第13話
身に覚えのない番号からだったが、周磨はおそるおそる受話器を取った。
「もしもし…」
「あ、もしもし!奥田周磨様の電話で合っているでしょうか?」
「合ってますが…あなたはいったいどちら様でしょうか?」
「これは名乗り遅れました。わたくし、四国サッカーリーグに所属していてNリーグを目指して活動中の香川県の社会人サッカーチーム『高松ゴッソ』でチームの強化担当をしています橋本と申します」
サッカーチームの強化部の方から電話だと!?
「先日わたくし用事で熊本県にお邪魔する機会があったのですが、その時に高校サッカーの熊本県大会決勝をスタジアムで観戦し、阿蘇第五高校の奥田選手のプレーも生で拝見させていただきました。そして香川県出身であると情報もお聞きしていたので、背後への抜け出しが得意で得点力も高い奥田選手は高松ゴッソが来シーズンのリーグを戦うのに必要な選手だと思い、電話を差し上げた次第です」
「なるほど、、、」
「もう年末が近づいていますが、周磨さんは高校卒業後の進路とか決まってるんですか?」
「いえ、特にはまだ決まってないのですが…もともと父の仕事の都合で熊本県に引っ越してきてたのですが、父の仕事の方も落ち着いてきたので『大学に進学するなら地元の香川県かなぁ?』と思っていました」
「そうなんですね!これからもサッカーを続けていきたいなという気持ちはありますか?」
……
周磨は受話器越しに黙り込んでしまった。
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