おもむろ
徐に(おもむろに)、という言葉を使いこなせなくて悩んでいる。
使いたいんです。小説で。
おもむろに【徐に】〈副〉
落ち着いて事を始めるさま。ゆるやかに。おもぶるに。「―口を開く」「―に手帳を開く」
「広辞苑 第7版」(平成30年・岩波書店)
独特のニュアンスがあって惹かれる言葉だ。
でも自分以外に伝わるニュアンスなのかはわからない。(「おもむろに、って言葉ってどう思う?」とかいう会話日常でしませんからね。)
この言葉は、不意に、突然、という意味で間違いやすい言葉とされている。
けれども他の間違いやすい言葉とはちょっと違う気がする。
不意に、突然
落ち着いてゆっくりと始める
「おもむろ」にはどっちのニュアンスも感じる。
「おもむろに口をひらいた」
「落ち着いてゆっくりと口をひらいた」
ちょっと雰囲気が違わないだろうか。おもむろに口をひらくのは、静かでゆっくりでありながらもどこかそれが予想外であったような唐突な感じがしないだろうか。そんなニュアンスを小説で醸し出してえよ。
文化庁のサイトにこの言葉についての話が載っていた。一部を引用します。
「「てにをは辞典」によれば,「おもむろに」という副詞は,静止状態から動き始めようとするときや,ある動作から別の動作に移るときに多く使われていることが分かります。」
https://www.bunka.go.jp/prmagazine/rensai/kotoba/kotoba_014.html
確かに、と思ってなぜ「不意に」感があるのか納得してしまった。
使われる状況によってそのもののイメージが作られていくことはあるし、それと同じ感じで、言葉には使われやすい文脈によってニュアンスが追加されていくことがあるんだろうか。言葉は生き物、流動体だなと改めて思う。
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