第三話 いちいち細かく考えてもしょうがない、と思ってる
召喚契約をする方法
その1、相手の血を一滴飲む
その2、『契約者は
その3、それを名前を呼ばれた者が『了承する』と本心で言う
「血…ネオの血…」
「どうしたの凪?はやく、はやく」
ネオの指から出る血の雫を、ぐへぐへ言いそうになるのを抑えながら見つめる凪と、凪の指から血を飲んだネオ。ちなみに、指を咥えた時、凪は変な声を出した。少し、いやかなりキモい美少女凪である。
「えーと、『契約者は一ノ瀬凪、召喚契約をネオと結ぶ』」
「了承する」
チロっとネオの血を舐めて、契約を結ぶ言葉を言う。ネオが答えると、魔法陣が2人の間に浮かび上がり、2枚になって小さくなり、2人の右手の甲に貼り付いて、消えていった。
「ふへ、魔力が減る感じって、こうなんだぁ」
「どうしたの凪?どっか痛い?」
自分の中で魔力が動いた。それだけなのに、凪は涙をこぼした。長年、ぴくりとも動かなかったからだ。感情が、溢れたのだ。
「なんでも、ないです。…………お風呂に、入りましょう!」
「わかった」
泣いても仕方がない、最かわのネオを汚れたまま置いとくわけにもいかない、と気持ちを新たに、お風呂に誘う凪。どんな状況でも凪は凪なのである。
「かわいい。え、かわいい。は?可愛すぎでしょ私の召喚天使」
スマホをカメラ機能を付けたまま、寝ているネオの顔に向けてかわいいを連呼している凪。写真のフォルダーには、すでに150を超えるネオの写真があった。撮り続けるにも容量の限界があるのだが、この先どうするつもりなのだろうか。
「ネオチャン灰色じゃなくて銀色だったんだネ。凪ちゃん興奮しちゃうナ」
汚れて灰色だったネオのボサボサの髪は、お風呂に入ったおかげで銀色のサラサラストレートに。美少女ネオさんから銀髪美少女ネオさんになったのである。
凪は限界を超えて最高に気色悪くなってしまった。美少女の持ち腐れ。
「……そろそろ寝よう。明日も学校だし」
楽しむだけ楽しんで、急にスンと冷静になった凪は、ネオに抱きついて寝始めた。
朝食はサラダと、トーストの上にベーコンと目玉焼きを乗せたものだ。
「凪、はやく、はやく」
「ちょっと待ってください、今行ってますから」
制服を着た凪が、牛乳を両手に持って机に向かう。ネオは凪が見栄を張って買ったはいいけど一切成長しなかったからぶかぶかなパーカーと、同じ理由で全然着てないスカートのようなワイドパンツをはいている。
「「いただきます」」
今日も私のご飯は美味しい!と心の中で自画自賛をしながら食べる凪と、目を輝かせながらもぐもぐしているネオ。ネオの昨日の食べっぷりから、ちょっと量を多くした凪は、多くして正解だったな、と思った。
「さあ、学校に行きましょう!」
「がっこう?」
「そうです学校です!学ぶところです!」
「なるほど」
優しい世界。
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