第10話 時計の秘密

僕はお母さんの作ったサンドイッチを口いっぱいに頬張る。

「うん!美味しい!」

お母さんのご飯を食べたのはいつぶりだろうか?久しぶりに食べるお母さんのご飯は特別美味しくて、僕は思わず声に出してしまった。

「よかった」

お母さんが嬉しそうに笑う。

やっぱり家族はいいなと僕は実感する。

サンドイッチを食べているとトキじいさんが話しかけてきた。

「ほらゆうと。その時計、見せてみぃ」

僕はトキじいさんに時計を見せた。

「トキじいさん、これ、何なの?」

「あぁ…これは、時間軸魔法のかかった時計じゃな」

トキじいさんが仕事に使うよくある片目用のちっこいレンズで時計をジロジロ見ている。

「時間軸?」

「まぁ時間軸というよりも、好きな時間帯、時間軸にタイムスリップできる優れものじゃ。にしても珍しい物が見れたのう…これ、一体どこで?」 

トキじいさんが身を乗り出して聞いてきた。

「えっと…」

僕は一通り説明した。

「何?!施設じゃと?!」

トキじいさんが混乱している。

「お前さん、時計を使ったのかい?!」

「ちょっ…落ちついてトキじいさん」

お母さんと2人がかりでなだめる。

しばらくしてトキじいさんが落ち着いたあと、お母さんが簡単に話をまとめてくれた。

「じゃあ、ゆうとは施設での仕事中に急に時計があらわれて、平和に過ごしたいって思ったらここに来たのね?」

僕は頷いた。

「ゆうと。この時計相当使ったな?ガラス部分が割れておる。」

そんなに使った覚えはないが、どこかでキズつけたのだろうか?

「そう言えばゆうと、おつかい中、お友達が来てたわよ?午後にお家に行ってあげれば?」

え?そんな人いたかな?僕は根暗だから友達なんかできる子じゃなかったと思うけど…施設の時なら325番がいたけど…

「わかった…」

僕はぎこちない返事をした。


食事を終えたあと、お母さんからもらった地図の場所に向かった。


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