服の寿命

 生まれたときから服を着ているにも関わらず、服の寿命というのがいまいちわからない。

 おそらく服には社会的な寿命と物理的な寿命があるのだろうけどどっちもよくわからない。


 6、7年前にネットで3千円くらいで買ったGジャンを未だに愛用している。それも「まだ着れる」みたいなのではなく、第一線で現役バリバリに活躍させている。どれくらい第一線かというと四回行った海外旅行の全部に着て行ってる。ネットで3千円くらいで買うGジャンってこんなに活躍する想定なんだろうか。

 でもGジャンが物理的に着れなくなることあるか? Gジャンが擦り切れるとか破れるとかするほどの何らかの衝撃があった場合、着てる人間死んでるだろ。


 かと思えばジーパンが突然死んだ。久しぶりに着てみたらもう寿命を終えていた。社会的な方だ。もう着た瞬間に、形が間違いなくダサいのだ。ジーパンの今期のトレンドのシルエットとか言われても絶対わかるわけないのだが、そのときは本気ではっきりと「ダセえ!」と思った。別にごりごりのベルボトムとかじゃない普っ通のストレートのやつなんですよ。

 ジーパンって一生履けると思ってた。ヴィンテージとかあるし。まあ、ヴィンテージとかあるし、っていう理由で古くなっても使えそうという発想がたぶん絶対に素人なので、やっぱり素人は定期的に更新していく方がいいのだろう。物理的にも社会的にも。


 さらにもっとわからないのは肌着、下着の部類である。

 勝負下着でもない限り(ないのだが。そんなものは)、正直言って穴でもあかなければ着れると思ってしまう。

 思えば実家暮らしでは定期的に「アンタこんなパンツもう捨てとき!」と言ってくれるオカンという存在(一般的なイメージです)があったからあまり悩むことがなかったのだと思う。

 絶対必要なものなのに新調しても大してテンションが上がらないという理由もあるかもしれない。いっそ消耗品だと思って洗剤を買うように買った方がいいのかもしれない。

 (昔男女交えた友人との会話で「ブラとパンツの消耗スピードは違う」という話に対して「シャンプーとリンスが一緒になくならないみたいな」って言ったら無駄に共感と納得を得たな、とどうでもいいことを思い出す。)


 新調するタイミングがわからないので下着類は全て新年にまとめて新しくしている、という話も聞いたこともあってなるほどそれはいいかもしれないと思ったのだが、いざ年を越そうとしてみると、でもまだ着れるしなあ、パンツからすれば彼らに暦なんて関係ないしなあ、なども思う。

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