第3話

567:名無しの野球人

イッチはいつ帰ってくんだああああ

 

568:名無しの野球人

ゴリチンがああああ

 

569:名無しの野球人

阿鼻叫喚でワロタ

 

570:名無しの天才

もう、スレ主には拘らないわ!

現地の人!

スレ主と和服美人のその後の動向を教えて!

 

571:名無しのモブ

>>570

嫌です。

イッチさんが語るから意味があるのです。

私達は座して待ちましょう。

そんなに心配しなくても、貴女が思っているような展開にはなっていないので、安心してください。

 

572:名無しの天才

何言ってるの、心配なんかしてないわ。

話の続きが聞きたいだけ。

それに私が思っているような展開って何よ。

あいつと和服美人の人が何してようと、全く無関係な赤の他人である私には関係ないし、別にそれで動揺することもないんだが?

 

573:名無しの野球人

>>572

もしかして……いや、やめとくわ。

 

574:名無しの野球人

先に言っておくが、これでもしイッチが和服美人にしゅきしゅき〜って言われる展開になっていたら、俺は闇堕ちする。

荒らしと化して、このスレを闇に沈めてやる。

35歳職歴なし肥満体型ヒキニートのワイが高校に入ったばかりの純朴なゴリチンに、怒りで身を震わせた大人の怖さを分からせる。

 

575:名無しの野球人

>>574

ワードセンスが絶妙にキモい

分からせるって何やねん

 

576:名無しの野球人

>>574

闇堕ちしてやることが荒らしなんか……可哀想すぎん?

 

577:名無しの野球人

>>574

デブのおっさんが筋肉マシマシのゴリラを分からせる地獄絵図

 

578:名無しの野球人

嫉妬民も湧いてて草生える

 

579:名無しの凡才

戻ってきたで。

遅くなってすまんな。

 

580:名無しの野球人

遅いよ、な〜にやってんの!

 

581:名無しの野球人

今何時やと思ってるん?

もう夜の8時やぞ!

 

582:名無しの野球人

早く、早く例のブツをくれ!!

もう待ちきれねぇんだ!!

 

583:名無しの野球人

早く早く早く早く

 

584:名無しの凡才

>>582

了解。前置きは無しで行くわ。

 

「私についてきてください」

 

和服美人はワイの腕を掴んで体育館を飛び出す。

凄まじい握力やった。

先程の電波発言も相まって、抵抗したら腕を潰されると思ったワイは導かれるままに歩みを進める。

そして、数分ほど歩いた先にあったのは、お世辞にも綺麗とは言えないこじんまりとした建物。

 

「ふふふ。これが野球部の部室ですよ。年季が入っていて趣があるでしょう?」

 

本当に訳が分からん。

勝負に勝ったと思ったら運命の人だと言われて、体育館から引っ張り出されたと思ったら野球部の部室に連れてかれて……。

けれども、一つだけ分かる事がある。

 

「本当に夢みたいです。生まれつき魔力を持たない故に魔球を投げれない私と、魔球を視認できない故に魔球を打てない貴方。境遇が似ている私達がバッテリーを組み、不良が集まる高校で甲子園優勝を目指す感動巨編がここから始まるのですね……」

 

和服美人は興奮すると、自分の世界に入ってしまうタイプなんや……と。

 

585:名無しの野球人

トリップしとるw

 

586:名無しの野球人

不気味に笑っていた頃の強キャラ感は消え失せてるな。

 

587:名無しの野球人

メルヘン思考の持ち主

 

588:名無しの野球人

あのゴリチンが押されている……!?

 

589:名無しの野球人

キャラが濃いという意味では強キャラやね

 

590:名無しの凡才

「なんで、俺が魔球を視認できない事を知ってるんすか?」

 

「あのスレを見たんですよ。それで、アキラくんがこの高校に入学する事を知り、勝負を挑んだのです。貴方の実力を測るために」

 

納得したのと同時にめっちゃ恥ずかしい。

掲示板での言動を目の前の和服美人に見られたと考えると、羞恥心で全身が爆発しそうやった。

ネットのノリを現実に持っていきたくないタイプなんや、ワイは。

だが、恥ずかしがってはいられん。

色々と聞きたい事があるからな。

野球部の部員は何人いるのか、何故あれほどのナックルを投げられる和服美人が塵芥高校なんかにいるのか、とか。

それらを尋ねようとすると、和服美人はワイの両手をギュッと握り、柔らかく微笑みかける。

 

「これからよろしくお願いしますね、アキラくん。二人で力を合わせて、必ず栄冠を手にしましょう」

 

日々の練習でマメが出来ているものの、暖かく柔らかい手の感触。

まるで女神のような慈愛溢れる微笑み。

疑問の全てが頭から吹っ飛んだワイは口を開く。

 

「はい。これからよろしくお願いします!」

 

……ワイは、チョロい男や。

 

591:名無しの野球人

しゃーない

 

592:名無しの野球人

これは、しゃーなしやな

 

593:名無しの野球人

男なら誰でもそう答える。

俺もそう答える。

 

594:名無しの野球人

漢として正解や

ゴリチンは何も間違っとらん

 

595:名無しの野球人

魔球に関する欠陥を抱えた二人が協力して甲子園を目指す……アオハルやね。

 

596:名無しの野球人

しゅきしゅき展開なんてなんて無かった。

これは、輝かしい青春の一幕。

和服美人ちゃんを疑ったワイの心が穢れてたわ。

精神を清めるために滝行に行ってきます。

 

597:名無しの天才

私は何も想像していなかったけれど、心が荒れているのは確か。

心を無にするために練習してくるわ。

 

598:名無しの野球人

和服美人ちゃんの純真さに浄化されている奴らもいます。

 

599:名無しの野球人

イッチの心は煩悩まみれやけどな。

 

600:名無しの野球人

っていうか、和服美人もこのスレ見てるんだろ?

ここまで自分の心情を赤裸々に書いて、イッチは大丈夫なのか?

 

601:名無しの凡才

>>600

もう吹っ切れたわ。

どうせ隠してもいつかはバレるんやし、ワイはこれからも全てを曝け出していくで。

 

602:名無しの野球人

wwww

 

603:名無しの野球人

強い

 

604:名無しの野球人

メンタルお化け

 

605:名無しの野球人

精神が強いと言うよりも、ヤケクソになってるだけでは?

 

606:名無しの凡才

話を続けるで。

その後はひとまず体育館に戻って、入学式をさっさと終わらせたんや。

そして、教室に移動すると、ロングホームルームが始まる。

ちなみに、如何にも不良って感じの柄の悪い奴がクラスメイトに沢山居たが、そいつらが問題を起こすことはなく、その日は解散となった。

野球部に行くか行かないか迷ったが、今日のところは取り敢えず帰って寝ることにした。

色々あって疲れてたからな。

帰り道には塵芥高校の生徒が屯していたが、不安にはならんかった。

何故なら、ワイはこの学校の女番長っぽい雰囲気を醸し出す和服美人と親しいから。

入学式の時に彼女の存在に怯えていた他の不良共が絡んでくることはない、とタカをくくってたんや。

 

「おい、ハゲ。ちょいとツラ貸せや」

 

想定が甘すぎた。

いつの間にか、ワイは路地裏で数人の不良に囲まれていた。

 

607:名無しの野球人

塵芥高校付近の治安が悪すぎる

 

608:名無しの野球人

ゴミ箱と呼ばれるだけのことはあるな

 

609:名無しの野球人

塵芥高校の周囲には、安全地帯なんて概念はは存在しないんやね

 

610:名無しの野球人

今こそゴリチンの筋肉力を発揮するんや!

 

611:名無しの野球人

ハゲ呼びでワロタ

 

612:名無しの凡才

不良共はどいつもこいつも教室で見覚えのある顔。

要するに、ワイのクラスメイトやった。

 

「誰を相手にしてるのか分かってるのか?俺はあの和服美人(本名は伏せる)と関わりがあるんだぞ?」

 

声を大にして叫ぶ。

この時、ワイが選択したのは塵芥高校の女番長っぽい雰囲気を醸し出す和服美人の名前を出す「虎の威を借る狐」戦法やった。

 

「俺らも入学式に出席してたんだ。そんくらい知ってるわドアホ!」

 

普通に通用しなかった。

 

「女の権力を笠に着て、男として恥ずかしくないんかぁ!?」

 

割と心に刺さった。

 

「俺ら庵打烈須アンタレスは塵芥の頂点に立つチーム。和服美人の名前如きでビビるかい!」

 

彼らはヤンキー漫画の世界で生きていた。

 

613:名無しの野球人

ゴリチン情けなさすぎて草

 

614:名無しの野球人

こんなにコテコテの不良、現実に存在するんやな

 

615:名無しの野球人

塵芥高校でしか生きれない絶滅危惧種や。

 

616:名無しの野球人

>>615

近隣住民に迷惑を与える特定外来生物でもある。

 

617:名無しの野球人

傍観者の立場で見るとコミカルに感じる。

でも、実際に相対したらクッソ怖いだろうなぁ。

 

618:名無しの野球人

庵打烈須って書いてアンタレスかぁ……昭和の不良って感じのネーミングセンスでいいね。

 

619:名無しの野球人

この名前を考えた奴は絶対に厨二病や。

ワイには分かる。

 

620:名無しの野球人

定期的に邪気眼が疼いてそう。

 

621:名無しの凡才

「和服美人と親しいお前を真っ先に潰すことで、塵芥の中核を担う2年3年の連中に庵打烈須アンタレスの存在を認知させる……悪く思うなよ」

 

そう告げたリーダー格らしき男は拳を構える。

次いで、周囲の不良共も各々の武器を携えた。

ワイも反射的にファイティングポーズを取ったが、喧嘩なんてやったことはない。

入学する前は「不良に絡まれても筋肉でゴリ押せば勝てるやろw」と考えていたが、絶対に無理や。

恐怖で両足が小鹿のように震えて、まともに戦うことなんて出来ひんもん。

ここでこいつらにボコボコにされて、入院生活を余儀なくされて野球人生が終わる。

そんな未来を幻視した時やった。

 

「ダサいね、あんたら。一般人をよってたかってリンチしようだなんてさ」

 

ワイと不良達の間に挟まるような形で、パーカーを着た小柄な少女が現れたのは。

 

622:名無しの野球人

強そう

 

623:名無しの野球人

漫画やアニメの主人公かな?

 

624:名無しの野球人

絶対にこの女の子は色素が薄い髪型でスレンダー体型で青系の色の切れ長の瞳をしとる。

断言する。

 

625:名無しの野球人

>>624

マジでキモい。

でも、ちょっと分かるのが悔しい。

 

626:名無しの野球人

>>624

クールそうな感じな。

パーカーが良いアクセントや。

 

627:名無しの野球人

スレ民の妄想博覧会が始まってら

 

628:名無しの凡才

「何だ、お前は。俺達の覇道の邪魔をするな……道を開けろ」

 

「あんたらがどっか行きなよ。それが嫌だったら力ずくで退かせばいいじゃん」

 

「……その言葉、後悔するなよ!」

 

嘲るように笑うパーカーに煽られて、額に青筋を浮かべたリーダー格の男が飛び掛かるのと同時に、周囲の不良共も動き出す。

流石にこの数を相手にするのは無理があるだろうと思った俺が加勢に入ろうとすると、手で制された。

 

「いいからいいから……君はどっかいっちゃいなよ。ここにいると危ないからさ」

 

パーカーは優しげな声色でそう告げた。

キュンと胸が弾み、ワイの中で燻っていた未開の扉が開かれる。

……あまりにもイケメンすぎるパーカーの言動に乙女心がくすぐられてしまったんや。

 

629:名無しの野球人

オエッ!

 

630:名無しの野球人

心理描写いる?

 

631:名無しの野球人

ゴリチンのキモさでパーカーちゃんのイケメンさが中和されちゃったぁ

 

632:名無しの野球人

イッチが可憐な美少女だったら、素晴らしい。

でも、見た目は完全にゴリラなんよなぁ。

 

633:名無しの野球人

パーカーちゃん、めっちゃカッコいい……カッコいいのにぃ!

ゴリチンの乙女顔が頭にこびりついて離れないいいいいいいい!

 

634:名無しの野球人

野球要素が迷子

 

635:名無しの野球人

あまりにも不良高校成分が強すぎる

 

636:名無しの野球人

>「和服美人と親しいお前を真っ先に潰すことで、塵芥の中核を担う2年3年の連中に庵打烈須アンタレスの存在を認知させる……悪く思うなよ」

>「何だ、お前は。俺達の覇道の邪魔をするな……道を開けろ」

絶対にリーダー格の男が庵打烈須アンタレスの名付け親や。

言動の節々から同類の香りがする……ワイには分かる。

 

637:名無しの凡才

そこからはあっという間やった。

津波のように押し寄せる不良共を殴って蹴って投げ飛ばす。

軽やかな身のこなしと細身の体に見合わない力。

そして、路地裏にある遮蔽物を有効的に活用する機転の良さを十全に活かして、圧倒的な数の差をひっくり返していた。

ものの数分で不良共とワイは地面に倒れ伏し、無傷のパーカーだけが勝利を誇示するかのように立ち尽くしていた。

 

638:名無しの野球人

偏見だけど、パーカーちゃんはアクロバティックに飛んだり跳ねたりして戦うんやろなぁ

 

639:名無しの野球人

戦闘描写もっと欲しい

 

640:名無しの野球人

パーカーちゃんの勇姿をワイらにも見せてくれ!

 

641:名無しの野球人

ものの数分で勝てるとか、どんだけ強いんだよw

 

642:名無しの野球人

>ものの数分で不良共とワイは地面に倒れ伏し、無傷のパーカーだけが勝利を誇示するかのように立ち尽くしていた。

不良は分かるけど、なんでイッチも倒れとるんや?

 

643:名無しの凡才

>>642

笑うなよ、お前ら……戦闘が想像以上に派手すぎて、ビビって腰を抜かしたんや。

 

644:名無しの野球人

 

645:名無しの野球人

ダサすぎるw

 

646:名無しの野球人

本当にゴリチンはさぁ

 

647:名無しの野球人

いやでも、しゃーない……しゃーないよな

 

648:名無しの野球人

か弱い生き物

 

649:名無しの野球人

筋肉はハリボテかな?

 

650:名無しの野球人

お茶目さんだね、イッチは

 

651:名無しの凡才

「あはは、大丈夫?」

 

性格が悪く小癪で陰気なスレ民とは異なり、心優しいパーカーはワイを馬鹿にすることなく手を差し伸べる。

彼女の手を取るワイの脳裏に流れるのは先程の戦闘。

助けてもらった立場で言える台詞ではない事は分かってる。

その上、パーカーが塵芥高校に通っているかどうかも分からん。

でも、それでも昂る気持ちを抑えることがどうしても出来んかった。

 

「俺と一緒に野球をやりませんか?」

 

「んー。嫌だ」

 

ノータイムで断られた。

 

652:名無しの野球人

いくら何でも唐突すぎる。

 

653:名無しの野球人

残当

 

654:名無しの野球人

>性格が悪く小癪で陰気なスレ民とは異なり

根に持っててワロタ

 

655:名無しのモブ

>>640

【動画】

パーカーさんの戦闘中の姿を撮影した動画です。

ご査収ください。

一応言っておきますが、今回もパーカーさんに許可は頂いています。

 

656:名無しの野球人

有能

 

657:名無しの野球人

ありがたいけど、なんか怖くねw

 

658:名無しの野球人

モブニキネキはイッチのストーカーか何かなん?

 

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