第19話 はるき君
え
気がつくと僕は、施設に逆戻りしていた。なんなら、目の前には軍人達がたくさんいるし、施設の子も。
一体何が起きたんだと考えていると、男に腕を掴まれ押し倒される。
「なにするの?!離してよ‼」
聞こえていないのかそのまま無視され、僕の抵抗は無意味に終わった。
ことを終えたあと、僕は体力の限界で汚い液体がこびりついた体と気分を害すような匂いの中にぽつんとして転がっていた。
ボーっと見つめた先は僕がよく見慣れた扉だった。
ここは僕らがいた広い部屋なのかもしれない。
だとしたらなんで仕事用の部屋にいないんだろう?
僕は重い体を持ち上げるようにして座った。
そしてあたりを見渡すと、いつもと変わらない施設の子たちが点々として床に放り投げられていた。
この様子だとあまり時は経っていなさそうだが、もしかしてはるき君は割と早い段階でお父さんをどうにかすることができたのかもしれない。
だがなんで僕は施設に?
それと同時にお母さんやトキじいさんの安否が心配だった。
お父さんは今何してるのかな。もう、なんでもいっか。疲れたしちょっと休もう。
そう言ってさっきと同じように床に寝転がってぼーっと部屋をながめていた。
ガチャ
「うわー…最悪だね。匂いも酷いし…」
そんな事を言いながら部屋に入ってきたのは、見慣れた男の子と白いローブを着た人3人だった。
「うーん…ゆうとー?ゆーうーとー?」
僕の名前を呼んでる。が、返事をする気力もない。このまま寝てしまいたいくらいだ。
「あ!ゆうと!大丈夫?」
「…はるき君?」
「よかったぁ~!探したよ。意識はあるね!」
これはどういう状況なのだろうか。はるき君は僕を探しにきたし、知らない人3人はずっとはるき君にくっついてるし。
「えっと、はるき君?何が…」
「説明はあと!今は場所を移そう?みんな警戒してるみたいだし」
所々起き上がってる子たちがこちらを訝しんでいた。
「ほら行くよ!」
そう言われて僕は腕を掴まれたまま地下室ヘ連れて行かれた。
「じゃあ何があったか話してあげる!質問がいっぱいあるんだろうけど、まずは俺の話を聞いてよ」
そう言ってはるき君は話し始めた。
「まずは見てよこの人達!俺が作った団体の団員なんだよ!凄いだろー?!みんな協力してくれるって言ってくれたんだ!」
団体を作れたってことは、もうはるきくんが大統領になれたのだろうか?
「それからさ!俺の魔法、進化したんだぜ!ちょっと見ててよ!えーと…あー…ねぇなんかない?」
はるき君はローブの人に話しかけている。するとローブの人がペンを取り出した。
「ありがと!見てろよ?」
ポン
「ほら!すげぇだろ?!俺!物も花に変えられるようになったんだぜ!これはあの人の薬のおかげなんだぁ」
「ちょ、ちょっとまってよ」
流石に情報量が多すぎる。あの人って誰だ?この団体の目的は?
「まぁ落ち着けって!もうすぐ良くなるから」
「落ち着くのはそっちでしょ」
はるき君は指摘されてえへへと笑っている。
「それで質問は?」
はるき君、興奮しすぎだよ。僕が追いつけてないんだけど…まぁいいや
「えっと…はるき君の団体は何を目的に活動してるの?」
「忘れてたそうだった!俺達の目的はね…」
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