリカントって感じだなあ。

 まあ、古典的かつ俺の偏見でしかないわけだが…平均的な人間の等身よりも小柄なのがコボルドで、大きければリカントだと思っておいてくれ。


 ルッツがラウルフの村なんて言うからてっきり獣人だけしかいないもんかと思ったが、俺の杞憂でしかなかったみたいだな。


 だが……。



「早く早く!」

「アレって山賊だろ? 急いで男子供を家に隠せ!」


「…………」



 まあ、村民の反応は上々・・って感じかな?


 村に侵入してきた俺達を目視した村の衆が慌てて家屋の中へと隠れていくじゃあ~りませんか!

 おいおい、ルッツゥ~…こんなんじゃマトモに取り引きなんてできないんじゃないのぉ?



「……っ! ……っ? ………っ!」

「あ。誰かコッチ来たわ」

「フン…やット話ガ出来そナノガ来たナ」



 一応、野次馬根性のある村民は俺達を遠巻きに見ているようだ。

 その中から俺達の方へとズンズン歩いてくる人影と…その横に小柄な人物も随行している模様。


 因みに、さっきルッツにビビリ散らされて逃げてったあの二人も耳をへにゃりと畳みながら後ろから付いてきていたぜ。



「やれやれ…一体何の騒ぎだってんだい」

「……ふぅむ。山賊が村を襲いに来たなどど騒いでおったが?」



 俺達の前にやって来たのは日に焼けた三十代後半くらいに見えるガチムチおばさんと杖を突いている老犬ならぬ老獣人だった。

 獣人の方は仙人っぽいヒゲで目元や口元が完全に見えないなあ。

 服を着て直立歩行しているミニチュアシュナウザーにしかみえん。

 背が子供みたいに低くて、コッチは完全なコボルドだな。

 恐らく、見た目が完全にアンソロ(※心が純粋な良い子の皆は、単にルッツ達とはケモ度が桁違いな人物だと解釈してね!)だから男性獣人だろう…。 



「いやいや、俺達は山賊なんかじゃ…………ないよ?」

「……随分ト間がアッタナ」



 いやだって君、▶称号:ミザー地方の山賊やんけ。

 俺だって交渉ごとに一番肝心なとこだってのに自信ないの、そのせいだよ?



「なんだいなんだい。お前さん、アズマびとかい? しかも、こんな日・・・・に女の獣人まで連れてるなんて難儀なことだねぇ。……にしても隣のラウルフ…いや、狼族は噂に聞く“山賊狩り”かい?」

「まァ、そう呼ばレル事もアル」

「さ、山賊狩りぃ~?」


 

 な、なんだね! そのちょっと厨二心を刺激するフレーズは?


 だが、一先ずは自己紹介。

 日に焼けたガチムチおばさんはサフラというこの村の村長ポジの人物らしい。

 隣のミニチュアシュナウザーめいた御老体はロッカスという相談役ポジらしいね。


 てか、ここでも俺はその件のアズマとやからやって来た異邦人だと思われてんのね…。

 まあ別にどうでも良いし、その方が面倒が起きないというのならそれでも良いさ。


 で、なんで相変わらず俺の肩に腕を回しているルッツが“山賊狩り”と呼ばれるのか?

 何でもルッツは本当に森での通行料徴取山賊ムーブは微々たるもので、本来の狩り暮らしに加えて…どうやら真性の山賊同業者を襲ってその蓄えを奪うという、山賊専門の山賊と言えることをしていたらしい。

 その悪名?はそこそこ高めだったらしく、この村にまで伝わっていたらしい。


 俺はそんな話をサフラから初めて聞き、ルッツの顔を見やれば会心のドヤ顔をキメていなさったさ。


 …その際、コッソリ(まあ周りには見えも聞こえもしないが)と鑑定アプリをルッツに使うと▶称号:ミザー地方の山賊、から▶称号:“山賊狩り”に変化していた。

 この辺のシステムはよく判らん。

 やはり、地図アプリといい、自分で実際に得た知識が反映されるのやもしれん。

 


「その山賊狩りがこんな辺鄙な村に何の用で来たかは知らんがね……いいや、それよりもアンタ・・・だ!」

「……へ? もしかしなくとも俺、ですか?」

「そうさ…ってアズマ人にしちゃあ随分とその、変な感じの男だねえ? 言葉遣いといいさ」



 何とサフラがズビシっと指差したのは山賊ルッツではなく…俺であった。

 

 いや、そりゃそうだろ。

 俺はアズマ人とやらじゃねーし(直球)



「あのさ…まあ、この魔物がうろつく森の中。たった男一人・・・で進むのはさぞ危険だろうし……だからこそ山賊狩りに身売り・・・したんだろうがねえ。…私はお前さんを侮辱する気もないし、だからこそ気を悪くしないで欲しいんだが……少しは、隠してくりゃあしないかね? ……その、この村にもそれなりの年頃の娘だっているんだよ。オマケに今夜の月はまだ丸い・・しさあ。あんまり若いのを悪戯に刺激しないでやっておくれ」

「……えぇ?」



 そう言ってサフラがやや困った顔で目を逸らす。

 後ろにいる門番だった娘らも俺を見て何だかモジモジしているんだが?


 ちうか……たった男一人? まあ、確かに俺は弱いよ、そこは否定しない。

 だが、こんな見てくれ(ホントに見てくれだけ)だがこんな無駄に図体だけはそこそこデカイ男に対する心遣いにしては変な気がする。


 だが、身売りとは…? ルッツ達にか? 現状、そこも否定できんが。

 それもまた、変な言い草だろう。


 …………。


 何だ? 何だ…この違和感は?

 何か根本的に俺に対する扱いが変だぞ。

 それは今迄のルッツ達限定の種族観からだと思ってたが…違うのか?


 ルッツ達もこの村の連中も俺に向ける視線は何と言うか…――


 か弱いに向けるような……ハッ!?


 俺は咄嗟に自分の胸に手をやるが……大丈夫だ、まだ揉めるほどではない。

 どうやら俺が知らぬ間に性転換してしまったわけではないようだ。

 てか、朝顔洗った時は相変わらずの無精髭面だったし。


 それと皆の視線を集めているのは俺の首だろう。


 昨晩はルッツからかなり派手にガブガブされたもんなあ~。

 川の水の反射越しにもクッキリと痕が残っているのが判ったし……ああ、この異世界ではコレ?キスマークはかなりのセックスシンボル的な扱いだったりなんかするのかね。

 だとしたら、この中年めはいい歳こいて滅茶苦茶恥ずかしくなってきたんですが?

 


 でも…なんでかなぁ…。

 未だに俺を見やる村の娘達の視線から感じる、妙な親近感・・・は一体…?


 何だか妙なモヤモヤが残るが、まだ判断できかねるな。


 あと、月が丸いだのなんだのってのは初遭遇時のルッツからも聞いたな。

 恐らくだが…何と言えば良いのかね?

 語弊があるかもだが、獣人(少なくともラウルフとやらには)は月の満ち欠けでその発情期のようなものがあるのではなかろうか。


 そう考えれば、最終的には首チョンされたあのルッツ達を裏切った連中の最後の生き残りを殺さずに暫し生かそうとした理由もある程度伺える。


 ……きっと、その発散・・に使う為だろう。

 で、俺がいたから用無しになったと…合掌。


 いや、そう納得したら…やっぱコイツら普通に山賊じゃね?


 俺は多分ビミョーな顔になっていたんだろうが、女村長のありがたーい意見を尊重して首の片側を手で隠す。



「で、何のようだい? 散歩で立ち寄ったわけじゃないだろ」

「あっと、そうだった。酒と食料を分けて欲しいんだ。五十シルバーで頼むよ」

「五十シルバー…ねえ?」



 サフラとロッカスが思案顔で顔を見合わせる。

 いや、ロッカスの爺様の方は全く表情が判らんかったわ。



「この村もそこまで余裕があるわけじゃないよ。分けてやれても三十シルバー分だね」

「三十シルバーか」



 俺が顔を横並びにしているルッツを見やると彼女がコクリと頷いたので、それで一先ずは了承しておくことにした。



「わかった。用意させるよ」

「いやあ、シルバーが使えて良かったよ! ルッツからはラウルフの村って聞いてたもんでね」

「………ああ、そういうことかい? ま、この村には人間もラウルフも居るし。無主の土地だが、一応私らはちゃんとオツベル様んとこに税だって払ってる。立派なこの国の臣民だからね」


 オツベルって何者? と思ったがスルーしとく。

 全く異世界世の中知らないことが多過ぎて困るぜ。


 暫くすると、門番だった二人が奥から荷車を曳いてやってきた。

 

 荷車には一抱えほどの大きさがある袋に干し肉と穀物、チーズらしき加工品が入った袋が三つに中樽(多分二十リットルは入りそうだな)が一樽載っていた。


 それを見たルッツ達は大喜びである。

 特にその酒樽をゴマダレ(※天に掲げるポーズ)していやがるぜ。


 どうやらこれが三十シルバーでの取引で特に問題はなさそうだな…?



「ものは相談だが…ここは辺鄙な村ではあるんでね。男の調達・・に難があるんだよ。どうだい? そこな紳士を村で二、三日貸してくれたら……食糧をもう二袋、いや。ワインをもう一樽出そう」

「は?」

「「…………」」



 え。どうしてそんな提案を当人である俺を蔑ろにしてルッツ達に提案してんだこのガチムチは?


 その二、三日で俺に何をさせようってんだ!?



「…………駄目ダナ」

「そうか。やはり狼族の情夫となると、そう簡単に貸しては貰えないか」

「…割と長考してたよね君ら? それと俺は情夫じゃねーぞ!?(そう断じて!)」



 そんな冗談…いや、冗談だよな? といったやり取りを経て何とか話が丸く収まった(少なくとも俺は売られなかったので)ようなので俺は代金を渡すべく財布袋から銀貨を取り出す。



「おっと…ちょっと待っておくれよ」

「…?」



 何故かサフラが慌てて腰に引っ掛けていた厚手の革のグローブを両手に装着し出した。


 …潔癖症か?



「やハリ、この村ハ……ラウルフの――薄血・・の村ダッタカ」

「…………」



 俺からの銀貨を受け取ろうとしたサフラの手がそのルッツの一声でピタリと止まる。



「うすち…って何だ?」

「ああ…アズマ人なら知らないのも当然か。確かお前さん方の国だと人別種族同士の交わりは御法度なんだってねえ? だが、この大陸じゃあ割と種族関係なく男女の仲になっちまうことが多いもんなのさ…」



 表情がやや曇ってしまったサフラが俺にポツリポツリと語ってくれた。


 薄血…それはいわゆる異種族混血における障害・・とこの異世界ではされている事象のようだ。

 つまり、この村では主に人間と獣人種族でもポピュラー格の一つであるというラウルフとの混血についての話になるわけだが。

 そもそも人間と獣人の間でも問題なく子供ができるそうな。

 だが、本来同族同士での交わりに比べれば子供はできにくいそうだ。

 基本は母体となった方の種族の子が生まれるらしいのだが、世代的に異種族間での交配が続くと一定確率でどちらの性質も持ったハーフとして生まれることがある。

 だが、人間に近寄った分だけ、獣人の要素が薄まる・・・…故にそういった体質を持つ者が薄血と呼ばれる。

 そして、哀しいことにそんな彼らはどちらの種族からも迫害されることが多々として起きているんだとさ。



「薄血からハ薄血カ…より薄マッタ血の者しカ生まレナイ。ダカラ…群れカラ追い出サレル」

「……酷ぇ話だなあ」

「別に私らに限ったことじゃないさ? そこんとこを見越して、お前さんの国…アズマ王は聡明なんだろうねえ。…実際、この村の半分以上は山賊狩りが言った通りの身の上でさ。門番やらせてたあの娘らも…それにこのロッカスもね」



 え? この爺さんはどっからどう見ても立派なわんわんおだけども?


 俺はそう思ったが…ロッカスが自ら手で口髭を掻き分けて歯を見せると、そこには鋭い牙など一本もない普通の人間の歯が並んでいた。


 それに、彼の毛に覆われた指先にはルッツ達のような鋭い爪もなかったよ…。



「……でだ。その最たるものが私な訳だ。ラウルフの両親から生まれたってのに、耳も尾も牙も爪も無い。人間・・が生まれちまったんだからねぇ…」

「……(隔世遺伝ってヤツか?)」



 だが、皮肉なことに獣人たらしめる銀アレルギーめいた症状だけが、純粋な獣人ほどではないにしろ身体に残っているってか…。

 そう自嘲めいた含み笑いをしながらサフラはグローブを嵌めた手で俺から銀貨を受け取る。

 


「だが、幸いにもここは私らには住み易い場所ではあるんでね。少なくとも中央…人間に思うとこがある獣人共が多い出身地デルムーンよりは遥かにね」

「うむ…そうだな」



 そう疲れたような笑い声を互いに漏らすサフラとロッカスだが…不思議とそこまで不幸な感じは無い。

 きっと今迄苦労してきたんだろうなあ…。


 それよかデルムーンよな。

 この国アクアントの隣にある国らしいが…やはり、まだ話に聞くだけだが、なかなかの難物らしい。



「お前さんのように獣人のアズマ人も珍しいが、また機会があれば寄っておくれよ!」

「…機会が、あればね?」


 

 手に入れた食糧を粗方背負った俺達(俺は相変わらず青銅の剣だけですが、なにか?)は入って来た入口とは反対側の門の前にやってきていた。


 サフラが自称辺鄙な村とは良く言ったもので、どうやらこの村はミザー地方を通る街道上に存在しているので、例えば俺がこれから向かうミルファの街があるというオツベル領から世界最大の港があるというこのアクアントの東端にあるザイル領へと行き来することがあれば立ち寄ることもまたあるだろうという程度だな。

 まあ、少なくとも現在の右も左も判らんような状態でそんな予定はないけど。


「そういえばミルファの街に行くんだったね。その街で私の娘が冒険者をしてるんだ。ガーデニアって名だ。髪色がロッカスそっくりだからすぐ判るさ。もし、会ったらよろしく言っておくれよ」

「へえ、冒険者ねえ…………ん? 誰と誰の娘だって?」



 何か村を去る寸前でまた気になる事が増えちまった気分だ。



「…誰って。私とロッカスの娘だよ? まあ、私とも若い頃は一緒に傭兵稼業しててね。そこそこの年嵩で…子供ができちまったのは、少し遅れてきた若気・・の至りってヤツだったね。だろ? ダーリン・・・・?」

「……これ、人前で止さんか(照)」

「…………」



  (‥)



 最終的には村の大半に見送られてから暫し街道とやらに沿って歩いていた時に背負っている大量の食糧で気分アゲアゲ状態の三人に向って俺は堪らず口を開いた。



「な、なあ…? この世界…いや、獣人じゃあれ位の歳の差婚的なモンは普通なのか?」

「…歳ノ差?」



 だが、俺の質問に三人揃って首を傾げられてしまった。



「恐らくダガ…番のニンゲンの方ガ年上じゃナイカ? ラウルフの方ハ三十代ダロ」

「…へ?」



 あの御爺ちゃんコボルドが三十代(下手したら俺の齢と僅差)ってマジか!?



「ケモノビトは成長が早イ。その分ダケ、オスはメスよリモ老け易イ。まア、あの齢マデ生きレバ上等ダ。ダガ、あれデハもウ種切れ・・・ダナ…ケモノビトのオスはその辺・・・も早クて困るンダ」

「…………」



 獣人は成長が早い?

 いやしかし、あの老け込みようで三十はちょっと問題があるのでは…。


 じゃ、じゃあ君達は幾つなの…?


 一瞬そう脳裏に過ったが……俺の心の平穏の為、これ以上この話題に触れるのは止めにした。

 それに女性に年齢を聞くのって失礼だしね!?(逃)

 きっと大丈だよ俺!

 異世界に条例なんて……多分ないだろうし?



  (種)



 ▼勇者タネモト▼


 ▶レベル:1   EXP:▮▯▯▯▯▯▯▯▯▯

 ▶アーキタイプ:戦士

 ▶身分:身元不明

 ▶称号:狼族の情夫

 ▶HP:15   MP:0

 ▶所持金:70シルバー

 ▶攻撃力:0   >付与:無し  

 ▶防御力:1   >耐性:無し

 ▶筋肉:F

 ▶敏捷:F-

 ▶魔力:F-

 ▶精神:F-

 ▶知識:11

 ▶状態異常:無し


 E:クロース

   ――――――――

   ――――――――

   ――――――――

   ――――――――

   ――――――――

   ――――――――

   ――――――――


 勇者タネモト◀スキル・カスタマイズ


 【種男】Lv0     〔植物学〕Lv0

 〔 - 〕      〔 - 〕

 〔 - 〕      〔 - 〕

 〔 - 〕      〔 - 〕

 〔 - 〕      〔 - 〕


  ==残り予備スキル枠:10==


 〔 - 〕      〔 - 〕

 〔 - 〕      〔 - 〕

 〔 - 〕      〔 - 〕

 〔 - 〕      〔 - 〕

 〔 - 〕      〔 - 〕


 *種メイカー最大使用回数:1回(スキルレベル+1)

 *????


 ▼クエストボード▼


 ==今回のノルマ==


 ●今回は試用期間につき、兎に角頑張って七日間生き延びよう!

  (2/7)

 ▶達成報酬:1ゴールド


 ==ペナルティ==


 ●テスター業務の終了。

  (※なお、報酬は発生しません。)


 ==現在進行中のイベント==


 ●獣人族との旅(2/3)

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