第13話 違和感

「それじゃあ本題に入るけど…あ、その前に、これ誰にも言うなよ?もし親父なんかにバレたら大変だからな」

「わかった」

はるき君のお父さんは厳しいのだろうか。いくら友達とは言えども、僕はまずはるき君を知らない。家の雰囲気も相まって、お金もちなのかもしれない。


「…俺、親父の後継ぎなんだけどさ、大統領、やりたくないんだよな」


僕は驚いた。はるき君のお父さんは大統領だったなんて…そりゃこんなに家も服もおしゃれなわけだ。にしても施設にいた時は「大統領になりたい!」とか言っていたのに。

「どうして大統領になりたくないの?この国は割と平和だし、困ることはないと思うけど…」

「いや、そうなんだけどさ…」

はるき君はなにか言いたそうにしているが、僕に隠しているようにも見える。もしかして…

「もしかして、戦争の話?」

僕は思わず聞いてしまった。はるき君は驚いた様子で

「なんで知ってるんだよ?!」

僕の両肩に重みがかかる。はるき君が掴んでいるんだ。

「落ちついて…痛い…」

「あぁ、ごめん…」

はるき君は手を離した。

「それで…話せば長くなるんだけどね…」

僕は施設からここに来るまでの事を伝えた。


「つまり、お前はその時計を使って戦争前までタイムスリップしてここに来たってことか?」

僕は頷いた。

「そっか…戦争、始まっちまうんだな……。いつ頃から始まるかは覚えてないか?」

「うん。覚えてないかな…」

僕たちは黙りこくってしまった。今この状況で、はるき君は何を考えているのか、また何を感じたのか、僕にはわからない。

「…ねぇ、はるき君はなにか知ってる?例えば、なんで施設には子供達しかいなくて、その子供達はみんな施設に来る前の記憶がないの?」

はるき君は何も言わない。僕はなにか言ってしまったのだろうか。

「………わかった。お前に教えてやるよ。ただし、本当に誰にも言わない事、いいな?」

僕ははるき君の目を見て頷いた。

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