第9話 夜襲
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオ」
玄関を突き破ってきた大男は、雄たけびを上げながら玄関の目の前にいた私ごと吹き飛ばして家に入ってきた。僕は壁に強く頭をぶつけた。ぐわんぐわんと痛む頭を抱えながら立ち上がると、目の前には岩のような大きさの拳が飛んできた。右頬にクリーンヒットし、僕は倒れる。
「なんだい、あんたらこんなのに…」
女の声が聞こえる。僕の目が開かない。
体を動かそうとしても、無情にも体は言うことを聞かない。
僕は寝室に入っていく奴を見た。
どうやら襲ってきたのは朝にやってきた3人組。
彼らが僕が意識を取り戻したことに気づいていない。
僕はその場で手に集中する、すると僕の手に手袋が出現する。
≪ユーザー名 ヒイラギ・カイト
一刻を争うこの瞬間にもこの電子音は悠長にいつもと同じ動作をする。
(
小さな声で答える、幸い彼らには聞こえていないようだ。
≪
静かにパジャマから服が切り替わる、どんどん体の感覚が戻ってくる、これはP.S.N.Rについている補助機能のおかげだ。
「あぁん、……⁉ お前は!」
前にいる男が僕に気づく、焦点が合ってくる、視界がクリアになる。
「ァ、アネキッ!」
「遅い……」
とりあえず目の前の男を殴りで気絶させる。
男が倒れる音が家に響く、
「何があった⁉」
女と大男が奥の部屋から現れる、僕の足元に倒れている男に気づき大男が狼狽える。
「ヨ、ヨクモアニキヲ」
そのまま突っ込んでくる、眺めながら僕は左手の手袋を解けさせ、杖にする。
『
目の前に薄紫の光を出す。
「ヴッ」
大男がその場に倒れる、そのまま寝息を立てる、眠らせた。
しかし、女には何の効果もない。
「なるほど君が持っているんだな、P.S.N.Rを」
この女の
量産型の種類だが感覚としては腕はありそうだ、使い手が良いパターンのようだ。
「始める前に君の名前を聞こうか」
「私に、名乗るような名前はないわ」
女はそう言い、剣を構える。
「いやいや、これは礼儀のようなものではないさ……」
僕は右手の手袋を解く。
女の視線が一瞬僕の右手に集まる。
そんな隙は命取りだ。
「ただ、この後の処理を楽にしたいだけだよ」
女の背後に瞬時に移動する、女は遅れて反応する、振り返りながら振られる剣に、僕はその側面に刀をぶつける。
ガキン‼
金属の鈍い衝突音が部屋中に響いた後に月光を乱反射するものが宙を飛ぶ。
「……勝負あり、かな?」
女の剣が半分に折れる、
「……ま、まだ!」
それを振り回してくるがもう以前のように早く刀を振ることはできない。
彼女の
僕はそれを軽くいなし、首根っこをつかむ。
「ガッ、アッア、 イ、イヤ」
女は涙や鼻水を出し、必死に腕を離そうとする。
しかし僕の腕はビクともしない。
「もう終わりにしよう、君に興味はない」
そう言うと女は抵抗をやめ、剣を手から離す。
戦意の喪失、もう相手をする必要はないだろう。
「う、動くな」
背後に男の声が聞こえる、そうだった、あともう一人いるんだった。
男は僕にピストルを向けながら僕を制止する。
「君も、へたな真似はしない<ドンッ
背中を撃たれる。
痛い、だが防弾性のジャケットで貫通を防いでいる
そのまま僕は振り返る。
「ほうがよかったのになぁ」
「⁉ば、バケモノだ」
そんな僕に対してかなりおびえたような態度を示す男。
へっぴり腰で後ろに下がろうとする男に、そのまま僕は相手の顎に一発入れる。
「化け物……かぁ」
相手が頭から地面に倒れるのを見ることもなく寝室に急ぐ、
エルメスの無事を確認しなければならない。
もし彼女の身に何かがあったら、僕は彼らの安全は保障できない。
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