ヤクモ・タチカワ中尉はどっちつかず
仕事をいつも通り。それなりの速度で終えて、一応の日課を終えてからシャワーを浴びるヤクモ。
(たまには風呂に入りたいもんだ。)
後方拠点ではあるが、勤務中の軍人としては少し贅沢と取られそうなことを考えつつ、シャワーを終えたヤクモはベッドに座る。
頭を掻きつつも情報端末で、暇をつぶすようにニュースを見てからボンヤリと宙を見た。
(30歳まであと5年。何事も無ければ退官して、田舎の惑星にでも行って、農家や小商売でもしてノンビリできるな。もう少しノンビリとしたい気もするが…)
暇すぎて腐ってもなぁ。そんな事を考えつつ、「ふう。」と、息を吐いてヤクモは宙に手をかざす。そこには彼にしか見えない文字と、そこから枝分かれするモノがあった。
(前の人生でどんな徳や功績を得ていたかはわからんが、こればっかりは助かるってもんだ。)
別の世界や、西暦のフィクションでは『スキルツリー』と呼ばれるソレを見てヤクモは首をポキポキと鳴らすように回す。
地球上で人間が生活し、おとぎ話でしかなかった転生というものを多分、経験しているのがヤクモであった。多分というのは、小説であるなら記憶があるもの。しかし、彼は頭に染み付いた様な、ちょっとした知識や価値観はあっても、ハッキリと分かる前世の記憶というものはなかった。
そのため、ハイスクールに在籍していたときに暇を見つけては自身の持っていた知識と価値観を史料とすり合わせて、大体はこの時代というのはわかったが、いま自分が何故こんな能力があるのかもわからない。・・・文句のような事を考えることはあったが、公私ともに大変助かってはいるのは確か。しかし、ヤクモしてこの能力を使って、
『この力を活かして、国家政府。そして国民のために全力を尽くそう!』
高尚な精神をもって、全力で誰かのために使う様な事は考えていない。かといって、
『ゲハハハハ。これでハーレムや、洗脳で裏から権力ゲットだぜ。』
逆に俗にまみれきった精神でもなく、自分のために全力で使う様な事も思いついていない。ヤクモの精神や思考としては『どっちつかず』または『どっちでもない』モノであって、
『能力を使いすぎて反則するのも何か嫌だし、全く使わないで宝の持ち腐れも嫌だし、もしバレて、ラボとかで人体実験も嫌。』
と、難儀というか臆病というか。まぁ、うん。そんな腑抜けと言えそうな思考であった。
それにスキルツリーも、『幻惑』とか『剣術』とか『魅力』とか。多数はあるけど、宇宙戦争に役立つものはあんまりない。それでも、『分割思考』とか『マルチタスク』とかで、事務仕事や、兵站業務では全く苦労することはない。
『とても役に立つとは言えないが、役に立たないとも言えない。』
そんなスキルツリーなのだ。
(・・・・・・・・なんで今更こんな事考えてんのかなぁ。)
変な思考のツボに入り込んでいたヤクモは首を振って、スキルツリーを消してベッドに潜り込み、明日の仕事に備えるのだった。いくら熱意がなくとも遅刻や、無断欠勤はダメというなんとか小市民的な考えのもとに夜更かしもなく寝息を立てるのだった。
※ヤクモ・タチカワ
年齢・・25歳
人種/性別・・極東系地球人種/男
身長/体重・・178cm/85kg
身分/職業・・軍人/統合軍中尉
特技/趣味・・仕事/スキルポイント集め
技能・・・・・『スキルツリー』
成績・・・・・第八士官学校 3997人中1660位
統合本部幹部学校 1500人中601位
※来歴・・・西暦??? 死亡
宇宙暦2475年 誕生
宇宙暦2485年 両親死去。大叔父に引き取られる
宇宙暦2493年 ハイスクール卒業 士官学校入学
宇宙暦2495年 士官学校卒業 推薦により幹部学校入学
宇宙暦2497年 幹部学校卒業 中尉に昇進。情報科に所属
宇宙暦2498年 情報科より補給隊本部に異動
宇宙暦2499年 第14補給基地へ異動
宇宙暦2500年 第0711基地への異動
※概要・・・統合軍中尉。仕事はするが熱意はない。無駄は減らすが無理はしない。上官からの覚えは悪くもないが、良くもない。同期や先輩、後輩からの評価も両極端。と、どっちつかずのフラフラしている様に見える青年。数少ない極東系地球人の出身で、一応は数万人の士官学校卒業生から一握りが選ばれる『統合幹部学校』を中の上で卒業した軍人としてはエリートさん。別に幹部学校に入ったのも出世したいわけではなく、20年の軍務で恩給が出るのが10年に短縮されるから入っただけ。
※2024/10/24 200字ほど修正
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます