ネーミングセンス
日付変更線という言葉の、日付、変更、線、という日常的な言葉の組み合わせで大きな概念が生まれているところが好きです。
ひとつひとつは普通に見える言葉が組み合わさるとパワーを増す、というネーミングに弱い。
バンド名にそういうものが多い。「ペンギンカフェオーケストラ」「さよならポニーテール」「センチメンタル出刃包丁」などがあります。
今まで出会った言葉の中でのナンバーワンは映画シン・ゴジラに登場した「無人在来線爆弾」である。
無人、という言葉。
無機質で、どちらかと言えば安っぽかったり効率重視で使われる事務的な響きがあり、テンションはアゲ側で使われることは多くない言葉で、状況によっては感傷的な言葉にもなり得る。
在来線、という言葉。
全然テンションは上がらない。全然強そうじゃない。ニュースでアナウンサーが読み上げる「在来線」というワードに力がこもっていることはほとんどないだろう。ありがたみを慣れが上回る程度に日常に溶け込んでいる。
それが組み合わさって生まれる「無人在来線爆弾」、最高。日常にある言葉が突如として別次元の言葉になってしまう。
考えてみれば、「大量破壊兵器」ってネーミングセンスはダサくないだろうか。
まあ「大量に破壊ができる兵器を作ろう」っていう発想がそもそも人道的に最悪なセンスなので、センスのあるネーミングではいけないのかもしれない。しかし安易すぎないか。男子小学生のセンスではないだろうか。100億万円、みたいな。ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲、みたいな。(ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲、一生すらすら言えてしまうので将来ボケたときに口走らないか心配。)
けれども確かに、ネタにもならない、中二心もくすぐられない、余計な感傷もない、変な略され方もしないということを考えてみれば、最適な(最高でも最悪でもなく)ワードセンスなのかもしれない。
似たようなところで言えば、「ジャンボジェット」もそのタイプのネーミングセンスなのではと思っている。ジャンボなジェットだぜ!
と思って調べたら、これってボーイング747の愛称だったんですね。ほぼ一般名詞のように認識していた。そしてその由来は十九世紀のサーカスで活躍したアフリカ象のジャンボに由来している。そもそもジャンボ=大きい、という言葉を意味するようになったのはこのサーカスの宣伝によるものだとか。
ちなみにケニアの航空会社がジャンボジェットという社名だがジャンボジェット社にジャンボジェット機はないらしい。
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