第17話 僕の

「あ」

の~んびりご飯を食べていて思い出した。

「ねぇお母さん。僕がここに来て何日か経ってるけどさ。お父さんはどこ?」

お母さんは食べる手を止めない。聞こえていなかったのだろうか?いや、うちは食べるとき静かになるからそんな事はない気がするんだけど…

ふとトキじいさんを見ても、気にせず食べている様子。 

「ねぇ?お母さん。お父さんはどこにいるの?僕、施設に入る前以来会ってないよ?」

お母さんは食べる手を止めて口を開いた。

「ゆうと。あのね、覚えてないの?ゆうとずっと…変ってわけじゃないんだけど、花園で作業してるときから、突然、僕は施設から来たんだ、なんていうから、なんかあの日からお母さん心配で、でもそうよね…あんな事、あなたには早かったかもね」

少し早口で話している。お母さんは何を焦っているのだろうか?しかも、あんな事?僕がここに来る前の僕になにかあったって事?

「なにかあったの?教えてよ」

「…ゆうと、あのな」

「トキさん。私から話しますから」

トキじいさんは黙ってご飯を食べ続けた。

「あのねゆうと。えっとね、その…んーっと!なんて言ったらいいかわからないわ。はは…」

お母さんは小声で「いやでも…はっきり言うべきよね」とつぶやいている。

「あのねゆうと。実は、お母さんとお父さん、離婚したの」

…え?僕は衝撃が走って言葉も出ない。そんな事…そんな…

「だからねゆうと。ゆっくりでいいから、またお父さんのいない生活に慣れていってほしいの」

「…なんで別れたの?」

なんでこんな事言ってしまったのだろうか。僕は無意識のうちに口にしていた。

「ゆうとあのね」

「いいよ…ごめん。ご飯食べよう。」

そう言って僕達は重苦しい空気の中、しばらく沈黙が続いた中ご飯を食べていたが、すぐにまたいつもの雰囲気に戻った。

でもやっぱり、ご飯を食べ終わって自室に戻ったあとも、お父さんが気になった。

お父さんがいない?僕はお父さんもいてこその平和な暮らしなんだけどな…なんか違うなこの世界。時計使っちゃおうかな…いやダメだ。明日またはるき君と話さなきゃ。

そんな事を考えているうちに、僕は眠りについていた。

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