第49話 異能閉鎖都市東京
「佳助さん!」
「先生!」
「『探偵』......!」
「『探偵』さん!」
この場所に集った4人が俺を囲む。
「わしはー?」
「あーっ!『
「げえっ『モンキー』!」
「俺もいるぞー!」
「『ホーク』もか!もう雑用は勘弁じゃー!」
そんな扱いだったのか......。
「千里さんはー......?」
千尋が問う。その眼は、悲しみと覚悟の眼だ。
「俺が、死なせた。『異能』を奪って」
全員が、息を呑む。
だが、これが嘘だと分かる者の方しかこの場にはいない。
それでも、この嘘を暴く者はいない。
ならば、それが『真実』となろう。
「時子さん、君の『異能』も貰い受けたい。
ちょうど、右目が『空いて』いるんだ」
「そう......そういうことですのね......。
その先で、私を見つけてくださいまし。
事情を理解して、何度でもお渡ししますわ」
そう、一度の『時渡り』では、俺の目的は果たせない。
だからこそ千里さんの『異能』でエンジンを取り換えるか燃料補給が必要なのだ。
握手を交わし、『黄金』が俺の右眼に宿る。
「なあ、『探偵』さんよー」
「なんだ、『猿の......』いや、烏山君」
「好きに呼んでいい。
俺と『ホーク』のも持って行ってくれ。
『燃料』に使い捨てていいからよ」
「良いのか?これからこの世界は荒れるぞ?」
「だからさ。俺たち敗北者は、抵抗する方が危険なんよ」
「そういうこと!
千里さんの『異能』は世界を変えるチカラだ。
その役に立ちたい!」
「『ホーク』......」
2人と、順に握手を交わす。彼らの『色彩』が俺に流れ込んでいく。
「それじゃあ、悟君、石井君、この世界を頼む。
君たちが『勇者』だと、世界に知らしめるんだ」
「ああ。さらば、だ。『探偵』、斉藤、佳助」
「先生......!お元気で!」
俺は、この世界から消え、記憶と『異能』だけの存在となって、旅に出る。
さらば、『異能閉鎖都市東京』。再び混沌の世界となるだろうが、俺よりも頼もしい若者たちが、戦い続けるだろう。
視界が『黄金』に染まる。
肉体が解けていく。
そうか、これだけの『異能』、本来の持ち主の時子でさえ、2回の回数制限があるわけだ。
さあ、どの時代の『俺』にたどり着くのだろうか。
高鳴る胸も『消えて』いく。
若者たちは、夕陽に照らされた顔を並べて、ただただ俺を見つめていた。
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