第18話 作戦実行

そんなこんなで僕ははるき君の家に行った。


「数年か…厳しいかもな」


やっぱりそうか。数年の間で僕たちが生きてるかわからないし、友達なんてその前に死んじゃったわけだし。


「…やっぱり無理だよ。その時が来るまで待たないと」


はるき君は黙ってなにか考えている。


「ていうか、時間軸に数年も何もあるのか?」


「さぁ」


しばらくするとはるきくんが口を開いた。


「…おかぁ」


「え?」


「おかぁだよ。俺のおかぁ。おかぁに聞けば、いや…」


はるき君のお母さん?

はるき君のお母さんって言ったって、はるき君のお母さんは、流石にはるき君のお父さんを殺すことなんてできない気がする。

だって夫婦だもん。愛しい人を自分の手で殺すなんて、なんか残酷。はるき君は何を考えているのだろうか。


「はるき君のお母さんって医者だったよね?医者なら誰かを殺すより、救う方だと思うんだけど…」


「そうじゃなくてさ。おかぁの友達だよ。トキじいさんの…娘だったか孫だったかイトコだったか覚えてないけど、とにかくいるんだよ。薬を扱う、ちょっと…ヤバい人」


薬を扱うヤバい人?

はるき君のお母さんはもしかしたらとんでもない人とつるんでるのかもしれない。


「それ、大丈夫なの?」


「一回会ったことあるけど、ヤバい人だった。とにかくヤバい人。うわ寒気してきた…」


はるき君はあまりその人のことが好きじゃないみたい?


「それで、その人がどうしたの?」


「その人から毒薬かなんかをもらえないかなーって思ったんだけど…」


「それいいね」


「でも無理だ。毒見とかがいる」


「クッキー生地に混ぜて焼けばいいんじゃない?はるき君が自分で作ったって言って渡せば」


はるき君が渡せば流石に手渡しで受け取ってくれるはず。

だってお父さんだし、その前に家族の作ったものだもん。毒とは知らずに食べるはず。


「いや、無理だな」


「どうして?」


「確かに親父を殺すっていう目的は果たせてるけど、自然死に見せないといけないし、なんせ証拠が残ったりでもしたら、俺らが危ないんだぞ?」


はるき君が正しい。やっぱり無理だ。僕たちがはるき君のお父さんを殺す事はできない。権力って強い。


「…じゃあやっぱり僕の時計になるね」


はるき君もお父さんが死ぬまで僕と地獄の施設生活。

僕のお父さんは家を出ていってもう帰ってこない。こんなに幸せを感じない人生なんてあるだろうか?ならいっその事もう信じられる人に未来を任せたほうがいい。頑張ってね、はるき君。

そして僕は時計を使った。


はるき君のお父さんが死んでいる世界に行って、みんなと平和に過ごしたい。



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