第五話 バカと天才は紙一重とは言うが、まさにそうだと思う

 凪の通っている学校、アスタシア学園は、完全な実力主義である。学問ができても、弱ければ下位に。どうしようもないバカでも、強ければ上位に。

 そんな学校ゆえ、成績さえ規定の量を越えればある程度自由に過ごせるのである。授業を受けるもよし、サボってもよしなのだ。

 成績は、学と武の二つである。割合は4:6で、このうち4割取らないといけない。凪は魔法が使えないためまともに戦えず、学で勝負をしないといけない。つまり、凪は学が満点なのだ。


「こ、こうですか?」

「ちょっと違う。こういう感じ」


 凪はネオから魔法の使い方を習っていた。

 ここで一つ。大事な話をしよう。ネオは、典型的な天才である。それも、理論的論理的を鼻で笑うほどの。

 ぐおぉー、と両手を上に挙げながら、屈みから立ち上がる。


「こ、こうか!」

「そう、それ」


 凪は根っからの努力タイプである。天才の感覚はわからないが、再現はできるのだ。


「ファイヤ!」


 天才の再現をして、全力を出すとどうなるか。本人には劣るが、バカな火力、バ火力がでるのである。


「わぁー!!?!でかでたたかぁ!?」

「おめでとう」


 凪は大混乱である。今まで出なかったのが嘘のようにバカみたいにでかい火が出てきたのだから。

 そんな中、ネオは凪に抱きついて祝いの言葉を言い渡した。


「やっ!……ま、魔法出たぁ……」


 そう言えば、魔力を絶てば魔法は消えると言うのを思い出した凪は、気合いで魔力に栓をした。そして、呆然とする。本当に出たから。


「ネオ!出ました!ほのお!ファイヤーですよ!ファイヤー!」

「ファイヤー!」


 バンザイをしながらネオと一緒にファイヤーと叫び出した。凪は嬉しさでバグったようだ。


「「ファイヤー!」」




「どうしたの凪?」


「…そっとしておいてください…すぐに回復するので…」


 数分騒いだ後、我に返った凪は恥ずかしさのあまり真っ赤になった顔を両手で覆い、しゃがんでいた。羞恥で悶えているのである。


「ふぅ、もう大丈夫です!凪ちゃん復活!」

「おー」


 ぱちぱちぱち、と手を叩くネオ。楽しそうで何よりである。

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最強天使ちゃん今日もつおい 不定形 @0557

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