第10話

転校先は九州地方の熊本県。


周磨の母親・寿美子すみこは「昔、スポーツ選手をかじっていたことがある」と言っていたが、実は20代前半の時に夏季オリンピックにも出場経験のサッカー選手だった。


今から20年以上前、女子サッカー日本代表の「なでしこジャパン」の一員として、五輪に出場した周磨の母親・奥田寿美子選手。ポジションは「ゴールを決める」という結果が一番求められるFW《フォーワード》だった。

しかし大会前に右膝を痛めてしまい、なんとかグループリーグの第3戦で五輪初出場を果たすも、出場した試合で悪質タックルを取られレッドカード。退場後も得点を取れずチームはやぶれ、日本はグループリーグ敗退。五輪後、古傷の右膝に大会前より大きなけがを負い選手生命も一時は危ぶまれた寿美子はリハビリを重ねて公式戦復帰を果たすも、若手選手の台頭もあり怪我を治している間にベテランと呼ばれる立ち位置になってしまった彼女がその後の代表に招集されることはなかった。

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