第23話 人材探し2

今日もララと一緒に人探しに出る。店の手伝いが忙しくない時だけゆうとも一緒だ。

そしていつものように街を歩いていると

「…またあの子達」

「懲りないわね…」

そんなに長い間人材探しはしていないはずだが、やはりおばちゃん達の噂の広がり方は光の速さに等しいのかもしれない。

まぁでも平和な国で「戦争が起きるから親父を殺したい」なんて言ってる子供見かけたらおかしくてしょうがないよな。

「ねぇ、はるき君。こんな事してほんとに見つかるの?そろそろみんな疑われ始めちゃうよ?」

「まぁまだ始めたばかりだぞ、ゆうと!1年ぐらい続けねぇと成果は出ないぜ?な?ララ」

2人が小さく「え」と声を漏らす。俺はそんなの気にせずに人材探しを続けた。


そんな中、とある男性が話しかけてきた。

「なぁ、大統領の息子さんよぉ。話、詳しく聞かせてくれねぇか?」

声のする方を見上げると、大柄な男性が何人もいて驚いた。この人たちなら戦力になりそう!でもどこで話し合いしようか?

話し合い場所に悩んでいると1人の男が走ってきた。

「お~いお前ら!どうだ?話はしてくれるってか?」

俺らが思い切り頷くと

「よーし!それじゃあ早速俺について来い。おれんち、使わせてやるよ!」

そう言われて男たちにそそのかされ流れるままにたどり着いたところは街で有名なバーだった。

「さあ、ここがおれんちだ!入れ入れ」

大勢の男たちに押されて強制的に中に入れられた。


中は、真ん中に円になるように机が置かれ、それを囲むように丸い椅子が置かれている。要するに円形カウンターだ。

そして真ん中以外の余った部分にはファミレスっぽく長机が置かれている。

男たちは好きなところに各々座り、酒だなんだと注文している。


俺らが入り口付近で突っ立っていると、

「おいお前ら!こっちこい」

呼ばれた円形カウンターの椅子に揃って座るとオレンジジュースが出された。

「え、僕お金ないですよ」

「いやぁいいんだ。今回の話が面白かったらチャラにしてやる。俺、ここの柱なんだぜ」

ゆうとがえぇ…と困惑している。

「はるき君、面白くなかったらツケ?だよ」

ゆうとがコソコソ話しかけてくる。どこでツケなんて言葉覚えたんだ。しかもあんまり自信ないように使うし。まぁいいか。

「じゃあ、本題に入るんですが…」


ひと通り話し終えた。さぁどうだ?

まずい、男たちはみんな口をあんぐりと開けて固まっている。これは…?

俺はゆうとの方を見る。がしかし、またゆうともこちらを向いている。ララは?

そう思いララの方をみると、ちゃっかりもらっていたオレンジの飾り切りを食べていた。熊の形をしていてかわいい。(気になる人はくま オレンジ 飾り切りで調べてみてね)…じゃない!!

この様子だとあまりララは気にしていないようだった。

さぁこのピンチどう乗り切る?!頑張れ俺!


「…ハッハッハ!気に入った!」

沈黙を破る笑い声。それにつられて次々と歓声が上がる。中には口笛を吹く人もいた。

「いやぁ!そこまでとは思わなかったぜ!坊主!実は俺たち、この国で産まれた訳じゃあないんだ!なぁみんな!」

賛同の声があがる。

どうやらこの男たちは平和な国がほんとに平和なのかという検証をしに来たらしい。アホがやりそうなしょうもない事を…

だがしかし、今現在こんな事言うガキがいるんだ。男たちには持ってこいのものだろう。

しかもこの男たち、偶然にも初めにうちと戦う国の人達らしい。

「俺ら戦争には興味がねぇんだ。だが、おもしれぇことには興味が湧いてくる。今の話、悪くねぇな!!」

そう言って柱が俺の背中を大きな手で叩く。痛い。

「まぁ安心しろ!俺ら、あっちじゃ有名なギャングなんだぜ!」

別の男が言う。

「じゃあ今日からよろしくな!ボス!」

ボスと呼ばれて困惑している中、男達が

いやぁ俺らにもとうとうボスができるのかぁと楽しそうに話している。ギャングなのにボスがいなかったって、相当みんなと仲良くしているんだな。

なんだかすごい人たちに声をかけてしまったかもしれない。2人に目で合図して出ようとすると

「そうと決まれば今日は飲むぞ!!乾杯!!!ほらお前らも!果物かお菓子ぐらいは出してやるぞ!!さぁさ、お前ら今日はタダだぜェ!!」

大きな歓声があがる。

どうやら俺らは長い間付き合わされそうな気がする。

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