獣人達との旅~ラウルフ
▶作者からの一言◀
今回の更新話に合わせて地図(かなり適当ですが笑)を添付したものを近況ノート『Another Horizon Online THE WORLD MAP v1.0』に投稿しております。
拙作のイメージが少しでも皆様(筆者本人にも)に伝われば幸いです<(_ _)>
そして、今回もほ~ぼ説明回となっておりまする<(_ _)>
(‥)
▼クエストボード▼
==今回のノルマ==
●今回は試用期間につき、兎に角頑張って七日間生き延びよう!
(1/7)
▶達成報酬:1ゴールド
==ペナルティ==
●テスター業務の終了。
(※なお、報酬は発生しません。)
==現在進行中のイベント==
●獣人族との旅(1/3)
…………。
フム。どうやら、クリアする日数は日付変更線と共に加算されるっぽいな。
てか、ルッツへの護衛依頼がいつの間にかイベント扱いされている件について。
何気に進行度までもが表示されてっぞ…。
あんまり深く考えると何か怖くなってきそうなので止めとこう。
それよか――
気になるのは端末の画面上で『早く俺をタップして!プリーズ!』とピッコピコ光って自己主張が激しい
仕方なく親指を動かしてやる。
*タネモト様!おめでとうございます!*
*念願のレベルアップです!*
「アクト●イザーか!?」
「んン…どうシタ? 仕方のナイ奴ダナ。……――もウ
「ああ、ゴメン。ちょっと寝ぼけてて…」
異世界深夜のテンションでつい叫んじまった。
だって仕方ないじゃいか?
小学生の頃にアホみたいにやっていた石像に憑依して戦う
…いやいや、何でこのタイミングでレベルアップしてくれとんのよ?
あからさまにルッツとアレしたことが原因みたいじゃないですかヤダァー。
▼勇者タネモト▼
▶レベル:1 EXP:▯▯▯▯▯▯▯▯▯▯
▶アーキタイプ:戦士
▶身分:身元不明
▶称号:無し
▶HP:15 MP:0
▶所持金:無し
▶攻撃力:0 >付与:無し
▶防御力:0 >耐性:無し
▶筋肉:F
▶敏捷:F-
▶魔力:F-
▶精神:F-
▶知識:8
▶状態異常:事後
え? 何か変わった…?
ああ、一応HPが増えてんのね。
それと筋肉がFマイナスからただのFになったなあ。
あと、状態異常は自重しろよ?
……地味だなあ。
アレ? 確かHPがモリモリ上がるとか言ってなかったかぁ…あの適当女神め…。
ま、まあ、まだレベル1だしな?
今後に期待しよう。
それとEXPが清算されちまってゲージが空になっちまったようだな。
今後はもっとマメにチェックしてどうやったら効率よく貯められるか検証する必要が…――
って、所持金ン!?
そういやルッツに弾き飛ばされて……アッチか!
「シド!」
俺は咄嗟に立ち上がると近くの茂みへと突っ伏した。
全裸で。
「…あった!? あ~焦るわぁ~」
運良く見つかった。
ステータス画面でもちゃんと▶所持金:100シルバーになってたぜ。
「あア…スマン。
「は、ハゲてないっ!? 俺は断じてハゲてねぇ!!」
なんて酷い事を言うんだこのケモ耳め!?
確かに俺の母方も父方の祖父は見事に宣教師だったが……俺は隔世遺伝などという戯言に心惑わされることなど断じてないっ!!
「ン? 違う違ウ。毛無しトハ、ケモノビトが使うニンゲンの別称ダゾ。他意ハナイ。ホラ、早ク戻レ」
「あっ…そうなの?」
フゥー…俺としたことがついエキサイトしちまったようだな?
というかルッツさん…?
俺を追い掛けてきたのはまだいいけどさ。
どうして…手に斧を装備されておいでなんですか?
仮に僕が逃げ出してたら……その斧で何をする気だったんです?
俺はホットしたような笑みを浮かべて斧で肩ポンするケモ耳美少女に手を引かれて連れ戻される。
「ン」
「…………」
そして、ゴロンと毛皮の上に寝転んだ彼女が当然のように自分の腕を俺に差し出す。
因みに顔は完全にメスである。
普通逆じゃね?
カショー。
…レベルに変化があったので、横になる前に試しで鑑定アプリを彼女に再度使ってみた。
▼獣人ルッツ▼
▶レベル:12 EXP:▮▮▯▯▯▯▯▯▯▯
▶アーキタイプ:獣戦士(ラウルフ)
▶身分:放浪者・傭兵
▶称号:ミザー地方の山賊
▶HP:425 MP:0
▶攻撃力:25 >付与:無し
▶防御力:0 >耐性:冷気
▶筋肉:A
▶敏捷:B+
▶魔力:F
▶精神:D
▶信頼関係:同行者(オス)
▶状態異常:事後
――強っ!?(ドン引き)
いやいや、称号!?
▶称号:ミザー地方の山賊ってなってるぅー!
やっぱり山賊じゃねーか!?
てかよぉルッツさんオメー…素手だけでこの攻撃力なら、俺をワンパンキルできるんじゃね?
さっきも腕枕して貰ってたけど、細マッチョって言うのか…確かにメッチャ詰まってたもんなあ~。
本人に言うと下手すりゃ首チョンかもしれんが正直言って、逞し過ぎて少し硬かった…。
他の能力値もツッコミどころしかねえけど、どうやら他にもスキル欄も見れるみたいだ。
…信頼関係に関係あるのか?
同行者(オス)……深くは考えてはいけないぞ俺、いいね?
獣人ルッツ◀スキル
【毛皮】Lv3 〔戦士〕Lv12
〔斧〕Lv11 〔生命増強〕Lv6
〔狩人〕Lv5 〔性交渉〕Lv1
〔 - 〕
ほう。彼女には予備スキル枠はないのか。
それに、装備スロットも七つしかないみたいだ。
先頭の【毛皮】はユニークスキルっていうか固定枠か。
まあ、ユニークスキルってよりは種族特有っぽいな?
タムとニコちゃんも後で鑑定させて貰おう。
あとは、〔戦士〕と〔斧〕のスキルレベルが高いとしか言えん。
あの凄いHP量はこの〔生命増強〕というスキルが関係してんのかね?
……て~か、〔性交渉〕なんてスキルまであんのかよ…マジかこの世界?
本当にコレがゲームとして世に出せるものなのかと疑問に思えてならない。
俺は何とかそれを飲み込んでルッツの横に横たわり、彼女の腕にぎこちなく頭を置くとやっと満足したように彼女も仰向けになる。
……確かに激しかったもんなあ。
…しかしだな?
どうやってこのスキル関連について訊いたもんか……。
変に勘ぐられてあの斧が俺の首に飛んでくるとも限らん。
いや、そもそも彼女は俺をワンパンできるんだった。
とりまステータス欄にあったラウルフってのを聞いとくか?
「なあ? ラウルフって知って――」
「…っ(ピクリ)」
「……ぁんでもないです。ごめんなさい許して。殺さないで下さい。お願いしますから」
機嫌が良さそうに俺の身体を撫でていたルッツの表情が急変する。
あ。俺、
「…フンッ。なンダ、やっパリ知っテタカ。ケモノビトを知らなイナンテ変な事ヲ言ウト思っタ。ダガ、ルッツ達ハ誇りアル狼の血族ダ。ニンゲンに負けテ媚ビル…あのラウルフ共と一緒ニスルナ。…オマエノ国、
「……アズマ?」
「別ニ隠さナクテイイ。シドも訳アリナンダナ」
軽くルッツの悪い琴線に触れてしまったようだが…何とかピロートーク続行に成功した。
つってもピロートークなんて呼べない色気ないものだったけどな?
だが、有益な情報をルッツから得ることができた!
特に地理関係の話に趣が偏っちまったけどな…。
以下にそれらをまとめるものとする(フンス!)
先ず、現在俺が位置する場所(大陸)は多種族七国が存在するへレス大陸と呼ばれている。
…マジであの女神のものだったのかぁ。
まあ、十二分に詐称も在り得るので鵜呑みにはせんとこ。
で、俺が居るのは大陸右上部の“水”を司るアクアントという水資源が豊富で大穀倉地帯を有する豊かな国なんだそうな。
人間族が主体だが割と他種族にも寛容であるという異世界ビギナーには嬉しいお国柄なようですな。
この森一帯はミザー地方と呼ばれているほぼほぼ無主の未開拓地域らしい。
これから俺らが目指すミルファという街はアクアント王都の四方に位置する東都にあたるという。
そんでそのミルファと大陸東端にある世界最大級の港の中間地点に俺達は居るってわけだ。
次に大陸右下部の“風”を司るリーフデンという国があるそうだ。
なんとあの異世界テンプレ種族たるエルフが主体の国らしい!
だが、エルフ故に自然厨なのか国土の大半を樹木で覆われているらしいので必ず観光には虫除けスプレーを持参する必要があるようだ。
だが実際は他の種族には排他的で、その左隣りになるドワーフ(これまたテンプレだねぇ)の国とは特に険悪とのこと。
ファンタジーの二大種族故に争うのかねえ?
だが、さっきも言った通りリーフデンは森だらけ。
故に自給できる食物量に難があるらしく、最大の貿易相手であるアクアントとは比較的交流があり両国に大使を置いているとのこと。
その大使が常駐するのがアクアントの南都ソラリス。
俺がルッツに『行ったことある?』と聞くと『ナイ。ケモノビトが近付くト耳長共がウルサイ』とのこと。
なるほどなあ…。
俺もできれば面倒は避けたいが、最も早く合流できるテスターが居たとすれば…俺から最も距離が近い者はこのリーフデンに居るということになる。
できれば、カイドウかルリちゃんだと良いんだが…。
大陸下部の“金”を司るゴールドワーフ。
名前からも判り易いドワーフが主体の世界最大の鉱床地帯を有する国だそう。
鉱石と卓越した治金技術で製作された商品が中央を通じて大陸全土(リーフデンを除く。鎖国か?)に輸出されているようだから結構リッチなんじゃないのか。
ルッツはドワーフについては比較的に好意的な感じだった。
『だがオスとシテハ、耳長以上に無理ダナ』
その言葉の意味が俺にはまだ理解できなかったのが印象的だった。
そして、大陸左下部の“炎”を司るフレイムス。
これまた名前からして暑そうな国だが…期待を裏切らないようだ。
広大な砂漠と火山地帯のある厳しい場所ばかりなんだそうだが、都市部では最も魔法技術が研究されている魔法大国とのこと。
流石にこのアクアント(ルッツ達はこの国の生まれだってよ)と対になる国のことは話に聞いただけだそうだがな。
なんでも竜人という毛の無い鱗のあるニンゲン(リザードマンか?)が幾つかの州で各々の生活基盤を形作っている…いわば合衆国らしきもののようだが、貴重な生活資源を巡って日夜争い合いが頻発している危険地帯だそうだ。
それに過去に幾度もこのアクアントに戦争を仕掛けている経緯があってアクアントとの関係性は一番悪そう。
だが、こんな紛争地域に現在一名のテスターが存在している…大丈夫だろうか?
大陸左上部の“地”を司るのがマッドダム。
肥沃な泥と沼地が大半を占める異種族連合国だってさ。
…が、実質隣り合う三国から属国のような扱いを受けていると、ルッツが眉間に皺を寄せてそう言った。
その理由は、過去の大陸戦争で敗退した種族たちばかりの集まりだからだそうな。
それ以上の事は知らないってさ。
しかし、そんな黄昏た国に現在一名のテスターが存在している。
大陸上部、つまり俺が居るアクアントのお隣である“闇”を司るデルムーン。
名前だけ聞くと美しそうな国だが…その正体は大陸の覇権を争って最終的に大敗を喫したダークエルフ主体の超が付くアングラ国。
治安も悪く、国内外で犯罪行為を日常的に行っているというヤベー国だそうだ。
それはこの国出身というだけで前科者扱いされるというこの異世界の一般常識が物語っている。
世界最大規模のブラックマーケットと奴隷市場があるらしいが…俺には縁があるとは思えんなあ。
因みに、ルッカ達を騙し討ちにしようとしたあの残念エルフこそがそのダークエルフで、その愉快な仲間達も漏れなくデルムーンから流れてきた連中だそうだ。
このアクアントの北都レッドブルーは特にデルムーンの息が掛かっているらしいので近づくなとルッツに釘を刺された。
勿論、俺はそんな怖い場所になんか絶対に行かないし、行きたくもない。
最後に、大陸中央の“光”を司るサンブライトだな。
これまた頭が痛くなる人間族至上主義というヤツであり、他種族にはかなり排他的な者が多いんだとか…やれやれだぜ。
この国にいる人間以外の他種族は、基本は奴隷か冒険者くらいとされるだってんだから業が深い。
何でも過去の大戦で一応最後に勝利したのがこのサンブライトってのらしいよ?
大陸全土に威光を振りかざす聖堂とかいう連中の勢力の中枢なんだと。
ことファンタジーにここまで偏った宗教観を持ち出すとろくなことにならんぞ。
けど大陸中央に居座って六国から上手いこと旨味だけを吸い出して幅を利かせてるって感じだなあ…?
因みに、ルッツはこの国が大嫌いらしく終始眉間に皺を寄せていたぜ。
だがしかし、そんな国に現在一名のテスターが存在している。
その国の連中の思想に汚染されなきゃいいんだけど。
…結局は俺が転移したアクアントが他の国比べて圧倒的に良く思えたきた。
まあ、それはルッツの言ったことを全て鵜呑みにした場合に限るがな。
誰だって、自身の出身国を
それとだな…ルッツが言ってたが、アレス大陸の右近くにアズマという島国があるそうな。
アクアントの港経由で一応は細々とした交易を行っているみたいだが、他国からは入国禁止であるという謎の多い御国らしいね。
それにして、何で俺がそのアズマ国の人間だと思われたのか?
「何度か見たコトガアル。黒髪黒目。そレニ、そノ平たイ顔ダナ(笑)」
「……凹凸のない顔で悪かったな」
…そんな理由だそうだ。
と言っても、このへレス大陸じゃ黒い髪や黒目はそう珍しくないって話で安心したぜ。
まあ、顔に関してはどうしようもねえな。
あ。あの女神から豚の頭にされた元スキンヘッドはどうにかその辺はクリアーできるかも?
まあ、最悪モンスター扱いで処される可能性も高いだろうがな……合掌。
序にへレス大陸以外にもついて訊いてみた。
右上にある大陸はドラゴンが治める伝説があるだとか、逆に左上にある大陸は殆ど交流のない魔族の国がある噂だとか、大分ボンヤリした返答だったがな。
う~ん…しかし、魔族までいるのか。
そんな場所に二名のテスターが存在している…他人を心配してる場合じゃあないのは判るが、ちょっとなあ?
今度は下にある大陸は暗黒大陸や忌み地と呼ばれているそうだ。
過去に何度もへレス大陸から調査団が海を渡ったそうだが誰も生きて帰って来てないのだとか…。
そんな場所に現在三名のテスターが一塊に存在している……合掌(※二度目)
他のテスターには悪いが、カイドウやルリちゃんでないことを祈るばかりだ。
(‥)
朝が来た。
異世界の夜明けである。
俺がルッツと一緒に川に連れ立ち身体を清めてから服を着る。
因みにルッツの着替えは秒で終わった。
まあ、殆ど裸みたいなもんだもんな?
「ウォオオオ~ン」
「っ!?(軽い痙攣)」
俺の身体をじっくりと伺ってから満足したらしいルッツが突如として遠吠えめいたボイスを上げて仲間(タムとニコちゃんだが)を呼んだ!
やるならやるって事前に言ってくれよ…心臓に悪いわぁ~この子…。
数分後には近くの茂みから姿を現す二人。
何故か妙に顔が赤いが…気のせいだろうか?
風邪とかじゃないよな?
……良かった。
鑑定結果のステータスに表記される状態異常には、
ここではこれ以上深くは触れない。
なんせ俺はそこそこプライベートを尊重できる男だからな(今更感)
試しに鑑定アプリで二人をカショーっと撮影したところ、二人のレベルはタムがレベル7でニコちゃんがレベル8だった。
ふたりのアーキタイプは獣盗賊(ラウルフ)で、能力値はだいぶルッツとは異なっていたな。
それと、やっぱりスキル欄の先頭には【毛皮】が固定枠らしいな。
件のラウルフとやらか、もしくは獣人特有の種族スキルなのかもしれん。
ただまあ…それでも俺を圧倒的に凌駕する猛者だったことだけは間違いないけどな!
マジで道中よろしくお願いします!
「今日ハ…途中でラウルフの村に寄ルゾ」
焚火の始末をし終えた俺達にそうルッツが口を開いた。
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