第7話 不思議な時計
「さてどうしようか」
こんなに部屋が綺麗じゃ仕事終わりとは思われない。かと言って男達がそもそもいなかった事にしたらバレるか…
おかしい。しかもなんだあの感覚。僕はベッドから立ち上がったときの、あの視界がぐわんとなる感覚に違和感を覚えた。貧血だろうか?
そんな事を考えていると
「お前、何やってるんだ?」
施設官が入ってきた。
「待って話を聞いて僕は…」
「なんでもいいけど、今はこの部屋に用はないはずだが?」
僕は困惑した。
「あの、僕、327番です。仕事に呼ばれて。さっき男3人がここにきませんでしたか?」
「来てねぇよ。呼んでもねぇしな。つかさっさと部屋戻れよ。意味わかんねぇ。これだからガキは…」
どういうことだ?何が起きてる?まぁいいや。なんかラッキー!
施設官はブツブツ何か言っていたが僕はとりあえず言われた通り部屋に戻ることにした。
部屋に戻ると包帯で手当された友達が座っていた。
「よ!ニーナ君!」
「ケガは大丈夫なの?痛む?」
「全然!バッチリ元気!」
よかった。彼の笑顔を見ると安心する。
「てか、なんだよそれ」
友達は僕の首元を指差す。
「それって?」
僕は自分の首元を手探りで確認する。
時計のようなものがぶら下がっている。
「なにこれ?」
友達が呆れた様子で答える。
「お前もわからないのかよ」
「仕事行くまでなかったよね?」
友達がうんと頷いた。
しばらく考えた後、
「あー!あー?」
確信はないみたいだ。
「図書館で図鑑開こう!さぁ行こう!」
今までの時間なんだったんだ。
まぁいいや。君と一緒なら。
そうして僕たちは図書館へ向かった。
図書館は僕達のいる部屋より小さくて、それでも絵本から図鑑まで揃ってる。
魔具の図鑑を開いて時計について調べてみた。
「あったこれだ!」
だが友達の開いたページに描かれていた絵は、フラスコの中に液体が入っていて、それに魔法がかかっているものだった。
「これ、全く違うじゃん」
「全く馬鹿だなぁお前は。これは普通のものに魔法をかけて、魔具を作り出す手法だよ。色々見たけど、全く同じ時計なんてなかっただろ?だからそれも、多分魔法がかかってんだよ」
「魔法って、例えばどんな?」
「例えば?うーん。願いが叶うとか」
「願い…」
僕は試しに友達のケガが治るように願ってみた。
するとあの時と同じように、目の前がぐわんと揺れた。
「うぅ…」
目を開けると、友達のケガが綺麗サッパリなくなっていた。
「やったね!治った!治ったよ!やっぱりこれ、願いが叶うんだよ!」
僕は喜んで友達に抱きついてはしゃいだ。
「落ち着けよ、お前。どうした?」
友達が困惑している。
どういうことだろう?
「今、君のケガが治るように願ったんだよ!そしたら…」
「待て待て落ち着けよ。俺、ケガしてないし。しかも何だ?その時計。」
「え」
何が起きてるんだ?だってさっきまで一緒に調べてたのに…
「まぁ、1回部屋戻ろうぜ?」
そうして部屋に戻った後も、まだ僕は困惑していた。
「あの、なんだ。お前疲れてんだよ。ほら、俺が手を握っててやるから、な?落ち着けよ」
友達の手は温かくて安心する。
僕はだんだん眠くなってきてしまって、友達に手を握られたまま、そのまま眠りについてしまった。
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