1.6 令嬢様は俺をどうするつもり?!
「ねぇ、渉くん。今日だけでいいから一緒に寝たいです」
「はぁ……。はぁ!?????」
そう言うと恵は突然、俺をベットに押し倒し馬乗りになった。
そして何故か服を脱ぎだす。
「どういうつもりだ!!俺たちそんな関係じゃないだろ!!」
「もぉ、我慢できないんです」
「こーらぁ。子猫ちゃんめ」
おいこら!!俺は何を言っているんだ。スケベな口を塞げ!!
やってはいけないのに手が勝手に動く。
「渉くんのエッチ……」
「恵だって身体が反応してるじゃないか……。もっと気持ちよくしてあげるよ」
なんてシチュエーションなんだこの! それにいつから俺の口はそんなにキザなセリフを言うようになったんだよ、もう。
「アッ…あぁ……アッ、アッ、ンゥ……わたるくんダメぇー」
「恵はまだまだ子供だな。俺様が大人にしてやるよ」
「お願いしますぅ……ご、ご主人さまぁ……」
な、なんて卑猥なんだ。俺はこんなことしてこれからどう恵と接していけば……。
ダメだ!それ以上はダメだよ。マジでぇ!!
「渉くん朝ですよ。起きてくださーい。遅刻しますよー?」
ん……。眩しい。
瞼に嫌ほど伝わってくる眩しい光はある人の逆光で遮られる。
「恵……。おはよう」
「おはようございます!朝ご飯できてるので食べましょう」
――なんとも気まずい。
恵はいつも通り俺に接しているけど、昨夜あんなドエロイ夢を見てしまった俺は目を合わせることすらできない。
まさか恵にあんなことをしてしまう夢を見るなんて。お隣さん兼夕食を共にする者としてとても申し訳ない。
罪悪感と自分への軽蔑反応がでるせいか、頭は回っていなかった。
「誠に申し訳ございません……」
「なぜ謝るのですか?」
「夢の話しです」
不思議そうな様子でこっちを見てくる恵。
清く純粋で綺麗な心を持つ彼女に俺はなんて妄想をしてしまったんだ。いっそ消えてなくなりたい。
「何かあったのですか? 今日の渉くんは元気が全然ないです」
また恵に気を使わせてしまっている。
これ以上こじらせると夢だけの問題じゃなくなるぞ。しっかりしろ。
そう自分に言い聞かせて気分を上げようとした時、突然恵が立ち上がり背後で止まった。
するとやんわり肩に伝わる温もり。
「渉くんに元気がないと私、調子が狂います。何で悩んでいるのかは分からないですが、私はいつでも渉くんの味方です」
たった数週間しか経たない関係なのに。こんなにも俺の事を大切に思ってくれているなんて。
俺だけじゃない。誰にでも恵は優しいんだ。
だけどそんな恵に俺は嘘をつくなんて耐えられない。
「恵、俺さ。昨日恵の夢を見たんだ」
「それで?」
「その夢で俺は恵に押し倒されてエッチな行為を……。ごめん、俺そんなつもりじゃなくて!!」
「渉くん。やっぱり先程の言葉は撤回させていただきます。流石に味方にはなれませんね」
「ん?」
「この変態ドスケベ宇宙人!!!」
優しく許してくれるだろうと思ったのは束の間。俺の心には大きな穴がポッカリと空いた。
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