ISEKAI その説明回 Part.1
▶作者からの一言◀
能力値関連なんですが、これから主人公以外の仲間のステータスも詳細に数値化すると後に非常に大変になりそうなので…笑
F(~29:~9☞F-、10~19☞F、20~29☞F+)、E(30~)、D(60~)、C(90~)、B(120~)、A(150~)、AA(180~)、S(210~)、SS(240~255)といったランク形式に変更致します。
異世界住民(テスターも含めて)の各能力値の平均が30~70(EかD)を想定しています。
即ち、推定各能力値一桁である主人公はクソザコとなります。
Eが一般人。
Cから精鋭。
A・AAが準最強。
S・SSが別次元くらいのニュアンスです。
<(_ _)>
…アハッ。
……アハハのハッ!
コレは夢だ、しかもかなり性質の悪い悪夢だ!?
テンプレなトラックに撥ねられてお亡くなりになったり、ブラック企業に勤めて過労死して、転生担当の神様からお約束のチートスキルも貰って転生してもいない俺が……こんな訳の解らない世界に居るわけがない!?
「はっ! カイドウ!? ルリちゃん!?」
さっきまで隣に居たはずの二人の姿は当然のように見当たらない。
もう、泣きそうだ。
俺…もう中学生になる子供がいてもそうおかしくない齢なのに…。
きっと齢を重ねて涙腺が緩くなった……とは全く別の理由だな。
落ち着け…クールになるんだ、俺ぇ…。
きっと、俺は日頃のストレスに疲れて、どこかの森に森林浴に来てたまたま突発的な健忘症候群になったに過ぎな――
「みゅぎゅわああああああ~~みぎゅ……ギュボボボボボボォオオオオ…!」
…………。
あんな鳥(推定)の声は聴いたことがないな。
俺はいつの間に海外の森に来てしまったのだろう…。
こんな中世前みたいな格好で、青銅?の剣まで持ってか?
滅茶苦茶、馬鹿だろそんな
いや、もう判ってはいるんだ…。
……マジでISEKAIに来ちまったのか?
待ってくれ、俺はラノベ主人公の器じゃない!?
例えばとある漫画作品の最終局面で勇気のペンダントが光ったりするような裏主人公タイプじゃないんだよお~!?
ううっ…こんな闇バイト、違うか…異世界バイトになんぞ応募するんじゃなかったなあ。
『アッハァ~ン❤』
「(ビクッ)ふぁ!?」
突如としてこのシリアスな現状には不適合な嬌声が森に響く。
焦って音源元を探せば…なんと俺の上着(布の服)のポケットからだった!
「な、何だコレ…」
ポケットから出てきたのは相変わらず嬌声を上げ続ける謎のスマホ…らしきブツ。
俺のスマホは着替えた時に、あの異世界の女神らしきヘレスの言いつけで置いてきちまってっからなあ。
それに微妙にパチモン臭い。
形状もどちらかと言えばカードサイズだ。
『アッハァ~ン❤ アッハァ~ン❤ アッハァ~ン❤』
「…………」
取り敢えず、周囲に人は居ないだろう(居たら速攻で助けを請う)が…この趣味の悪い着信音は気まずいから仕方なく出よう。
「…はい?」
『もしもーし。こちら女神ヘレスですけど。タネモト様は無事に私の世界に転生できましたでしょうかー? 足場がほぼ無い崖の中腹だったり、転移位置のズレで身体の一部が木や岩と同化したりしてませんかー? 可能性としては低いでしょうが…仮にそうであった場合、特にコチラからできる支援もないものですから」
「わっつ!?(※なんですって)』
さらっととんでもないこと言いやがったぞ、この女神っ!
『取り敢えず御無事なようでなによりです。まあ、とりま時間もありませんので手短に今後のお話をさせて頂きますね? あ。因みに今お手に取って頂いているものはあなた達の世界にある通信端末を手本に私が創造したオールナイト・フォン…略して
「…………」
俺は決してその略称では呼ばない事をここに誓う。
俺は一旦、そのスマホモドキを耳から放して眺める。
待ち受け画面には何故かグラビアアイドルようなセクシーポーズをキメるドヤ顔女神の画像が…。
この待ち受け画面変えられないのか?
ああ、ダメだわ…設定アプリがそもそも無い。
確かに画面にはアプリらしきものが幾つかあるみたいだ。
『では、先ず一番左上にある人型のシルエットをしたアプリを起動してみて下さいますか?』
「は、はい…」
って、そのアプリ…項目名に“勇者タネモト”とかあるんだけど…地味にメンタルに痛いんだが?
何ぞ?
イジメか?
こんな訳の判らん世界にまで飛ばされてか?
取り敢えず、そのアプリをタップしてみる。
数舜置いて、アプリの画面が開いた。
▼勇者タネモト▼
▶レベル:0 EXP:▯▯▯▯▯▯▯▯▯▯
▶アーキタイプ:戦士
▶身分:身元不明
▶称号:無し
▶HP:10 MP:0
▶所持金:100シルバー
▶攻撃力:0 >付与:無し
▶防御力:1 >耐性:無し
▶筋肉:F-
▶敏捷:F-
▶魔力:F-
▶精神:F-
▶知識:5
▶状態異常:無し
ほう。
いわゆるステータス画面というヤツか!
テンプレじゃないか。
…………。
しかし…ちょっと俺のステータスを見てくれ。
コイツをどう思う?
…Fってのは良くない気がするし、レベルがゼロとか、HPが10とかさ……俺、雑魚くないか?
『ふむふむ。コチラでもあなたの見ている画面を同期してモニタリングしていますが…特段珍しくもない戦士タイプですね。レベルが上昇するにつれ、兎に角HPがモリモリ上がるはずですよ? 次点で筋肉の値が増えやすい傾向にあります。ですが、MPと魔力の値は一切レベルアップでは上昇しないでしょうね』
「…もしかして、この世界って魔法とかって実際に使えるんですか」
『使えますけど?』
マジか!?
『MPを消費する必要がありますけどね』
ですよねー。
すごい知ってたー。
はあ、この剣と魔法の世界に来たってのに開始直後から脳筋路線決定とはトホホだよ。
『まあ、タネモト様はRPGの基本的な知識がそれなりに有ると思われますが…一応説明させて頂きますね? 先ず、レベルはEXP(経験値)はゲージ制でして、▯が全て▮になるまで貯まる毎に自動的に清算されてレベルアップします。その際にHP・MP・各能力値がおおよそレベルに比例して上昇しますが、レベルが高くなるほどEXPも簡単に獲得し辛くなりますね。アーキタイプは能力値の大まかな成長スタイルです。身分と称号に関しては省きますが、タネモト様がこの世界でどう行動するかによって変化し、この世界に生きる者達からの対応もまた変化するとだけここでは言わせて頂きます』
「はあ」
『次にHPですが、ゼロ以下になると死にます』
「えっ…」
『HPですが、ゼロ以下になると死にます。実際にお亡くなりになります。そこで人生終了(ゲームオーバー)です』
それはゲーム的な仕様…でだよな?
『いえ違いますよ? シンプルに
「ちょまっ」
『申し訳ございません…押してますので。MPは先ほど説明したので割愛します。所持金も同様に。攻撃力や防御力は主に装備する武器防具と後に説明させて頂くスキルなどによって決まります。ダメージは絶対的な安心感を誇るアルテリオス計算式が適用されています』
薄々ヤバイとは思っていたが…俺達がこれからやらされるのは、テスターどころかガチの異世界サバイバルゲーだろ?
それに確かアルテリオスってのは……攻撃力-防御力=ダメージ、だったか。
戦闘が大味でゲームバランスがホイホイ崩壊するとかの…。
RTA動画とかだと結構クソゲーだのなんだのと弄られることがあるアレのことか。
…ファミコンかな?
『筋肉・敏捷・魔力・精神の値は数値ではなく、低い方からF・E・D・C・B・A・AA・S・SSで表示されます。ですが、知識のみ別の扱いになります。また、HPとMP以外の能力値の最大値は255です』
だから、ファミコンかな?
『さ! ステータスの説明はここまでにして他のアプリについても説明いたします。一度、ステータス画面を閉じて今度は★アイコンのアプリを起動してみて下さいますか?』
俺は全く納得いかないむっつりとした表情で今度はステータスの隣にある★に親指で触れる。
勇者タネモト◀スキル・カスタマイズ
【種男】Lv0 〔 - 〕
〔 - 〕 〔 - 〕
〔 - 〕 〔 - 〕
〔 - 〕 〔 - 〕
〔 - 〕 〔 - 〕
==残り予備スキル枠:10==
〔 - 〕 〔 - 〕
〔 - 〕 〔 - 〕
〔 - 〕 〔 - 〕
〔 - 〕 〔 - 〕
〔 - 〕 〔 - 〕
「コレは……は? 種男? え? 種、ナンデ?」
『それがスキル画面です。そこでは所有するスキルを最大十個まで好きに上のスロットに装備することができます』
「いやそれよりも!?」
だが、女神ヘレスは答えない。
『この世界はタネモト様が暮らす世界と異なり、魔法と奇跡といった力がありふれた世界です。ですが同時にモンスターなどの凡そ人類の脅威となる存在がそこらじゅうを好き勝手に大手を振って闊歩する厳しい世界…普通ならばどうなってしまうと思われますか?」
「……死んじゃいますね』
『はい。死んじゃいます。ですが、神々の恩恵として授けたものこそがそのスキルです。この世界の住民はこのスキルを用いて日夜戦い生き残ってきたのですよ。そして、なんとスキルにもレベルがあって成長します!』
「へ、へぇ~」
それを俺にいとも容易くやれってか。
この女神様も無理を言いなさる…。
『ちょっとその【種男】スキルを試しに指でスライドして貰っても?』
「いいですけど……てか、【種男】ってマジで何のスキルですか?」
言われた通りに【種男】を指の腹で擦るが、ガチンッガチンッという効果音がするだけでビクともしない。
『それは私から今回テスターの皆様への特別措置として送らせて頂いたユニークスキルです。それだけは残念ですが装備中のスキルから外すことはできませんが、どうか今後のテスター業務にお役立て下さい』
「どうやって――」
『さて、引き続き別のアプリの説明に参りましょう!』
「…………」
省かれた。
流石は女神、動じない。
『今度はそのゴミ箱のようなアイコンを選んで下さいますか?』
「…ん?」
E:クロース
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――――――――
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――――――――
――――――――
と、記載されただけのウインドウが表示される。
『これぞ定番で便利なアイテムボックス機能です!』
「いやなんでゴミ箱!?」
『それはさておき。このアプリを使えばどんなアイテムでも八個まで収納できます』
だから、ファミコンだろ!?
しかも悪霊の神々のヤツだろーがいい加減にしろっ!?
にしても八個って…むむむっ。
少ないけど手ブラで物を持ち運べるのなら無いよりはあった方が断然いいはずだ。
『因みに装備したアイテムは自動的にアイテム欄を埋めるので注意して下さいね。持ち物が一杯だとアイテム欄の一番下にあるのがテキトーに飛び出しますので』
「えぇ~? 使い辛ぇ…」
『あ。今度は装備中のアイテムを試しに解除してみて下さい』
「はいはい」
俺はおざなりに答えながら装備中(E:表記)のクロース…恐らくこの布の服だろうな、を選んで解除を選択する。
「っ!?」
『こうして一瞬で装備・解除が可能です。解除したアイテムは空きがあれば自動的にアイテムボックスに収納されます』
確かに風呂に入るときは便利そうだが…なるべくこの結果は、やる前に言って欲しかった…。
暫し、全裸になった中年男の絹を裂いたような悲鳴が森に響き渡った。
(‥)
『些細なハプニングは何事にも付き物です。さ、今度はお待ちかねのタネモト様だけのユニークスキルについてですよ。真ん中にあるアプリを起動してみて下さい』
「……はい(※テンション駄々下がり中)」
そのアイコンは種のイラストがドーンと書いてあった。
何々…“種メイカー”…だぁ?
起動すると何故かソシャゲのガチャのような画面が開く。
画面中央には意味有り気な黄金の種がフワフワと浮いている。
何故か大きなボタンのような突起物がある。
その黄金の種の下に――
“本日の残り使用回数:1回”
と、デカデカと表記されている。
『さあ、早速!』
「わ、わかった…」
俺は黄金の種を指先で押すとガパッと突起物が展開して光の漏れる孔が出現する。
…………。
…アレ?
何も起こらないんだが?
『あ~っと、画面を下向きにして…タネモト様の掌に向けて振っていただけますでしょうか?』
「こんな感じ…かな?」
スカッ。
……無性に腹が立つような空振りの効果音が鳴るだけだった。
『もっと何度も!』
スカッ。
スカッ。
スカッ。
『もっと激しく! 情熱的に!!』
「テキトーなこと言ってません?」
だが言われた通りにするしかないわけで。
俺も更にラーメン屋の湯切りの如くオ●ホを激しく上下させた!
『PON★』
…………。
何故か野太いオッサンの声と思われる効果音と共に俺の掌に何か小さなものがコロンと転がる。
……種だ。
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