第15話 15話

「…ごらくしせつ?」

僕は知らない単語に困惑した。そりゃそうだ。僕まだ幼いんだもん。

「ええっと、なんていうか、簡単に言えば、楽しめる場所だよ。ほら、公園とか」

「あぁ!なるほどね」

はるき君は英才教育でも受けていたのだろうか。金持ちだな。そんな事より彼の話を聞かねば。

「じゃあ僕がやっていた仕事?って言うのは、軍の人達のストレス発散道具だったってこと?」

「…そうなるな」

はるき君の答えに僕は頭が真っ白になった。僕たちはただ集められた大人の道具だったのだ。あれで帰ってこなくなった友達がいるのに…

「そうだ!帰ってこなくなった友達はどうしてるの?」

「なんだよそれ?」

はるき君は訝しんだ。

「僕は施設にいた時は、はるき君っぽい人ともう一人、番号忘れちゃったけどいたんだよ。突然帰ってこなくなっちゃってさ…」

「ゆうと、お前それさ…もしかしてだぞ?もしかしてだけど…」

はるき君はためらいにためらった後、口を開いた。

「それって…その子、死んじまったんだと思う…」

僕は耳を疑った。死んだ?そんなはず…

僕は頭が真っ白になってしまった。

「なんで……だって…だってあの子は大丈夫って…!」

確かにあの子は弱々しかったし、病弱だと言っていた。

「…大丈夫って……言ってたよ…」

仕方がないのかもしれない。悲しい。でも涙は出てこない。虚空間に連れ出された気分だ。

「…ごめんな、ほんとに。」

はるき君は謝った。

そうだよね。はるき君は後継ぎだもんね。大統領になって、国を動かして…

「………そうだ!そうだよ!」

「なんだよ急に大声だして。ビビるだろ」

「はるき君!大統領になるんだったらさ!今からなればいいんじゃない?」

「何いってんだよ?お前」

はるき君は混乱しているが僕には関係ない。

「何って…そのままの意味だよ!今から大統領になって、こんな施設作らないようにすればいいじゃん!」

はるき君は驚いていたが、ため息をついて

「あのなぁ、一回落ち着けよ。俺が大統領になれるのは…」

「お父さんが死んだ時でしょ?」

「覚えてたならなんで…」

「だからそのままの意味だってば!」

「つまり…?」

はるき君は察しが悪いみたいだ。難しい単語いっぱい知っているのに、僕の言っていることがわからないなんて。でもいいんだ。僕は君さえいれば…

「つまりはお父さんを殺しちゃえばいいんだよ!そうすれば…」

「お前頭冷やして来いよ。とりあえず座れ。大体、親父にはボディーガードがついてるし、警備万全だし、なにより俺らはまだ子供だぜ?どうすればいいんだよ?」

僕はどうすればいいか考えた。確かにはるき君の言うことは正しい。子供だし、戦力も少ない。今のうちから未来を変えることはできないのだろうか。

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