1.7 令嬢様の恋愛とは何か
「渉くん……。昨日は酷いこと言ってごめんなさい」
「いや、俺がエッチな夢を見たせいだ」
「なんで真面目な顔で平然と言えるのですか」
朝、たまたま俺は早く起きた。
昨晩は変な夢を見ませんようにと家の神棚にお祈りをしてから寝たくらいだ。
今日はスッキリとして目覚めも良い。
朝から恵が俺に謝ってきが、別に昨日の放課後も何事もなく一緒にご飯を食べたし気にしてはいなかったのだけど。
「それでですね。渉くんにお願いがあります」
お願い??
何をするにしても恵のほうがセンスがあって完璧なのに俺にお願いなんてあるのか……。
「晩ご飯が作れないとかなら今日は俺がなんとかしとくけど……」
「いえ! 私に、恋愛を教えてください!!」
ははぁぁぁあああああ!????
――『分かった』と言って学校に来てしまった……。
恋愛を教えてくれと言われたものの、俺には恋愛経験なんてないし。年齢=彼女なしの俺が恋愛や青春なって知っている訳がないだろうよ!!
俺もいつの間にかラブコメ主人公みたいになってしまったようだな。
「おはよー!!ワタルンっ!今日も冴えない顔だねぇ〜」
「おはよう。なぁ雫、恋愛ってなんなんだ」
「えぇぇぇぇぇ!!!??? どうしたの頭でも打ったの?」
「うるせい」
やっぱり唐突に俺なんかが聞いたらおかしいよな。
恋愛と無縁で生きてきたことをこいつも知ってるんだから。
「ねーぇ、りょー君! 今日のワタルンおかしいよ!」
「なんだよ。そんなわけ……」
おい、なんだその目は。
『どうしたお前。いつもと違うじゃねーか』と言わんばかりのその目はよぉ!
「外見は変わってない。まぁ、別に気持ちも変わってないけど」
「それで? 恋愛ってものが何かって話だよな」
「あぁ」
いつもは俺のために機能しないこいつらも、内容が恋愛となると神レベルに師匠だな。
「恋愛とは……。男女が恋したいと思うことだ。イチャイチャアハハだよ」
「それはみんな知ってる」
やっぱりお題が恋愛であれどバカップル(色々な意味で)に聞いてもアホな回答しか返ってこない。
「まぁー何でも当てはまるよねぇ。片思いだって、失恋だって恋愛だし。グレーだけどストーカーとかも恋愛なんじゃない? それならキャバクラ行くのもワンチャン?」
「おい、お前の彼女しつけがなってねぇーから気をつけとけよ」
まぁ、一つ分かったことは『恋愛』が限定的なものではなく沢山種類が存在すること。
でも、恵が俺に求めている回答っていうのはなになんだろうか。
「あ! そ〜いえばさ!私、図書委員になっちゃってさー」
「へぇー、お前が委員会か。大丈夫なのか?」
「大丈夫だもん!これでも委員長だし」
「はぁ!? なんで一年生が委員長なんだよ!」
「それがさー」
話によると雫の友達であり先輩である
ある日夏木先輩が生徒会に誘われ、図書委員と生徒会を掛け持ちすることになったと。
でも掛け持ちとなると忙しくなりどちらかの仕事が
「でもさ、涼介。こいつに委員長任せたら図書員会が滅びるんじゃ……」
「まぁ、俺がついてるんだから大丈夫だろ」
「なんか私ができない子みたいに聞こえるんですけど、お二人さん」
まぁ、涼介も天然なところはあるけど勉強はまぁまぁできるみたいだし、雫の面倒は見れるだろう。
夏木先輩もなんでこんなおバカに頼んだかなぁ……。
「ってことで!!ワタルンも昼休みは図書室で仕事があるから遊びに来てね!!」
「ちゃんと仕事しろよ」
「でも、借りに来る人あんまりいないから、寂しい」
「ま、行ってやるけど涼介とイチャつきだしたら帰るからな」
「はいはい!」
まぁ、普段仲良くしてもらってるし仕方がないよな。
それに涼介と雫がいないと俺の昼休みはボッチ&ランチになってしまう。
惨め過ぎだ、我ながら。
「まぁ、お前らしくないけどさ。恋愛に困ったら言えよ!恋愛のスペシャリスト涼介様が答えてやる」
「調子に乗るな」
俺が自分の恋愛についてこいつらに相談するのはまだまだ先のことになりそうだ。
うちのお隣さんが可愛い過ぎるせいで青春を知ってしまう件 星海ほたる @Mi510bunn
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