第6話 デート

僕はカウンターの奥、店の奥から姿を出した、P.S.N.Rパーソナルは今は解除している、カウンター席ではエルメスがプリンを食べている最中だった、プリンの空皿が積みあがっているのを見るに10個ぐらいは食べたみたいだ、まったくあんな華奢な体のどこにあんな量が入ってるんだか、エルメスは僕のことに気が付くと、顔を真っ赤にして僕から空いたプリンの皿の山を隠した、そんなことをする彼女の愛嬌に可愛さを覚えながら。


「僕にもプリンをお願いします」


僕もプリンを食べようと思った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「わざわざ私の着替えを用意してくださりありがとうございました」


そういう彼女は先ほどまでの僕のシャツとジーパンとは異なり、水色のワンピースを着ていた、僕が今持っている紙袋の中にもパジャマや靴などの衣服が食料品などと一緒に入っている。


「いいですよこのくらい、でもあなたはなぜその色のワンピースを?」


そんなことを聞くと彼女は少し頬を赤らめて言った。


「……あなたとお揃いにしたかったから」


そんなことを聞いて僕は今日初めて水色のシャツを着ていることに気が付いた。

いろいろ会話をしていると町の中心部に近づいてきた、中心部では屋台が円形状に並びその中心には石碑が立っていた。


【ノセル大戦の英雄たち】


大きく書かれた石碑には20年前に終戦したノセル大戦により大きな功績をあげた者たちの名前が書かれていた。エルメスはその石碑の前に行き名前を詳しく見ているようだった。


「わたしが生まれる時には、ちょうど大戦は終わっていました、しかし私の父はこの大戦で殉職したのだと母に言われました、今でも生きているのなら私は父に会いたいと思うほどに。」


エルメスはそんなことを言っていた、彼女の指がさしている名前は「テール・フィッツ・メーデル」という名前だった、石碑には一番隊隊員と書いてある、かなりの精鋭だったようだ。


「彼があなたのお父さんなんですね、それもかなりの精鋭で、前線での彼の活躍は戦場では周囲に希望をもたらしたのでしょう」


実際にはわからない、しかし彼女の心配を和らげられることをしようと思った、本当は敵の目の前で恐怖に慄き逃亡を図ろうとしたのかもしれない、強化個体に致命的な一撃を与え相打ちだったのかもしれない、そんな奴らをたくさん見てきた。だがそんな愚者も勇者の命にも今の平和には必要経費だということを忘れてはいけないな。


「もし、エルメスさんのお父さんに会えたら何がしたいですか?」


エルメスは驚いたような顔をしていた、確かにデリカシーのなかった質問だった、質問を取り消すために僕は急いで言葉を続ける。


「すみません、あまr「頭をなでて抱きしめてほしいですね」


彼女は満面の笑顔でそう言った、その眼には少し涙がたまっている、僕は彼女を抱きしめて頭をなでた、「頑張ってるんだな」と声をかけながら。

すると彼女は僕の腕の中で静かに泣き出した、彼女も頑張っているのだ、戦いの影響は今でもこんな少女をむしばんでいるのだ、こんな僕にできることなんてこれぐらいだろう。


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