第51話 人口500人を突破して
人口が500人を超えると、いろんな建物が建てられるようになった。まずドレイパー軍の馬丁が、馬場を運営することとなった。大軍が去った後には、負傷したり体調を崩した馬が残されており、彼らに薬草を与えたところ、メキメキと回復したためだ。「こんな貴重な薬草を!」と腰を抜かされたが、畑で作れば一束50コイン。どうということはない。城壁を取り除いた後、東の丘ではお馬さんが悠々と草を
その薬草を使って、衛生兵が薬局を営業開始。ポーションの大量生産が始まり、交易品の要となった。「こんな良質な薬草が大量に!」と言われたが、ずっと作り続けていて感覚が麻痺しているのか、俺にはいまいちピンと来ない。
問題は、容器が足りないこと。ネット通販で買ったものは、村の外に持ち出せないからだ。したがって、村で作った基本的なポーションは、
一方、薬草が大量生産されてしまうと、薬草採取を
他に、蹄鉄の鍛治職人が鍛冶屋をオープン。彼らも高度な鍛治は出来ないが、天狼族の武器の簡単な修理を任されるようになった。これまで100均の包丁を槍の穂先に付けていたアニェッラはご機嫌だ。なお、製品そのものと違い、持ち手を取り払って槍の穂先に付けるだとか、
それから、アパレルに聖職者。この聖職者が神殿に常駐するようになると、神殿から入るコインが跳ね上がった。以前カルが、「精霊信仰と八百万の神の概念は矛盾しない」と言っていたが、聖職者がそれっぽい衣装でそれっぽい高説を垂れると、神殿に集まった人たちも神妙な顔つきになるものだ。てか、ドレイパー王国って精霊信仰じゃないって聞いたんだけど。ドレイパーの神官はアルカイックスマイルで、「信仰する対象が大事なのではありません。人々の心が救われる事こそ肝要なのです」とそれっぽいことを言い、見事
そして、村人の生活が豊かになったのはいいが、今度は俺の番。俺が欲しかったもの、それは風呂、飯、酒。待望の公衆浴場を、村の住宅街の真ん中にドカンと建てた。
「ふいぃ…」
神殿にも、自分専用の風呂がある。しかしデカい風呂、それはロマンだ。村人が作った素朴な石鹸で汗を流し、広い湯船にザブンと浸かる。風呂の中では種族も身分も関係なく、みんな
「ユートが欲しがっていた理由が分かるな。こりゃいいもんだ」
カルがニヤリとしている(と思う)。最初、獣人の皆さんは体毛を気にしていたが、そんなことを言っていたら風呂なんか入れない。掃除もコインで自動なことだし、最後にシャワーでしっかり掛け湯することにして、思う存分楽しんでもらうルールにした。
「体には良くないんだが、露天の方で月を見ながら酒を飲むっていうのもあるんだ」
「なんだと!風呂上がりのコーヒー牛乳だけではないと!」
「陛下。恐れながら風呂上がりにはフルーツ牛乳が至高にございます」
「いやいや、コーラでございましょう」
やめろ。そういう論争は長期化する。
種族を超えた裸の付き合い。そして湯上がりには、美味い飯に美味い酒。役場は一応そのまま残してあるが、ドレイパー軍に見せつけるように屋台街を作った南側に、飲食店をいくつかオープンさせる予定だ。これまでは、アウグスト夫妻や宮廷料理人がチームとなって村人の胃袋を支えてきたわけだが、それぞれ作りたい料理や目指したい方向性は違う。何より、みんないろんな店を食べ歩きたいものだ。希望者には店を用意すると言うと、みんな喜んで手を挙げた。風呂からの飲み歩き。最高だ。
そして飲み歩きといえば酒だが、待望の酒蔵が進化した。これまではほぼワイン専用の施設だったのが、生産設備が充実して他の酒も作れるようになったみたいだ。酒はどの世界でも収益性が高い。酒の作り方は、種類によっては秘匿されているものもあるが、俺たちの世界のネットを漁れば、動画やテキストを参考に出来る。畑班はいよいよ本格的に酒造業に転職し、日々酒造りに精進している。酒が絡むと、みんなものすごいやる気だ。俺も美味い酒が飲みたい。是非頑張っていただきたい。
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