第24話 予言
さすがに代わってもらうのは申し訳なく、仕方なくセレタス王宮黄炎宮
いとも嬉しそうに返事がかえってくる。イラつく気持ちを抑えてなるべく平静に用件だけを伝える。
― あー、えーっと、ごきげんよう、セレタス王。新生命宮の王の間まで至急来ていただきたく…
― ライラーザ、大至急来て。相談したいことがあります!
皇子さまは遠慮なく割り込んでくる。結局それで通じた。あの人のテレパシーから甘さが消える。
― 行きます。待っていて。
気まずいため息をこっそりつく間もなく、あの人はやってきた。相変わらずの
わたしは一番まっすぐ表現された予言の一枚を差し出した。
― 戦争?
わたしも皇子さまも、黙っている。予言書に何を読み取るかは王族個々人に任せられるものだから、わたしたち二人もまだ何の協議もしていないのだ。
すり合わせをするためには四王会議をしなければならない。だが4人目の王、新生命宮の長、銀海の宮は眠りの中だ。王族の出身で、せいぜい数日しか眠ったことのない銀海の宮だったが、わたしが外宇宙に出た後で眠りに入ってすでに1年以上たっているという。多くの者がもう帰ってこないかもしれないと恐れている。銀海の宮は
通常、
イツシンデモオカシクナイ。新生命宮の長は事実上の不在なのだ。
― どうします?このままでは四王会議が成立しません。
― 新生命宮の留守役に代理を立ててもらいましょう。形式だけでも整えなければ先に進みません。
新参者のわたしはそういうものかと黙っているしかない。やることがなくなり、皇子さまは帰ることになった。
― 急いてはいけない内容ですね。すでに影たちが動いているのでしょうけれど、決して先走ることがないよう。
― 心止めて。
目線を伏せたまま立ち上がった時、手を掴まれた。絶妙に指の先だけ。すり抜けさせてはくれない力加減で、ふりほどくのも無礼なのでそのままにしているしかない。
― 外宇宙でのあなたの調査も報告していただかなければならないでしょう。四王会議の後、専門委員会を招集すべきです。よろしいですね。くれぐれもこの件に関してはお一人で動かないよう。
― そういうものですの。
― ことが動き出せばあなたにはもっと見えることがあるはず。それをわたしたちにも必ず共有させてください。でないと、
アナタノミライハアナタヒトリノモノニナッテシマウ。
これは決まり文句だ。
―わかりました。次からはわたしの内侍を連絡役にしましょう。では。
さっさと王の間を後にする。見送っているあの人の視線を感じる。お母様、お父様。誰かを頼ってみたくなったのは久しぶりだった。
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