第3話

「大丈夫ですか?」


その時、たまたま近くを通りかかった一人の男性が涙を流している日菜と頭から出血をしている元希を見て話しかけてくれた。


「この子がアスファルトで頭を打っちゃって…」

日菜は涙声でそう男性に訴えかけると

「あんまり泣かないでください。君たち、近所で集団登校している小学生だよね?僕もこの近所に住んでるし、通勤の時間と集団登校の時間がかぶってるからよく見かけるよ。今日はたまたま仕事が休みだったから」


「ここから学校に行ってるってことはこの近くに親御さんもいるんだよね?男の子は僕が見ててあげるから親御さん呼んできてあげた方がいいんじゃないかな?」


その言葉を聞いた日菜は、頭を打ってしまった元希を男性と一緒に車に轢かれない道路の端に移動させ、約100m先の家にいる元希のお母さんを呼びに行くことにした。



血が広がっているため一見パニックに陥ってしまいそうな状況だったが、男性はかなり落ち着いた様子で冷静に対応してくれていた。

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