第7話 チートに関して
【解析】
視線認知。
対象を視線で捕らえることで発動できる。
対象の構造をデータ化し、文字と数字、又は絵図で表すことができる。
このデータはストックすることができる。
データを改ざん又はコンパイル(編集)し、対象に上書きすることで対象のデータを書き換えることができる。物理法則に沿った改ざん又はコンパイルが可能であり、物理的に不可能な改変やコンパイルは一部の事象を除き不可能である。
現実的に不可能な物理現象は不可能であるゆえに行われない。
これは壁があるがゆえに壁の向こうへ行けないのと同じ原理である。
又データは複雑であり、一つを変えれば連鎖し複数が改ざんされるため、連座したデータを改ざんするのが不可能な場合も上書きすることは不可能である。
また神々の言語が使用されており、神が人に教えた言語以外の翻訳は不可能である。これは神に直接聞くに限り他に解く方法はなく、神が人にもわかるように言語を改ざんした結果であり、そのままの言語を人が理解しようとすると発音ができず、文字でも数字でもないためにそもそも理解する事ができない。さらに神に聞いたからと言って人間が理解できるものでもない。
抽出したデータを使い魔力で再現することは可能である。理解していなくともこの方法による再現は可能である。ただし神の言語が使用された再現を人が行おうとする場合は時間を要する。これは人と神との思考速度の差である。
又記憶領域より記憶を抽出し自らに書き加えることは可能である。ただし感情を伴う記憶は引き出しが複数存在するため、相手に無い記憶を植え付けるのは困難となり、【解析】による記憶の改ざんは完璧より程遠く解けやすい。
他人の技能や魔術データを抽出し自分に植え付けて技能や魔術を習得することは可能である。体が覚えた技術は、感情より独立しており感情等が無くとも使えるのに起因すると共に、魔術は記憶領域に直接呪文が刻まれているため、感情等の引き出しとは無関係だからである。
また他人と共有することも可能である。
【解析】を使用した肉体の改造はある程度可能である。ただしやはり物理法則を書き換えない限りである。唐突に筋肉質になるのは不可能であるが、筋肉のつきやすい体にすることは可能である。技能データを記憶に保存しても、曲がらない股関節は曲がらない。武芸の達人の武芸をコピーしたからと言って、その武芸を扱う体まで再現できるかと言えば不可能であり、可能な限りの再現となる。その際に生じる些細な際(きわ)は違和感となり記憶と自己との間に不和を生ずる。
I字バランスのできない体でI字バランスができた経験記憶を持っていても体が傾いて足も上がらず転ぶだけである。
実質的に【解析】によって行えることは、抽出、編集、改ざん、保存、再現の五つである。
これら改ざん、又はコンパイルされたデータが即座に体を作り変える事はなく、ゆっくりと代謝を伴って変化していく。
改ざんデータやコンパイルされたデータが実現可能であるが人体の構造に沿っていない場合、相応の痛みや歪が生じ、定着するのは地獄である。これらは設計図上の不備であり、遺伝子的な病気となる。例えるなら癌(がん)である。
そしてこれらの応用として、魔術を使用した改ざんやコンパイルが可能である。
【継いで補修する】、【継いで再生する】は解析データの文字列における欠損を直し、修正を試みるものである。この二つの魔術によって人体が痛むことはない。これらの魔術は人体を根本から正す魔術であり、現存する回復魔術とは一線を引くものである。
又、【依存して】も、そこに該当するため、現存する回復魔術が万人に対して等しいのに対し、個別に等しいものである。
なぜならば各人間にとってその人間の正しい形に再現、又は修正する魔術だからである。
これら魔術で行われた解析データの修正や改ざんは即座に反映される。
例。
生まれた時は100%の状態であるメイリアが存在するとし、成長過程における栄養バランスや運動経験による筋肉や骨の密度、構造の欠損や設計図の損傷、複製ミス等により成長に歪みが生じて、16歳時点において100%メイリアより60%の歪みを生じた40%メイリアが存在するとする。
このメイリアは本来の姿より60%傷つき歪みを生じた存在である。
このメイリアを【解析】により正せば、数年をかけて約100%に近いメイリアに再生することができる。
このメイリアを【解析】と魔術により正せば、数分で100%の完璧な状態のメイリアに再生することができる。
ただし使用されている魔術は人体を研究し生み出された独自の魔術であり、一朝一夕で出来るものではない。
例2。
説明書がなく適当に作ったプラモデルを、説明書を見て正しく作ることができる。又は魔改造できる。
この過程において原型をいきなり別の会社が作ったプラモデルに変更することはできない。しかしながら魔術を用いた場合は可能である。
これらの魔術は完璧ではなく問題も存在する。
小指はあるが、曲がらない。というデータが存在するとし、これらが破損したとして、小――あるが――は――ら――。となったとする。
これらを解析データと魔術を用い、小指はあるが、曲がらない。と直したとしても機能としては治らず小指は曲がらない。これらを直すには変更や交換が必要であり、変更する場合は構造の抜本的な見直しと設計図を書き換えなければならない。
この際における設計図の書き換えは至極困難である。
魔術を作る事が可能である。
現在主人公が行っている製作法は物体や現象の設計図、又は魔術式自体を抽出し、魔力で再現する力業である。
抽出したデータを直接魔力で再現しているため、事象は起こるが各所に歪みや無理に無理を重ねた無理が生じている。それを魔力量で無理やり再現しているため、一部の魔術において現象と現象の間に空白が生じ式を伴わずに埋める現象が起こっている。
しかし女神の創造における物理現象が精密に作られているため、空白があっても物理的に正しく適応される。
例:氷を作る魔術を発動する。
氷ができるという結果があるため、水が集まり冷やされ氷が生じる。
これらは結果の逆算である。氷ができると言う結果があるため、そこに至るまでの物理的に正しいプロセス(過程)が構築される。
魔術とは設計図から結果を導きだすものであり、彼の魔術はその逆の手順を辿っている。
そのためこの世界において正確には魔術と分類されない。
例。
5=n=n×y=n/y=x+y=x+y+y₋y
5と言う答えが表れた時、自動的にそこまでの式プロセスが表れる。これ以外にもプロセスは存在し、どのプロセスを辿るかは環境により、その時点での最速が適応される。最終的に5という答えが出るのであればどの数式でも良い。
この世界における女神の作り出した法を結果的に行使するゆえに、彼は魔術師ではなく魔法使いである。
通常の魔術師におけるこの方法による魔術の行使は不可能であり、それは答えだけを表示した魔術書が存在しないからであると共に魔力を認識できないからである。
魔力には色が無く温度もなく、五感による感知が不可能だからであり、唯一己の魔力が他者の魔力と干渉した際に限り認知することが可能だからである。
【分解】
対象を認識することで発動可能である。
触れる面積が多いほど分解速度は速くなるが、目視でも時間はかかるが分解はできる。
意思のある者は分解できない。よって人や動物、一部の虫、魔物、魔獣を分解するのは困難である。ただし意思の弱い生物、又は脳の無い虫や動物、人類を分解することは可能である。
よってアンデットは分解可能である。
実質的に浄化を目的として作られた能力であり、【解析】を利用し、一部を【分解】することも可能である。
意思ある生物を分解することは不可能である。ただし一部の情報だけを【分解】する等の行動は可能である。
質量のある物は分解に時間を有する。
星を分解するのは不可能である。それは星が魔力を循環するシステムを所持しているためであり、分解した先から構築してしまうからである。
このように自己循環システムを持っているものは分解できない。
これは設定された分解速度が一定であり、構築速度に及ばないからである。
無暗やたらに物を【分解】するのは得策ではなく、推奨もされていない。かなり使いどころの際どい能力である。
ただし分解された魔力は星に還元されるので無駄になるわけではなく、どれだけ分解を施そうと星の循環により質量自体が変化することはない。
この能力は解析データの文字列を文字通り分解する能力を有しており、この能力によって強制的にデータを分解することは可能である。
その際、例えば臓器のデータを丸ごと分解した場合、その臓器の機能は停止、又は臓器自体が魔力に分解されて消失してしまう。
データを戻した時点で事象が確定する。
病巣に犯された肝臓を【分解】、この時点で戻すと肝臓が消失する。
病巣に犯された肝臓を【分解】、正しい肝臓のデータを書き加えて戻す。肝臓は時間をかけて正しい状態に治っていく。
病巣に犯された肝臓を【分解】、【継いで再生する】を使用し文字列を再生、この時点で戻すと肝臓は正しい状態に復元される。
【分解】を使わずに文字列を消す事はほぼ不可能である。
それは存在する物質が突如として消失しないためであり、分解においては魔力に変換されるからである。
解析データより肝臓データを【分解】を使わずに消した場合、何もおきない。この時解析データでは逆現象が起こり、肉体より肝臓のデータが逆に上書きされ表示される。
記憶データを分解することは不可能である。しかし記憶領域に保存された魔術設計図を分解することは可能である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます