僕の隣の席が40歳のおっさんだった件

三鞘ボルコム

僕の隣の席が40歳のおっさんだった件


 高校に入学して1週間――。


 中学までの自分とはお別れして心機一転、新たな生活に馴染もうとしていたのだが……、一向にそれが叶う気配は無かった。

 その原因は……。


「――くん」


「はい」


「――さん」


「はい」


「……き、京極……、さん……」


「はい」


 朝のHRで担任の先生が出欠を取っている。

 そして今、名前を呼ばれた人物が、僕の平穏な高校生活の邪魔をしている諸悪の根源だった。


 『京極きょうごく じん』……。僕と同級生の新一年生……。『40歳』である……。


 髪はピッチリと七三に分けて、分厚いメガネをかけて、学生服を着てはいるが、その大きなガタイと老け顔はとても高校生には見えない。……まぁ40歳なのだから当然だ。

 先生も、自分よりも年上の生徒に対してどう接して良いのか分からないのだろう。彼を呼ぶ時の声が震えている。


 かく言う僕も他人事ではなかった。

 窓際の最後列の席で、隣が40のおっさんとなれば、話しかける事も出来ず、彼も話してこないし、クラスメイト達も彼の席には近寄らず……。僕は入学から1週間経っても、誰とも話す事が出来ないでいた。


八幡やはたくん。……八幡くん?」


「……はっ? はいっ!」


「寝不足ですか?」


「い、いえ……。すみません……」


 いけない……。つい、京極さんの事に気を取られてしまった。

 こんな事じゃいけない。折角、高校生になったのだから……。もう、中学の頃とは関係ないのだから。

 僕はポケットに入れた「お守り」を強く握って、心を落ち着かせた。


「先生」


「ひゃいっ⁉ ……な、何ですか? 京極、さん?」


 出欠が終わった所に、突然京極さんが挙手をして声を上げた。


「「それ」です。先生は男子を呼ぶときは「くん」と呼び、女子の時は「さん」と呼ぶ。なぜ、私の時は「さん」と呼ばれるのでしょうか?」


「そ、それは……」


「私が女子に見えるとでも?」


「い、いえ……。そんな……」


 こんなにゴツイ女子が居てたまるか。きっとクラス中の生徒の頭にはそんなセリフが浮かんだろう。だが、誰1人それを口にする人なんて居はしない。


 先生も可哀想に……。怯えて、今にも泣きそうじゃないか。

 丁寧な口調とは裏腹に、京極さんの声は低く、まるで威圧しているようにしか聞こえない。


「……失礼しました。授業を始めて下さい」


「は……、はひ……」


 京極さんはそう言って、メガネの位置を直しながら席に着いた。

 一体、何がしたかったんだ?ただ、先生を怯えさせただけじゃないか。もしや、それが目的だったのか?


 京極さんの考えが一切読めないまま、始まった授業の進行速度は当然の如く、遅かった。




「はぁ……。今日も誰とも喋れなかったな……」


 放課後、校門を出た僕は誰に言うでも無く独り言を口にしていた。

 こんな事じゃあ、友達が出来ない。ぼっちになってしまう。ぼっちの行き着く先なんて決まってる……。それは……、イジメだ。


 内気で気の弱い僕は中学の頃、イジメに遭っていた。

 テレビやマンガなんかで見るような凄惨せいさんなイジメではない。ただ、よくバカにされたり、小突かれたり、物を隠されたりするだけだ。

 気弱な僕は、それらをヘラヘラと笑って誤魔化していた。それを、「あいつら」は楽しそうに笑っていたんだ。僕は、ちっとも楽しくなんて無いのに……。


 あんな惨めな学校生活なんて、もう嫌だ。ぼっちになんて、なりたくない。なのに……、友達が、出来ない。


 「自分から話しかけに行けば良い」なんて言う人もいるかも知れないが、事はそう単純なものじゃない。話しかけるにもタイミングが必要なのだ。

 なのに京極さんが「壁」になって、そのタイミングを逃してしまう。既に出来上がった人の輪の中に入って行くのは、コミュ障の僕には不可能なのだ。


「全部、京極さんの所為せいだよ……」


「何が、誰のせいだってぇ~?」


「……きっ、君はっ⁉」


「よぉ~、八幡。久しぶりじゃん~」


 目の前に現れたのは、中学の時のクラスメイト……。僕をイジメていた張本人、「鈴木くん」だった。

 鈴木くんの周りには同じく中学の同級生や、見覚えの無い人が3人いた。


「鈴木ぃ~っ、コイツがオマエの言ってた八幡かよぉ?」


「仲のいい、「オトモダチ」なんだよなぁ~?」


 知らない人たちが口々に言ってくる。鈴木くんとは、別に仲が良かった訳では無い。むしろ……。


「なぁ、八幡ぁ。別々の学校に行ってもオレら、トモダチだよなぁ?」


「…………」


 どの口でそんな事を言ってくるのか。僕は鈴木くんが……、彼と、彼の仲間たちなんて大嫌いだ。

 事あるごとに馬鹿にしてきて、すぐ殴るし、シャレにならないようなイタズラもされたし、付き合わされた。


 僕の宿題を写して、先生にバレたのを忘れていない。

 万引きの片棒を担がされ、1人置いて行かれたのは忘れない。

 好きな女の子の前でパンツを下ろされたのは、忘れられない。


 せっかく鈴木くんたちとは違う学校に入ったのに……。まさか、下校途中に待ち伏せるなんて……。


「おいっ、黙ってないで何とか言えよっ。オレたち、トモダチだろぉ?」


「ぅ、うん……」


 「お前なんか友達なんかじゃないっ!」って、……大声で、そう叫びたかった。

 ……でも、僕の口から出た言葉は小声で、弱くて……、否定する事が出来なかった。


「ギャハハハッ! オメェ、ムリヤリ言わせてんじゃねーかっ」


「かえーそーによぉ、ブルっちまってんじゃんっ」


「チゲーっスよぉ。カンドーに震えてんっスよ。なぁっ?」


 知らない奴が勝手な事を言うなっ!

 知ってる癖に適当な事を言うなっ!


 そう言えたら、どんなに気分がスッキリする事だろう。

 でも、僕の弱い心では立ち向かう事が出来ない。ひ弱な身体では立ち向かっても無駄だ。


(……相手は5人も居るんだ。どんなに強くたって、歯向かうなんて出来ないよね……)


 だから僕はそう言って、弱い心と身体に言い訳をする。


「ところでよぉ~、八幡を男と見込んで頼みがあんだよ。聞いてくれるよなぁ~?」


「なにせ、鈴木と八幡はシンユーだもんなぁ?」


 予想通りのセリフだった。きっと、こんなセリフを吐くのではないかと思っていた。

 なのに……。分かっていた展開だというのに……、背筋が寒くなり、冷や汗がドッと噴き出してくる。急に耳鳴りがして、中学の頃からの鈴木くんの腰巾着が話す言葉も良く聞き取れなかった。


「オイオイ。コイツ、青ざめてっけどダイジョーブかぁ?」


「ンなビビんなよぉ。別にオメーにゃ、何もしねーよ」


 知らない人の1人がそんな事を言ってタバコ臭い顔を近付けてくる。

 しかし僕は知っている。そんな言葉が、何の救いにも気休めにもならない事を。


 そんなに嫌ならば逃げればいい、なんて人もいるかも知れない。

 でも無理だ。鈴木くんは、僕の家を知っている。今逃げても、仮に逃げ切れたとしても……、その場しのぎにしかならない。


「何を……、やらせる、つもり……?」


 どうせ鈴木くんからは逃げられない。なら、彼の怒りを買わないように従順になった方が得だ。どうせ逆らったって、酷い目のうのは変わらない。


「やらせるって、人聞きがワリ―な。頼みがあるっつったろーがよぉ? それじゃあ、オレがムリヤリやらせてるみてーじゃねーか」


「おい鈴木っ。ンなコトぁ、どっちでもいーよ。……それより、間違いねーんだろーな?」


「スイマセン、先輩っ。……八幡のツラ見て不安っスか? 安心して下さいよ。コイツとは似ても似つかず、マビィっスから」


 「あの」鈴木くんが、知らない人に対して下手に出ている……。「先輩」と呼んだという事は上級生だという事だ。

 その事実だけで、僕が彼らに歯向かう事は、初期装備のLV1で魔王に立ち向かうようなものだという気がしてきた。


 彼らには逆らってはいけない。

 最初からそんな気は毛頭ないというのに、僕の頭は恐怖でおかしくなっていたのかも知れない。

 だが……、本当に僕の頭がどうにかなってしまったのは「このすぐ後」だった。


「おい、八幡。オメー、姉貴がいんだろ?」


「……あ……ね? ……姉、ちゃん?」


「そーそー、そのネーちゃんだよ。オメー、ネーちゃんを駅前のカラオケまで連れて来いよ」


 予想もしていなかった鈴木くんの要求に、僕の頭の回転は鈍い。

 確かに僕には姉ちゃんが居る。怒りっぽくて、我儘わがままで、でも時々優しい姉ちゃんだ。

 その姉ちゃんをカラオケに連れて来い?ひょっとして、鈴木くんは姉ちゃんが好きだったのか?でも無理だ。姉ちゃんをカラオケに連れ出すなんて、僕には方法が思いつかない。


 鈍くなった頭をゆっくりと回転させ、僕はようやく違和感に気付いた。

 鈴木くんが姉ちゃんを好き?だからカラオケに呼び出す?何人もの仲間を連れて?

 ……そんな事は……有り得ない。じゃあ……、


「な……んで……?」


「オレら、もう高校生だろ? いー加減、ドーテイじゃバカにされんだろ。だからオメーのネーちゃんで卒業させてもらおうってな」


「八幡のネーちゃん、結構ムネあるよなー?」


「オッ、そーなの? いーじゃんいーじゃん」


「最初はオレだぞ? クジ引きで決めたんだからな?」


「いーよいーよ。オレは代わりに後ろの穴をもらうから」


 ゆっくりと回っていた頭がき回される。視界も思考も揺れて、真っ直ぐに立つ事さえ覚束おぼつかない。

 卒業?後ろ?胸?クジ引き?ドーテイ?……何を、……何を言っているんだ?


「ついでにお前もヤっとけよ。高校にもなってドーテイなんてカッコワリィだろ?」


「ギャハハハッ! 自分の姉でドーテイ捨てさせるとかキチクかよーっ!」


「鈴木くん、やっさしーっ」


 ヤる?ヤるって何をだ?ドーテイ?……どうてい。……道程?……童貞。

 び付いた頭が1つの正解を探り当て、そしてようやく話が理解できた。


 鈴木くんは……、彼らは、僕の姉ちゃんをレイプしようとしているのだ。……しかも、僕にその片棒を担がせようと。

 ……何がっ、優しいものかっ!


 嫌だ。そんな事、出来るものかっ!

 僕は別に、姉ちゃんっ子って訳じゃあない。僕のマンガやゲームを勝手に持っていくし、僕のおやつも勝手に食べる。お風呂は長いし、トイレも長い。朝が弱くて、勝手に寝坊しては朝から1人で怒って、八つ当たりまでしてくる。ハッキリ言って、好きじゃあない。


 ……それでも。……それでも、僕のたった1人の姉ちゃんなんだっ‼


「…………だっ!」


「ん? なんか言ったかぁ?」


「……イヤだっつったんだよぉっ‼ そんなにヤりたきゃ、テメーら同士で輪になってケツの穴掘り合ってろっ‼」


 ……こんな事を言うつもりは無かった。本当だよ?でも何故かこの時は、考えた事がそのまま口から飛び出したんだ。


 僕の母さんは「下品な言葉を使うと、下品な大人になってしまう」なんて言って、僕に小さな頃から汚い言葉を使わないように教えてきた。僕もそれに従って、汚い言葉は使わないようにしてきたんだ。

 なのに、こんな下品な事を言ってしまうなんて……。


 でも、この時僕は何かから解放されたような……、本当に清々しい気持ちになったんだ。

 けど、そんな気持ちは一瞬だけで……。


「……はぁっ、……はぁっ」


「……コイツ、今なんつった?」


「コゾー……、もっぺん言ってみろや?」


「…………ぃ……いや……」


 先程の気分の良さなんて一瞬で吹き飛んでしまった。今、僕は何を言ったんだ?

 ハッキリとは思い出せない。でも、彼らの要求を拒否して、口汚くののしった事だけは確かだ。


 馬鹿か、僕はっ⁉

 僕みたいなモヤシっ子が、ヤンキー5人を相手にどうにか出来るとでも思ったのか?

 謝れ。今すぐ謝れば、許して貰えるかも知れない。……さっさと謝るんだっ。


「おい、八幡~。さっさと謝った方がいいぞ~? この人らをキレさせたら、おっかねーぞ~?」


「先輩たちは暴走族にも知り合いが居んだぞ? お前、死んじまうぞ?」


 鈴木くんと腰巾着が言ってくる。そうだ。2人の言う通りだ。さっさと謝るんだ。

 暴走族なんて、冗談じゃない。高校生になったばかりなのに、死にたくなんてない。例え脅しのつもりだったとしても……、痛いのは、嫌だっ。


 僕の心は、完全に鈴木くんたちに服従していた。

 なのに、口から出た言葉は――。


「……ぃ……嫌だっ! ぼ、僕は……、ぁ、謝らないし……、姉ちゃんにも手出しさせないっ!」


 僕の身体は、僕の言う事を全く聞いてはくれなかった。

 思った事とは逆の言葉を口にして、おまけに握り拳まで作っている。


「おい、鈴木ぃ。話が違うじゃねーかよぉ? ジュージュンなペットじゃなかったのかよぉ?」


「ス、スイマセンッ! こ、こんなハズじゃ……」


「飼い主のシツケがなってねーなぁ? 仕方ねーから……、オレが代わりにシツケてやるっ、よぉっ!」


「ぉご……っ⁉」


 鈴木くんの先輩とやらの1人がそう言って、両手をポケットに突っ込んだまま、僕のお腹を蹴った。


 痛い……っ!苦しい……っ!息が出来ない……っ!代わりに、口から別の物が込み上げてくる……!

 せめて……、道の端に……っ。


「……ぅぼっ。ぉおげえぇぇぇ……」


「げ、キッタネェ。コイツ、吐きやがった」


「オメーがいきなり、腹キックとかすっからだろー?」


 背後で、彼らの笑う声が聞こえる……。彼らにとっては、僕の苦悩も、痛みも、苦しみも、笑いの種でしかないのだろう。


 胃の中を全て吐き出し、一息ついた僕は……、その場から逃げ出した。

 5対1なんかで勝てる訳が無い。1対1でも無理なのに。謝っても無駄に決まってる。彼らは、相手が下手したてに出ると、とことんまで甚振いたぶるのだ。

 痛いのは、もう嫌だ。だから僕には他に手段が無かった。……だけど。


「どこ行くんだ~っ? 八幡っ、くんっ、よぉっ!」


「……がっ⁉」


「ぉほ~っ! 背中にドロップキックとは、こりゃヒデェっ!」


 逃げ出す僕は、あっという間に追いつかれ、背中から飛び蹴りを喰らって倒れてしまった。


 痛い、痛い痛いっ!

 アスファルトで手やひざけて、血が出ている……!


 戦っても勝てない……。

 謝っても許してなんて貰えない……。

 逃げても追いつかれる……。

 僕に残された手段は……、何も無かった……。


 このまま甚振いたぶられるのか?そんなの嫌だっ!

 ヒーローでも現れて助けてくれれば……。そんなの居ない!

 僕が強かったらやっつけてやるのに……。5人相手なんて非現実的だ!

 せめて……、何か武器でもあれば……。……武器?


 僕は痛みをこらえて、自分の制服のポケットの中に入れていた「お守り」を握った。

 よかった……。この騒動でも「お守り」は変わらずポケットの中にある。


 でも……、しかし……。

 僕は一瞬、「お守り」を使う事を躊躇ちゅうちょした。……だけど、それは一瞬だ。

 次の瞬間には、僕は「お守り」を……、ポケットから抜き放った!


「……オイっ! コイツっ、ナイフを持ってやがるぞっ⁉」


「……ふぅっ、……ふぅっ」


「……お、おいおい、……シャレになんねーよ」


「コイツ……、目がマジだぜ……?」


 「お守り」の効果は覿面てきめんだ。鈴木くんたちは先程までの余裕を失くして、一気に焦りだした。


 いくら僕が弱くても……、いくら相手が大人数でも……。それは「お守り」1つで簡単に引っ繰り返る程度の差でしかないんだっ。

 今……、「強い」のは、僕の方だっ!


「……ぅ、うわあぁぁぁっっ‼」


「テ、テメーっ……⁉」


 優位に立った僕は、ナイフを上段に構えて、大声を上げながら突撃した。素人丸出しの僕の動きにも、彼らは怖気おじけづいているのが分かった。


 それに気付いた僕は勝利を確信していた。……仮に思惑おもわく通りに事が運んだ場合、その後に何が待ち受けているのか気付く事すら出来ずに。

 ハッキリ言って、この時の僕は視野狭窄しやきょうさくおちいっていたんだと思う。


 だから僕は気付けなかったんだ。僕のつたな思惑おもわくを止めてくれた「人物」の存在に……。


「ああぁぁっっ……ぁぐっ⁉」


 雄叫びを上げながら走る僕の背後から何者かが忍び寄り、僕の身体を羽交はがめにした。そして、そのまま僕の右腕をひねり上げ……。


「ぃぎぎ……」


 激しい痛みが右腕を襲う。僕はたまらず腕から力を抜き――、「お守り」をその場に落としてしまった。

 ”カラン”という乾いた音と共に、僕の希望が地に落ちる――。


 僕の正面には鈴木くんたち5人が居る……。そして僕を捕まえているのが、もう1人……。まだ仲間が居たのか……。

 希望を失い、絶望した僕に、その人物が耳元でささやく。


「ソレはめときぃ。後悔すんでぇ?」


 関西弁……。初めて聞いた。でも、その低い声はどこかで聞いたような……。

 疑問に思った僕が振り返り、その人物の顔を見て驚愕きょうがくした。


 ピッチリと七三に分けた髪。マンガかと思う程に分厚いメガネ。それらでは全く隠しきれない老け顔に、まるで熊のような大きな身体。そして、全く着こなせていない学生服――。


「……きょ、京極……さん?」


「ワレも「さん」づけかい……。ま、ええけど」


 思わず口にした彼の名前に、京極さんの言葉は意味が分からなかった。

 ただ、後で「そういえば、朝にも先生に文句を言っていたな……」と思い出したのだった。


 京極さんは「お守り」を落とした僕の拘束を解き、僕の前に出て鈴木くんたちへと向けて言い放った。


「事情は知らんけど、今日のところは帰った方がええんちゃうか? オドレらも刺されとぉはないやろ?」


「何だっ、テメェっ⁉」


 急な展開に混乱する僕には、京極さんの言葉の意味が分からない。

 京極さんは、鈴木くんたちの仲間なんじゃなかったのか?


「……オイ。学ラン着てっけど、オッサンじゃねーか」


「おいオッサン、ここはコスプレ会場じゃねーぞ?」


「ワシャ正真正銘の高校生なんやが……、まぁええわ。ホナ、八幡くんはワシが引き取らせて貰うで?」


 京極さんはそう言って振り返り、僕の肩を掴んで歩き出そうとした。ますます意味が分からない。

 ただ、こんな僕にも分かっている事が1つある。それは、鈴木くんたちが素直に引き下がる事は無いだろうという事だ。


 案の定、鈴木くんの先輩の1人が背を向けた京極さんの背に蹴りを放っていた。前蹴り……、ケンカキックというやつだろうか?

 後ろから蹴られた京極さんは、避ける事も防ぐ事も出来ず、しかしうめき声さえ上げずに僅かに身体が揺れただけだった。


「勝手に話進めてんじゃねーぞ、オッサン?」


「オレたちゃ、そこのボクに用があんのよ? コスプレ会場にはオッサン1人で行ってくれよ?」


「ギャハハハッ! それ、ウケる~っ」


「……穏便に終わらしたろぉ思てんけど、しゃーないのぉ」


 大声で笑っている鈴木くんたちには恐らく、京極さんの呟きは聞こえていない。

 僕も、京極さんの言葉の意味は分からない。ただ、メガネを外した京極さんの目は鋭く――怖かった。


「オッサン、そのカッコで恥ずかしくないの~?」


「いやいや、恥ずかしいっしょ。同じ空間にいるオレらが」


「ギャハハハッ……はぐぅっ⁉」


 突然、京極さんは笑っている1人に殴りかかった。当然、鈴木くんたちに緊張が走る。

 僕も同じだ。……いや、そのずっと前から緊張と恐怖で僕の身体は震えていた。


「……テメェっ! いきなりヒキョーだぞっ⁉」


「この人数差で勝てると思ってんのかっ⁉ あぁっ⁉」


「先輩っ、やっちゃいましょうよっ!」


「ごちゃごちゃうるさいのぉ。かかってくるなら、ちゃっちゃとかかってこんかいっ‼ 心配せんでも、シロートさんには手加減したるさかいのぉ」


 京極さんの言葉を皮切りに、殴り合いのケンカが始まった。完全に蚊帳かやの外となってしまった僕はどうする事も出来ずに、ただ呆然と立ち尽くしていた。


 ……京極さんは強かった。5対1であるにも関わらず、一切引けを取らず……、むしろ圧倒しているようにさえ見えた。乱闘の中で髪を振り乱し、七三が崩れた京極さんの姿は、まるで鬼のような形相になっている。

 そんな中で僕は、「素人」と言っていた言葉を思い出し、京極さんは何かの「プロ」なのだろうか、などと考えていた。


 京極さんの圧倒的な強さに余裕を無くした鈴木くんたちは、京極さんを取り囲み一斉に飛び掛かる。しかしそれでも怯まず反撃する京極さんに、鈴木くんたちは次第に引け腰になっていった。

 だけどその時、鈴木くんが僕の「お守り」を地面から拾い上げたんだ――。


 僕の「お守り」――、「ナイフ」を構えて、鈴木くんは京極さんに向いている――。

 使うつもりだ――、刺すつもりなんだ。京極さんを――。

 京極さんは背を向けていて気付いていない――。

 でも、僕には……。僕なんかには……何も、出来ない――。


「……死、ねぇ……ぐわっ⁉」


 何も出来ない……。その筈だったのに……。

 僕は気付けば、鈴木くんに背後から飛びついていた。


 受け身も何も知らない僕は、鈴木くんと一緒に地面に倒れ込み、全身を襲う痛みに痺れる。

 特に、右手が痛い……。刺すような鋭い痛みが、右手から脳へ伝えられる……。


「……ぅっ……うわあぁぁぁっっ⁉」


 自分の右手を見た僕は、その光景に悲鳴を上げた。

 痛い筈だ。「刺すような」ではない。「お守り」が、「ナイフ」が僕の右手に刺さっていたのだから……。


 見た事が無い程の血が流れている……。

 感じた事の無い程の痛みが右手を襲う……。


 情けない事に、僕の意識はそこで途切れてしまった――。




 目を覚ますと、そこは知らない部屋だった。知らない部屋のベッドに寝かされていた。


「ここは……」


「おぅ。気ぃついたか? 安心しぃ、ここはワシの部屋や」


 そう言われ、周りを見渡してみる……。

 僕には詳しく分からないが、置かれている家具や小物はどれも高級品の様に見える。寝かされているベッドもふかふかだ。

 とても、普通の高校生の揃えられる物には見えない。……いや、京極さんは「普通の高校生」などとは程遠かった。


「血ぃは止まったけど、ちゃんと病院いっときや? あんま親を泣かすモンやないで? ……ま、ワシが言えた義理やないけどな」


 言われて右手を見てみると包帯が巻かれ、治療をしてくれたのが分かる。いた箇所も、ガーゼや絆創膏が貼られている。


 何故……、京極さんは僕にここまでしてくれたんだろう?

 たまたま居合わせたにしても、5人相手にケンカをする事になり、僕を部屋に連れ帰って治療までしてくれた。

 僕と京極さんは、ただのクラスメイトなのに……。それも、まだ一週間しか経っていないのに……。


「あの、京極さんは……」


「「さん」は止めぇ。ワシと八幡くんは同じクラスメイトやで?」


 そんな事を言われても抵抗がある。僕は15歳。40歳の京極さんとは2.6倍もの差があるんだ。

 ……とはいえ、京極さんは恩人だ。それも、ヘタをすると命の恩人と言っても過言じゃないくらいの……。だから僕は、恐る恐る口にした。


「……その、京極……くんは……、どうして僕を……?」


「……八幡くんがひかモンなんか出したからや。そぉやなかったら、知らん振りしとるで」


 ひかモン……。僕の「お守り」の事だ……。

 しかし、それだけであんな事をするだろうか?むしろ、関わるまいとするのが普通じゃないだろうか?


「暴行罪なら2年以下、傷害罪なら15年以下の懲役やで? 万一、殺してしもたら3年以上、20年以下や。……状況から情状酌量があっても、前科なんかついたら八幡くん……、人生を棒に振んで?」


 改めて言われてゾッとする。

 もし、あのまま誰かを刺していたら……。もし、誤って誰かを殺してしまっていたら……。僕は一生、犯罪者……、最悪、殺人者の烙印らくいんを受けて生きる事になる……。

 僕だけじゃない。父さんも、母さんも、姉ちゃんも……、殺人者の家族として生きなければいけなくなる所だったのだ。


 激しい後悔と、安堵。そして、京極さん……、京極くんへの感謝の念が押し寄せる。

 しかし、同時に京極くんへの疑問も湧き起こった。


「く、詳しいんだね……? 京極、くんは……、法律か何かの……?」


 仕事でも目指しているのだろうか?それとも、実際に仕事をした経験でもあるのだろうか?

 そんな事を考えて言葉を口にした僕は、馬鹿だった……。


「あー……。昔、ちょっとな……」


 京極くんはそれ以上、語ろうとはしなかった。僕もそれ以上、聞く事はしなかった。

 きっと、京極くんには言いたくない過去があるのだろう。なにせ、僕が生まれた頃でも京極くんは25歳だった筈なんだから。


 その日は、それから少しして家に帰った。

 明日からは京極くんにもっと話しかけてみよう。そう決心した僕だったけど目下の問題は、家族にケガの言い訳をどうしようか?と、いう事だった。




「きょ、京極くん、おはよう」


「おぅ、おはよーさん。ケガの具合、どないや?」


「ぁ、いや、おかげさまで、と言いたいとこだけど……。しばらく右手は使えないみたい。お箸やペンを使うのが左手でさ……」


 京極くんは、校内でも関西弁だった。どうやら先生に対する敬語のみ、標準語になるようだ。


 そして時は経ち、僕たちは少しづつ仲良くなっていった。

 球技大会のソフトボールの時も――。


”ッキィーーン”


「っしゃあっ! こんで逆転勝利じゃ、ボケェっ!」


「京極くんっ、すごいよっ!」


「何言うてんねんっ! 八幡くんが出塁しとったから逆転できてんやんっ」


 七三メガネで40歳の京極くんは周囲から浮いてはいたけど、この辺りから少しづつ話すクラスメイトが出てきたように思う。

 それでも一番よく京極くんと話したのは僕だと思うし、僕は京極くんの事を一番の友達だと……、親友だと、勝手に思い始めていた。


「あのさ、京極くん……。僕たち、結構話すしさ……、その、友達……だと思うんだ……」


「…………」


「だから、その……、「キョウちゃん」って呼んで、いいかな?」


 ある日、僕は恥ずかしさをこらえながらそんな事を言ってしまった。友達同士で愛称で呼び合うのに憧れていたんだ。

 でも、僕のそんな浮ついた心は、京極くんの返事を聞いてき消えてしまった。


「……ワシも、八幡くんの事はクラス一の仲やと思ぅとる。……しゃあけど、「友達」言うんには、ワシの過去を話さなアカン」


「……過去?」


「ワシな……。ヤクザやねん……。前科もついとる……。しかも、殺人の……な……」


 驚いた、なんてもんじゃない。京極くんが普通でない事くらいは分かっていた……、つもりだった。……本当に「つもり」だけだったんだ。

 まさかヤクザ……。しかも人殺しだったなんて……。一瞬、目の前の京極くんが、凶悪で恐ろしい人物に思えてしまった。


 一瞬でもそう思ってしまった僕を殴りつけてやりたい。そう思った僕は、迷わず自分の顔を自分で殴った。


「お、おいっ、八幡くんっ⁉ 自分、何してんねんっ⁉」


 突然の奇行に驚いた京極くんが慌てて僕を止める。

 ほら。やっぱり京極くんはマトモな、優しい人なんだ。40歳のおっさんでも、ヤクザでも、例え人殺しだったとしても……。


 いや、京極くんが言った事をよく思い出せっ。「殺人の前科がついてる」って言ったんじゃないかっ。「人を殺した」なんて一言も言ってないっ!

 きっと、冤罪えんざいなんだっ!そうに決まってるっ!


 その後、僕は強く「前科」について問い詰めたが、詳しく聞き出す事は出来なかった。

 その代わり、この日から僕は彼の事を「キョウちゃん」と呼び始めたんだ。




 そして1年が経ち、2年が経ち……、3年生になっても、クラスが別になっても、僕たちはよく一緒に居た。……いや、もしかすると僕がキョウちゃんにまとわりついていただけだったのかも知れない。


「キョウちゃん、進路希望はどうしたの?」


「ワシ、卒業したら、こっちに新しく作る支部の組長する事になっとんねん」


「へぇー。キョウちゃんが組長かぁ。やっぱり、「親分」とか「親父」とかって呼ばれるワケ?」


 キョウちゃんは、元々の組の組長さんから「今の時代、組を率いる為には最低限の教養を学んどけ」という指示の元、40歳にして高校に入学する事になったらしい。

 ……きちんと目的があって高校に入るなんて、今の時代にどれだけ居るんだろうか?


「ヤっちゃんは? 進路、どーすんや?」


 いつの頃からか、キョウちゃんは僕の事を「ヤっちゃん」と呼んでくるようになっていた。

 ヤクザの、しかも組長予定のキョウちゃんから「ヤっちゃん」と呼ばれるなんて変な気分だけど、愛称で呼び合う僕のささやかな目標は達成されていた。


「僕は〇×大学の法学部に進むつもりだよ」


「ほぉー。ヤっちゃん、頭えぇもんな」


 キョウちゃんはそう言って褒めてくれるが、僕の頭なんて全然良くはない。ここ1、2年は必死に勉強して成績も上がったけど、それ以前の成績なんて下から数えた方が早いくらいだったんだ。

 でも全国模試の結果も悪くなかったし、先生も「十分に合格を狙える」と言ってくれている。

 僕は「ある目的」の為に、絶対に合格すると決意していた。




 更に月日は流れ、高校の卒業式――。


「キョウちゃん……。これからは、あまり会えなくなるかな?」


「まぁ、ワシもしばらくは忙しぃかのぉ? ま、すぐに落ち着くやろーし、そうなったら連絡するわ。ヤっちゃんは予備校か?」


「……うん。……来年こそはっ、絶対合格してみせるからっ!」


「おうっ! その意気やっ!」


 僕は大学受験に……、落ちた……。

 でも、一度の失敗くらいで諦めたりしないっ!「何となく大学に行く」なんて人たちとは違って、僕には明確な「目的」があるんだからっ!


「……これで、お別れだね」


「何言うてんねん? いつでも連絡してきぃ。ヤっちゃんなら、どんなに忙しぃても飛んでくわ」


 そんな嬉しい事を言ってくるキョウちゃん。

 でも、どんなに困っても……。いや、困った時なんかにキョウちゃんに連絡なんてしない。そんな時にだけ連絡するなんて、本当の友達じゃないっ。

 次にキョウちゃんに連絡する時は、大学の合格を報告する時だっ!


 そんな決意と共に、僕たちの卒業式は終わりを告げた――。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 そして10年後、都内の高級バーにて――。


「おぅ、やっと来たか。久しぶりやな、ヤっちゃん」


「キョウちゃん……。いきなり呼び出したかと思ったら、こんな店だなんて……。僕、不安で中々店に入れなかったんだよ?」


 28歳になった僕だけど、こんな高級店なんて一度も入った事は無い。

 高校の卒業後も数ヵ月に一度くらいはキョウちゃんと会っていたけど、先日メールでこの店を指定されたんだ。


「悪い悪い。しかしまぁ、折角の「お祝い」やしな」


「ホント、心臓に悪いよ。でも、ありがとう」


「ホナ、乾杯しよか。ヤっちゃんの司法試験合格を祝って……、乾杯や」


 いつの間にか僕の分までグラスが用意されていた。キョウちゃんのこういう所、ホントに格好いいよなぁ。

 漢気おとこぎがあって、力持ちで、優しくて、気遣いも出来る。部下の人たちからも慕われてるみたいだし、ホント、女じゃなくても惚れちゃうよね。……僕はノーマルだけど。


「しかし、ようやく苦労が報われたなぁ。3浪してようやく大学合格、司法試験も4回目やろ?」


「……うん」


 キョウちゃんが僕をねぎらってくれる……。

 確かにここまでの道程みちのりは長かったし、大変だった。所詮、僕の頭じゃ有名大学の合格も、司法試験の合格も無理なんじゃないかと何度も思った。でも、僕には諦められない「夢」があったんだ。

 ……そして、僕の「夢」はまだ叶っていない。本当に「苦労が報われる」のは、まだまだ先なんだ。


「ほんで、弁護士になるんやろ? 事務所立ち上げる言うなら、色々都合すんで?」


「あはは……。気持ちだけ貰っておくよ。そこまでキョウちゃんに頼ったら情けないしね。それにまずは、有名な先生の居る事務所に入って修行しようと思うし」


 キョウちゃんの気持ちは本当に嬉しい。でも、僕はまだ資格を得ただけの新米だ。法律の知識はあっても、実際の裁判での立ち回りも、情報の集め方も書類の作り方も、何も分かってはいないんだ。

 こんな状態で独立したって、上手くいく筈が無いよね。


「相変わらず、ヤっちゃんはしっかりしとんなぁ。しかしそぉなると、ワシとはもう会わん方がええかもなぁ」


「……え? キョウちゃん、何言ってんの?」


「エライ先生のるトコに行くんやろ? ほなら、ワシみたいなヤクザとつるんどったら問題ちゃうか?」


 キョウちゃんの言う事は分からなくはない……。

 僕が行く予定の事務所の先生は、メディアなんかにも出る有名人だ。そんな事務所の新人弁護士が、ヤクザと関りがあるとおおやけになればスキャンダルになるかも知れない。

 でも……そんなのは……。


「……関係ないっ!」


「ヤっちゃん……?」


「そんなのっ、僕たちには関係ないっ! 僕たちは親友だしっ、それに……、僕が弁護士を目指したのだって……」


 そうだっ。僕は「夢」を叶える為に弁護士になったんだっ。その為には……、キョウちゃんが居ないと、駄目なんだっ!

 何年かかるかわからない。無謀なのかも知れない。でも、「それ」が叶うまで……、僕は諦めたりなんか絶対しないっ!


「キョウちゃん……。僕の「夢」を叶える為に協力して欲しいんだ……」


「「夢」……? そりゃ、ヤっちゃんの為なら何やってするけど……」


「本当……? なら……」


 その日、僕は初めてキョウちゃんに「夢」を……。弁護士になった「目的」を話したんだ……。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 そして更に20年後――。


 僕は自宅のリビングでテレビのニュースを見ていた。


「あなた、また「そのニュース」?」


「あぁ、世間的には大したニュースでも無いだろうけど、僕の「夢」が叶った証拠だからね」


 妻が少し呆れながらコーヒーを差し出してくれる。僕はそれを飲みながら、先日録画されたニュースを繰り返し見ていた。


『48年前に起きた、殺人事件の再審請求により「京極 仁」元受刑者の無罪が確定いたしました。今回は京極さんご本人にインタビューを受けて頂けるとの事です』


 アナウンサーの言葉で画面が切り替わり、そこにはキョウちゃんが映し出される。

 73歳となったキョウちゃんは歳を取り、もうおじいちゃんだ。でも、その鋭い目つきと、優しい瞳は何も変わっていない。


『……無実の罪で投獄された10余年。お辛かったですよね?』


『えぇ……。でも、私は何も恨んではいません。おかげで、素晴らしい出会いもありましたから……』


『では最後に、何か言いたい事、伝えたい事などはありますか?』


『では、コホン……。お~い、ヤっちゃん見とるか~っ! お前はワシの、最高の親友じゃけぇ~っ!』


 画面の中のキョウちゃんは、昔と何も変わらない眼差しで……。でも、今まで見た事も無いくらいの最高の笑顔で笑っていた。


「ぼ……僕も……。キョウちゃんも、最高の……、親友だ……」


 僕は、「キョウちゃんの冤罪えんざいを晴らす」という、長年の「夢」を叶えた……。

 それは……、僕に、これ以上ないくらいの報酬を与えてくれた……。「親友」という名の報酬を――。

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