タイトルのセンスがほしい②

 続きだから②ってつけてる時点でお察しである。

 タイトルをつけるセンスがとにかくない。

 それで最近はアイデアのストックを増やすために、いろいろなタイトルに意識を向けるようにしている。


 以下は今まで読んだ中で秀逸だと思ったタイトル。


 「どこでもない場所」江國香織

 短編集「号泣する準備はできていた」の中の一話。話の最後ですとんと着地するようにタイトルに行き着く感じが上手かった。

 というか「号泣する準備はできていた」も相当いいタイトルだ。号泣、という制御できないような感情には本来準備なんてない。準備'は'にも、'できていた'にも含みがある。

 やはりタイトルには含みが欲しい。


「あの子なら死んだよ」小泉綾子

 手に取らせるタイトルだと思う。そして中身がそれにぴたりと合っていた。

 書いていてどの段階で思いついたのか、それともタイトルありきだったのか、そういう過程が想像できず、作品に対して最初からあったようなタイトルだった。


「きことわ」朝吹真理子

 真似できない。このタイトルに見合う文体が書ける気がしない。このタイトルに惹かれて手に取った人を裏切らないからすごい。


「うたかたの日々」ポリス・ヴィアン

 これは翻訳の上手さ。直訳すると「日々の泡」となるらしいところをこう訳したのが上手い。こういう奥ゆかしい語彙を増やしたい。


「来世は他人がいい」小西明日翔

 小説ではなく漫画ですが。想像させるタイトルはいい。最初に目にするタイトルで終わりから入るところも。



 読んでいないがすごいと思っているタイトル


「夏の夜の夢」シェイクスピア

 優勝だろと定期的に思う。読んでみたいのだが、戯曲を読んだことなくてハードル高い。


「海へ出るつもりじゃなかった」ランサム・サーガ

 これだけで前後の流れとその感情までを想像させてくる。想像させるタイトルは良い。


「明るい部屋 写真についての覚書」ロラン・バルト

 あまりに語呂がいいので五七五とかかと思ったら違った。

 これはいずれ読む。


「移動祝祭日」ヘミングウェイ

 いずれ読む。さすがに本当に読む。

 なんでこんなに惹かれる言葉になるんだろう、と思う。

 この小説は冒頭、始まりの一文もすごくいいんだよな。



 小説ではなく曲名なら、小沢健二か、きのこ帝国か、andymoriみたいなタイトルがやりたい。


 小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」「いちょう並木のセレナーデ」とか。

 「愛し愛され生きるのさ」とか(”~のさ”という語尾、タイトルに限らず使いこなしたい気持ちがある)。

「強い気持ち・強い愛」とか(タイトルに点や記号をつけることには自分の中に賛否両論があるが、これは賛の方)。


 きのこ帝国は片仮名の使い方が好きだ。

「パラノイドパレード」「フェイクワールドワンダーランド」「ロンググッドバイ」「クロノスタシス」というあたり。

 片仮名ではないが「あるゆえ」ってタイトルで小説を書けたらかっこいいのでは。もうあるか。


 andymoriは、「グロリアス軽トラ」「都会を走る猫」「すごい早さ」とか、普通の言葉に対しての感度がめちゃくちゃ高いと思う。

 以前友人と「andymoriっぽい曲名を考える」という遊びをしたことがあるのだが(いかにも軽音サークルの大学生っぽいな)、自分が言ったのが「アスファルトのオアシス」で、今考えると二番煎じもいいところでセンスが無さすぎる。コンクリートジャングルをちょっと言い換えただけだし。

 さらにこのバンドって 「モンゴロイドブルース」「weapons of mass distraction」「僕が白人だったら」「革命」等、こうしてタイトルを見るとパンクス精神がすごかったのだなと思う。普通っぽいことして精神がパンクなの一番パンクだと思う。


 小説のタイトルの話がパンクの話で終わってしまった。

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