第15話
自室のベットに寝転がっている俺は、学校を欠席し始めてから1週間が経過しても登校してこない綾原のことについて考えていた。
綾原が学校を欠席し始めてすぐにラインでメッセージを送ってはみたが、『大丈夫』と返ってくるだけで、それ以上は何を訊いても返信が来ることは無い。
メッセージで何があったのかを教えてもらえないなら電話するしかないと電話もしてみたが、綾原が電話に出ることは無かった。
ただの風邪では1週間も学校を休まないだろうし、何かしらの問題が発生している可能性は高い。
どんな問題が起きているのかはわからないが、恐らくはこの前俺に話してくれた母親との間に問題が起きているのだろう。
『綾原からしたら龍人からアドバイスをもらっただけで何も解決してないんだから』
そんな夢川先生の図書室での言葉が頭をよぎった。
俺は自分がアドバイスをした時の綾原の晴れた表情を見て、このまま解決してしまうのではないかとあまりにも楽観的に考えていた。
しかし、夢川先生の言った通り、問題は何も解決していなかった。
綾原と母親の問題が悪化してしまい綾原が学校に来なくなってしまったのは、俺が楽観的に考えて対策をしようとしなかったからだ。
自分の責任で綾原が学校に来なくなってしまったのだからどうにかしなければならないという思いはあるが、綾原から返答が無くどのような問題が起きているかわからないうちは手出しのしようがない。
それでも俺は困っている綾原のことを助けたいんだ。
ヤンキーである俺のことを怖がらずにアニメの話をしてくれて、俺を信じて母親の悩みまで打ち明けてくれた綾原のために何かをしてやりたいんだ。
そうは言っても、俺に何が起きているのかを話してくれないということは、家庭の問題にズカズカと介入されたくないのかもしれないし……。
もしここで俺が綾原は助けを求めてもいないのに無理矢理助けようとしてしまえば、そこで俺と綾原の関係は終わってしまうかもしれない。
綾原を助けるという決心がつかない俺は、AI大先生に助けを求めた。
『困っている女の子は助けるべきですか?』
『困っている女の子を助けるべきかどうかは、もちろん助けるのが良いです。誰かが困っているときには、性別に関係なく助けることが大切です。助けが必要な状況に出会ったら、以下のことを考えて行動しましょう。
1.状況の確認
まず、その子がどのような状況で困っているのかを確認します。例えば、道に迷っている、ケガをしている、何かを落としたなど、具体的に何が問題なのかを理解しましょう。
2.適切な支援
自分でできることがあれば、優しく声をかけて助けてあげましょう。しかし、自分だけでは対応できない場合は、周囲の大人や関係者に助けを求めるのが良いです。
3.安全の確保
自分の安全や、相手の安全を考えて行動することも重要です。無理をしないように、必要であれば他の人にも協力を求めましょう。
困っている人を見かけたら、できる限り助けることは、優しさや思いやりを示す行動であり、大切なことです』
AI大先生も助けるのがいいと言って俺の背中を押してくれている。
その上綾原を助けるためのアドバイスまでしてくれた。
綾原の状況を確認するのは難しいだろうが、2番、3番のアドバイスに書かれている『他の人の協力』を仰ぐことはできるかもしれない。
そうして俺は家を出る準備を始めた。
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