第12話

小学校を無事に卒業し周磨が小学生を終えるまでは香川に残っていた僕と寿美子は、卒業式の1週間後、先に向こうで仕事をしている卓磨と合流するために熊本県へと向かった。



最初はサッカーなんてプレイしたこともなかったのに、だんだんブッカケーロ愛が強くなり、こっちではプロのユースチームに一度も所属することがなかった周磨。

熊本市立菊陽南中学校から熊本県立阿蘇第五高校を卒業するまでの6年間を中高のサッカー部で過ごしてきた周磨。

高校3年生、冬の高校サッカー選手権熊本県大会。阿蘇第五高校はすっかりこのチームの中心選手となっていたFW奥田周磨選手のゴールで先制するも、その後は守備ラインが崩壊。大量得点を取られてから再び周磨がこの日2点目を決めるも、決勝という大舞台で2-7の大敗。準優勝に終わり、あと1歩というところで全国大会出場を逃したのだった。


地方大会の決勝で大敗を喫し、全国大会に出るチームとの力の差を身をもって痛感していた周磨は、決勝で負けたチームよりもゴールを決めても勝利という結果につながらない自分に苛立ちを覚えていた。

部活も引退して

「もうサッカーすることはやめて大学に進学しようかな」

と思っていたその時だった。

奥田家の固定電話が鳴り響いた。かかってきた電話番号を見ると、周磨の地元・香川県で使われている番号だった。

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